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専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

脂質異常症Part.1 糖質代謝を崩すサイレントキラー「脂質異常症」とは?

2018年3月号
脂質異常症 Part1 少なくない家族性高コレステロール血症 早期介入で病態の進展抑制が可能の画像
脂質異常症は動脈硬化の主要な原因の1つであり、冠動脈疾患の重要なリスクファクターである。血清脂質の中でもLDLコレステロールを中心に世界中で研究が進められている。2017年6月、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」(日本動脈硬化学会)が5年ぶりに改訂され、家族性高コレステロール血症など高リスクで厳格なコントロールが必要な病態を呈する患者の治療のあり方がより詳細に示された。

Check Points

小型高密度LDLは動脈硬化のリスクを上げる LDL-C値が140mg/dL以上または
HDL-C値が40mg/dL未満で動脈硬化のリスクが上昇
運動によってHDL-C値が上昇し、トリグリセライド値は低下する 家族性高コレステロール血症治療薬のPCSK9阻害薬は
LDL-C値を50%以上低下させる
薬剤の作用機序を踏まえた服薬指導を行う

Part.1 少なくない家族性高コレステロール血症 早期介入で病態の進展抑制が可能

リポ蛋白の働きと動脈硬化のプロセス

血液中の脂質にはコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸があり、バランスが崩れると脂質異常症(高LDLコレステロール[LDL-C]血症、低HDLコレステロール[HDL-C]血症、高トリグリセライド血症)が発症する。
脂質は血流にのって全身に運ばれる必要があるが、脂質は水に溶けないため、リポ蛋白という粒子になって血流中に溶け込んでいる。リポ蛋白の成分は、リン脂質、アポ蛋白、コレステロール、トリグリセライドで構成されるが、その大きさや含まれる成分の割合によって働きが異なる(表1)。

表1 リポ蛋白の種類と働き
リポ蛋白の種類 中に含まれる主な脂質 リポ蛋白の働き
カイロミクロン トリグリセライド(中性脂肪) リポ蛋白の中では最も大きい。食事から摂った脂質(主にトリグリセライド)は小腸で吸収され、それを肝臓に運ぶ。
超低比重リポ蛋白
(VLDL)
トリグリセライド(中性脂肪)、
コレステロール
カイロミクロンに次ぐ大きさで、肝臓で合成された脂質(主にトリグリセライド)を脂肪組織や筋肉に運ぶ。
低比重リポ蛋白
(LDL)
コレステロール 主に肝臓で合成されたコレステロールを全身の必要な組織に運ぶ。余ったコレステロールはそのまま肝臓に戻る。
高比重リポ蛋白
(HDL)
コレステロール リポ蛋白の中では最も小さい。全身の組織から余ったコレステロールを回収する。また、動脈壁にたまったコレステロールを肝臓に戻す。

編集部作成

LDLは全身の細胞にコレステロールを運ぶ役割があるが、コレステロールが必要になった細胞にはLDL受容体が増加する。細胞のLDL受容体とLDLのアポB(リポ蛋白の構成成分)は、鍵穴と鍵の関係になり、LDLは細胞内に取り込まれる。そこでコレステロールが放出され、コレステロール本来の役割である、細胞膜やホルモンの材料として使われる。細胞内のコレステロールが足りていればLDL受容体は増加せず、LDLはそのまま血流にのって肝臓に戻っていく。肝臓ではコレステロールを使って胆汁酸が生成され、胆汁中に排泄される。胆汁酸は小腸における脂肪の分解吸収に重要な働きを示す。これもコレステロール本来の役割であり、このようにしてコレステロールは常に新陳代謝されている。しかし、何らかの理由でLDL受容体が減少したり、なくなってしまうと、血液中のLDLが過剰になり、高LDL-C血症の状態が成立する。
一方、HDLが少なくなるとコレステロールを十分に回収できなくなる。これが低HDL-C血症の状態で、血管壁にたまったコレステロールによって動脈硬化が形成されていく。
トリグリセライドが多い人や、HDLが少ない人から小型高密度LDLが検出されることがある。「血液中のトリグリセライドが余ると、LDLを小型化してより内皮細胞にしみ込みやすくしたり、HDLを減らしたりするようになり、動脈硬化のリスクがさらに高まります」と帝京大学臨床研究センターセンター長の寺本民生氏は説明する。

