
ネットに溢れる健康情報正しく活用するには?
社会生活の中で、私たちは、体重計や体組成計、血圧計など、いろいろな健康機器を使って、日々、リアルな健康情報データを生み出しています。この健康情報データ以外に、医師や薬剤師などから直接聞く現実空間(フィジカル空間)での情報と、インターネットなど、サイバー空間(仮想空間)からの情報があります。
近年、特にサイバー空間の健康情報は溢れており、正しい情報を見つけて活用することが難しく、若い女性では無理なダイエットによるやせの増加、過剰なUVケアによるビタミンD欠乏症などが問題となっています。個人の健康データをもとに、必要な情報を個別に提供できれば、ヘルスリテラシーと健康力の向上が期待できると考えられます。
この問題解決で注目を集めているのがIoT(Internet of Things:モノのインターネット)です。IoTの活用で健康に関する正しい情報と知識が共有できると考えられており、内閣府ではSociety 5.0(サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステム)社会の実現に向けて動き出しています。*1 私が所属する慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムでも情報の力で人をより健康にする研究・実証を進めています。IoTを活用し、一ヶ所にデータを集め、時系列に記録し、クラウド上でビッグデータを人工知能(AI)が解析する。その解析結果を瞬時に医師・薬剤師、個人に必要な形でフィードバックし、さらには疾患、副作用を含めたお薬情報と結びつけることで、個人の健康状態の把握と情報提供だけではなく、将来的には未病段階の診断指標や婦人科疾患の兆候を早期に見つけ出すロジックの開発へも繋がると考え、研究を進めています。
増加する女性の疾患アプリを使った支援も
昔の女性は、初経年齢が遅く、多産であったため、生涯の月経回数が50~100回程度でしたが、現代女性は、初経年齢の早期化、少子化・晩産化が影響し、月経回数が約4倍の約450回に増えています。*2
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