
CLOSE-UP1 地域医療の多職種連携情報共有で柔軟な対応を実現
2015年末時点の日本における慢性透析患者数は32万人以上に上り、そのうち65歳以上は65%以上、75歳以上の後期高齢者は32%にもなる。
ワークショップ「腎不全治療と地域医療連携」では、高齢の透析患者を多く抱える透析施設と医療機関や介護施設との連携について、各施設の取組みが紹介された。
佐藤循環器科内科の小川治美氏が勤務する透析施設では、65歳以上が透析患者全体の7割以上を占めるという。地域の医療機関との連携とともに居宅介護支援事業所や有料老人ホーム、グループホームとの連携が必須であるとして、透析施設で実施している具体的な連携について紹介した。
まず、透析施設と基幹病院は、FAXを利用して初診時の紹介状や予約手配を行っている。定期的な外来受診時には、患者は透析日に実施した各種検査データを基幹病院に持参し、受診後に基幹病院の医師は、必要に応じて透析施設の担当医あてに診療情報提供書を送付する。また患者が基幹病院に入院する際には、基幹病院で透析を実施するため、透析施設は必要な患者情報などを記載した看護要約を基幹病院の透析室に提供しているという。
患者が歯科などの診療所を受診する際には、患者は透析施設からの紹介状で自身が透析患者であることや受診までの経緯を診療所に伝える。抜歯などの処置や、内服薬の処方について診療所から問い合わせがあれば、透析施設が対応する。
有料老人ホームやグループホームとは、共有フォームをインターネットでやり取りし、情報交換が行われているという。透析施設は患者の透析の経過や処方薬、次回検査予定などを伝達し、老人ホームからは転倒や発熱といった患者の変化などの情報が透析施設に伝達される。
薬局については、9割以上の患者が透析施設近くの保険薬局で処方薬を受け取っているという。そのため患者が薬を受け取りに行く際には、透析施設が事前に薬局に連絡し、待ち時間なく薬を受け取ることができるようにしている。患者が長いあいだ薬を受け取りに来ない場合や他科受診で同じ内容の薬が処方されている場合は、薬局から透析施設に連絡が入る体制を取っているという。
小川氏は、診療情報提供書の提示や各種検査データ、患者状況を各医療機関や介護施設と情報共有することは、診療時間の短縮や不要な検査の防止、患者の待ち時間や身体的負担の軽減といったメリットがあると連携の重要性を訴えた。
本八幡腎クリニックの山田耕嗣氏は、透析患者のアドヒアランス向上と残薬対策として保険薬局との連携の重要性について講演した。透析患者は服用する薬の種類や量も多く、高齢の患者が多い。患者にとって近所で