250人に1人のヘテロ接合体FH 心筋梗塞で発見されることも

脂質異常症の診断は空腹時採血によって行われる。診断基準を表2に示した。一般的な健康診断などでは、LDL-C値は、[LDL-C=総コレステロール-HDL-C-(トリグリセライド÷5)]の計算式で算出される。トリグリセライドが400mg/dL以上の場合は、[non-HDL-C=総コレステロール-HDL-C]の計算式が用いられる。先述のように、トリグリセライド値が高いと小型高密度LDLやレムナント(遺残)コレステロールと呼ばれる脂質が高値になるといわれる。トリグリセライドが400mg/dL以上になると、誤差が大きくなって、正確なLDL-C値を算出することがむずかしくなるため、non- HDL-Cが基準値になる。

表2 脂質異常症診断基準(空腹時採血)
LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120-139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症**
HDLコレステロール 40mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150mg/dL以上 高トリグリセライド血症
Non-HDLコレステロール 170mg/dL以上 高non-HDLコレステロール血症
150-169mg/dL 境界域高non-HDLコレステロール血症**

10 時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。
**スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域高non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。

  • LDL-C はFriedewald式(TC−HDL-C−TG/5)または直接法で求める。
  • TGが400mg/dL以上や食後採血の場合はnon-HDL-C(TC−HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。ただしスクリーニング時に高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの差が+30mg/dLよリ小さくなる可能性を念頭においてリスクを評価する。

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を参考に作成

脂質異常症は原発性脂質異常症と二次性脂質異常症に大きく分けられる。二次性は続発性ともいって糖尿病や慢性腎臓病など、ほかの疾患や薬剤などによって発症する。原発性脂質異常症のうち、脂質代謝の遺伝的な欠陥によって発症する脂質異常症の代表が家族性高コレステロール血症(FH)だ。LDL-Cを受け取るLDL受容体の遺伝子に先天的に欠損や異常があるため、LDL-Cは細胞内に取り込まれず血液中に残る。LDL受容体に異常がある遺伝子を両親から受け継いだFHをホモ接合体FH、片方の親だけがもつ異常遺伝子を受け継いだFHをヘテロ接合体FHという。ホモ接合体FHは約100万人に1人といわれる希少疾患で、日本では166人(2014年度)が特定疾患医療受給者として登録されている。一方、ガイドラインによるとヘテロ接合体FHは約200〜300人に1人の割合でみられ、30万人以上の患者がいると推定される。
FHは、①高LDL-C血症(未治療でのLDL-C値180mg/dL)、②黄色腫がある、③FHの家族歴(二親等以内)がある──このうち2項目以上が該当すると診断される(15歳以上)。
ホモ接合体FHではLDL-Cは500〜900mg/dLと際立って高い数値を示す。ヘテロ接合体FHでは150〜420mg/dLで、重症のヘテロ接合体FHだと数値だけではホモ接合体FHと区別がつかないこともある。
FHでは黄色腫(写真)がアキレス腱に現れるのが特徴的で、眼瞼、手指の腱、膝・肘にみられることもある。角膜の周囲に輪状の白濁した角膜輪が現れることがある。心筋梗塞を起こして入院し、そこで初めてFHであることがわかる例が多いという。
FHは小児の頃からコレステロール値が高く、動脈硬化も早い時期から進行する。ホモ接合体FHは10歳代で心筋梗塞を起こす例が少なくないため、平均寿命は37歳ともいわれる。

写真 黄色腫

写真 黄色腫

提供 寺本民生氏

ガイドライン改訂のポイント

脂質異常症の病態や治療に関するエビデンスが蓄積され「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」は5年ぶりの改訂となった。主な改訂ポイントは、①クリニカル・クエスチョンとシステマティック・レビューを導入、②絶対リスクの評価方法に吹田スコアを採用、③危険因子に高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群などを追加、④二次予防における高リスク病態を追加し、厳格なLDL-C管理目標値を新設、⑤FHの診断・治療に関する記載を拡充、⑥エビデンスレベルと推奨レベルを表記。
実用的で見やすい作りになったことが新ガイドラインの大きな特徴だ。「LDL-C管理目標設定のためのフローチャート」(図1)では、脂質異常症をスクリーニングする際に、まず冠動脈疾患の既往の有無で二次予防の対象かどうかを確認する。さらに、冠動脈疾患の既往がなく、糖尿病、慢性腎臓病など、単独で高リスクとなる疾患がなければ吹田スコアを使ってリスク分類を行う。

