専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

【肺炎】抗菌薬を最後まで飲み切る服薬指導を重視

2017年7月号
肺炎 Part2 抗菌薬を最後まで飲み切る服薬指導を重視の画像
肺炎は日常的に診る機会が多いコモンディジーズだが、日本人の死因の第3位を占めることからもわかるように、良好な生命予後を期待できない疾患でもある。特に高齢者の肺炎は早期発見・治療の機会を逸しやすく、重症化する可能性が高い。高齢者の増加に伴って、今後さらに肺炎の罹患率・死亡率の上昇が予想されている。肺炎の治療では薬剤の適正使用が重要であり、薬剤師の介入が欠かせない。埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授の前﨑繁文氏に高齢者の肺炎診療の難しさや抗菌薬の使い方を、埼玉医科大学病院薬剤部の永野浩之氏からは服薬指導のポイントを解説していただいた。

Part.2 抗菌薬を最後まで飲み切る服薬指導を重視

高齢患者では併用薬との相互作用にも注意

肺炎に使われる抗菌薬は多彩で、起炎菌によって使い分けるため、副作用などの特性を十分理解することが重要になる。
ペニシリン系薬は、他の薬剤と比較してアナフィラキシーショックの出現頻度が高いことが知られている。マクロライド系薬、キノロン系薬では副作用としてQT延長が出現することがあるが、心疾患の既往があったり、低カリウム血症があったりすると、そのリスクは高まるといわれている。キノロン系薬に関してはさらに、血糖値を変動させるほか、意識障害や失神、めまいなどが現れることがあるため、「自動車の運転や、危険を伴う機械の操作などは注意するよう促したり、場合によっては控えるよう患者さんに説明する必要があります」と永野氏は指摘する。
さまざまな慢性疾患を合併する高齢患者では、その治療薬と抗菌薬の相互作用にも注意しなければならない。
マクロライド系薬に関してはCYP3A4阻害作用、P糖蛋白阻害作用を有する薬剤との相互作用に注意する必要がある。一例をあげると、P糖蛋白で排出される抗凝固薬DOACやジゴキシンの血中濃度を上昇させるおそれがある。
キノロン系薬については、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)のフェニル酢酸系、プロピオン酸系の薬剤との併用によって痙攣が起きることがある。こうした場合は、アセトアミノフェンなど、他の鎮痛薬に変更することで対応できる。また、金属(アルミニウム、マグネシウム、鉄など)を含む薬剤との併用はキレート形成によって抗菌薬の効果を減弱させる可能性がある。これらの薬剤を併用する場合は1〜2時間程度の間隔をあけて投与することとされており、永野氏は医師に確認をとるという。さらに、抗不整脈薬、三環系抗うつ薬などとの併用でQT延長を起こすリスクが増大するといわれており、細心の注意が必要になる。

腎機能を評価し、必要があれば疑義照会を

高齢患者では認知機能や視力、聴力の低下がアドヒアランスに影響する可能性があり、たとえば剤形や服用方法などについて、患者や介護者が管理しやすいように工夫することもアドヒアランスの向上につながる。また患者の中には、肺炎の症状が治まると抗菌薬の服用を自己判断で中断し、残った薬を再発した時のためにとっておくような人も見受けられる。「抗菌薬の中途半端な使用は薬剤耐性菌を出現させる最大のリスクになるため、抗菌薬は副作用がない限り処方された分を最後まで服用するように指導を徹底すべき」と永野氏は強調する。
複数の疾患を合併することが多い高齢患者については、お薬手帳の処方歴から多剤併用に伴う重複処方、薬物間相互作用のリスクなど

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