図1 LDL-C管理目標設定のためのフローチャート

LDL-C管理目標設定のためのフローチャート

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」
を参考に作成

吹田スコアは、国立循環器病研究センターが大阪府吹田市民を対象に行った都市型コホート研究をもとに開発されたリスクスコアで、心筋梗塞などの冠動脈疾患の10年間の発症危険度を予測することができる。8項目のリスクファクターに割り当てられた点数を加算して冠動脈疾患の発症確率を簡便に割り出せる。日本動脈硬化学会では医療従事者向けに冠動脈疾患発症予測ツールweb版を作成して利用者の便宜を図っている。薬剤師が服薬指導などで利用する場合は、患者の検査データが必要になる。寺本氏は処方箋と一緒に検査データを患者に渡すことで、薬剤師と情報を共有できるようにしているという。
新ガイドラインは、一次予防ではまず生活習慣の改善を行い、LDL-C 180mg/dL以上が持続する場合は薬物療法を考慮し、リスクに応じた脂質管理目標値を設定している(表3)。すでに冠動脈疾患の既往がある二次予防では、より積極的な治療が必要になる。そのため脂質管理目標値は、LDL-C 100mg/dL未満、non-HDL-C 130mg/dL未満となっている。また、FH、急性冠症候群、糖尿病の合併例では極めてリスクが高い病態であることを踏まえ、LDL-C 70mg/dL未満、non-HDL-C 100mg/dL未満という管理目標値が設定された。この中で、糖尿病患者で非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患、慢性腎臓病、メタボリックシンドロームなどが併存する場合も厳格な管理を考慮するように推奨している。
「多くの臨床研究からLDL-C値は低ければ低いほど良い(the lower, the better)ことがわかってきて、高リスク病態ではさらに厳格な管理目標値となっています」と寺本氏は指摘する。

表3 リスク区分別脂質管理目標値
治療方針の原則 管理区分 脂質管理目標値(mg/dL)
LDL-C Non-HDL-C TG HDL-C
一次予防
まず生活習慣の改善を行った後、薬物療法の適用を考慮する
低リスク <160 <190 <160 ≧40
中リスク <140 <170
高リスク <120 <150
二次予防
生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する
冠動脈疾患の既往 <100
(<70)
<130
(<100)

家族性高コレステロール血症、急性冠症候群の時に考慮する。糖尿病でも他の高リスク病態を合併する時はこれに準ずる。

  • 一次予防における管理目標達成の手段は非薬物療法が基本であるが、低リスクにおいてもLDL-Cが180mg/dL以上の場合は薬物治療を考慮するとともに、家族性高コレステロール血症の可能性を念頭においておくこと。(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版第5章参照)
  • まずLDL-Cの管理目標値を達成し、その後non-HDL-Cの達成を目指す。
  • これらの値はあくまでも到達努力目標値であり、一次予防(低・中リスク)においてはLDL-C低下率20〜30%、二次予防においてはLDL-C低下率50%以上も目標値となり得る。
  • 高齢者(75歳以上)については、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版第7章を参照。

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を参考に作成

PCSK9阻害薬はLDL-C値を50%以上低下 MTP阻害薬でホモ接合体の予後が改善

脂質異常症の治療薬には主にLDL-C値を下げる薬剤とトリグリセライドを下げる薬剤がある(表4)。

表4 脂質異常症治療薬の薬効による分類
分類 LDL-C TG HDL-C Non-HDL-C 主な一般名
スタチン ↓↓〜↓↓↓ ー〜↑ ↓↓〜↓↓↓ プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、
アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン
小腸コレステロール
トランスポーター阻害薬
↓↓ ↓↓ エゼチミブ
陰イオン交換樹脂 ↓↓ ↓↓ コレスチミド、コレスチラミン
プロブコール ↓↓ プロブコール
フィブラート系薬 ↓↓↓ ↑↑ ベザフィブラート、フェノフィブラート、ペマフィブラート、
クリノフィブラート、クロフィブラート
n-3系多価不飽和脂肪酸 イコサぺント酸エチル、オメガ-3脂肪酸エチル
ニコチン酸誘導体 ↓↓ ニセリトロール、ニコモール、ニコチン酸トコフェロール
PCSK9阻害薬 ↓↓↓↓ ↓〜↓↓ ー〜↑ ↓↓↓↓ エボロクマブ、アリロクマブ
MTP阻害薬 ↓↓↓ ↓↓↓ ↓↓↓ ロミタピド

ホモ接合体FH患者が適応
↓↓↓↓:-50%以上 ↓↓↓:–50〜–30% ↓↓:–20〜–30% ↓:–10〜–20%
↑:10〜20% ↑↑:20〜30% ー:–10〜10%

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」を参考に作成

LDL-C値を低下させることを目的にした高コレステロール血症の治療では、スタチンの単剤、または作用機序が異なる他の薬剤との併用療法が基本となっている。スタチンで、LDL-C低下作用が強いのはアトルバスタチン・ピタバスタチン・ロスバスタチン(30〜40%低下)で、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチンの低下効果は約20%である。
HDL-C値だけが低い脂質異常症の治療法はまだ確立されていない。「いまのところ有効な方法は運動です。運動するとHDL-C値が上昇し、トリグリセライド値が低下します。小型高密度LDLも減ってきます」と寺本氏。
心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な高コレステロール血症やFHを適応とした皮下注射剤のPCSK9阻害薬(エボロクマブ、アリロクマブ)が2016年に発売された。PCSK9はタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)で、LDL受容体に結合して分解する。FHではLDL受容体が少ないため、LDL-Cを肝臓に取り込めず、血中のLDL-C値が上昇する。PCSK9阻害薬は血中のPCSK9がLDL受容体と結合するのを阻害し、LDL受容体の分解を抑制する。その結果、LDL受容体が増え、LDL-C値は低下する。PCSK9阻害薬はLDL-C値を50%以上低下させる効果がある1)。副作用は極めて少ないが、糖尿病発症、注射部位反応、肝酵素異常、CK(CPK)上昇、筋肉痛など。なお、同剤は日本人における単独投与での有効性・安全性が確立していないため、スタチンと併用する。
「PCSK9阻害薬は、30年以上も使われ続けているスタチン同様、長期にわたって使用される可能性があり、今後も注意深く見守る必要があります。脂質異常症の薬物治療も抗体医薬に移行しつつあります」と寺本氏は見解を述べている。
PCSK9阻害薬に続いて発売されたミクロソームトリグリセライド転送タンパク質(MTP)阻害薬(ロミタピド)は経口薬で、ホモ接合体FHが適応になっている。ホモ接合体FH患者の多くが、既存の経口脂質低下薬を複数使用してもLDL-Cの管理は困難で、血液をろ過してLDL-Cを除去するLDLアフェレシス療法しか有効でない場合もある。
MTPは肝細胞、小腸上皮細胞に多く発現し、肝臓ではVLDL、小腸ではカイロミクロンの形成に関わっている。MTP阻害薬は、細胞内の小胞体内腔に存在するMTPに結合してVLDLやカイロミクロンの形成を阻害する。主な副作用として脂肪肝、下痢などの消化器症状が報告されている。
FHの治療は困難を極める。寺本氏も「これまではスタチン、エゼチミブ、プロブコールなど、使える薬を総動員しても、LDL-C値を100mg/dL未満に低下させることは至難の業でした。PCSK9阻害薬の登場で、FH治療は大きく変わりました。私の経験では、ヘテロ接合体FHでなんとか100mg/dLにした患者さんに、PCSK9阻害薬を使ったところ50mg/dLまで下がりました(図2)。また、副作用の問題はあるものの、MTP阻害薬によってホモ接合体FHの予後の改善が期待できるようになりました」と話している。脂質異常症の薬物治療ではさまざまな治療薬が使われる。動脈硬化の進展を抑え、冠動脈疾患の発症を防ぐためには脂質異常症治療薬の服薬アドヒアランスを高める必要があり、薬剤師の役割が重要になる。

図2 FHヘテロ接合体治療フローチャート

図2 FHヘテロ接合体治療フローチャート

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」
を参考に作成

■作用機序にもとづいた服薬指導を

「服薬指導で患者さんに『この薬は悪玉コレステロールを減らしてくれますが副作用があります』と言うだけでは不十分です。薬の作用機序についてある程度触れながら説明することが大切です。たとえば、『MTP阻害薬は細胞から脂質が分泌されるのを抑制することで効果を発揮するため、細胞に脂質がたまっていろいろな副作用が出る可能性があります』という説明で、患者さんは納得して治療を続けることができると思います」と寺本氏は助言している。
また、横紋筋融解症はスタチンによる副作用の1つとして知られている。しかし、寺本氏らが3年間で患者2万人を対象に行った調査では、横紋筋融解症が疑われたケースは1例あっただけだという。「海外の報告を集めてもその出現率は0.01%と低いものです。実際、医師で横紋筋融解症を経験した人はほとんどいません。現実的にはほとんど起こらないといってもいい副作用を服薬指導で注意喚起すると患者さんに無用の心配をさせることになります。実質的な指導が大切です」と寺本氏は述べている。

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脂質異常症Part.1 糖質代謝を崩すサイレントキラー「脂質異常症」とは?

脂質異常症は動脈硬化の主要な原因の1つであり、冠動脈疾患の重要なリスクファクターです。家族性高コレステロール血症など、高リスクで厳格なコントロールが必要な患者の治療ついて解説します。

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