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ハイリスク薬加算の薬歴の書き方は?服薬指導例についても解説
Special Report

編集部が選ぶ患者指導箋 糖尿病編

2018年11月号
編集部が勝手に選んだおすすめ患者指導箋糖尿病編の画像
服薬指導の際に欠かせない患者指導箋ですが、製薬企業各社から多種多様な指導箋が配布されていることから、読者のみなさまから「患者指導箋の一覧がほしい」という要望を以前よりいただいていました。そこで、経口糖尿病治療薬について、ファーマスタイル編集部が製薬企業のホームページから会員登録せずにダウンロードできる患者指導箋を調べ、独断と偏見で選んだ「おすすめ患者指導箋」を紹介します。
表 主な糖尿病治療薬別のおすすめ患者指導箋一覧
分類 一般名(販売名) メーカー/資料名 主な掲載内容 寸評
SGLT2 イプラグリフロジン L-プロリン
(スーグラ錠25mg/50mg)
アステラス製薬、寿製薬
「スーグラ錠25mg,
50mgを服薬される患者さんへ」
  1. 治療前の確認事項
  2. スーグラ錠の特徴
  3. 服用時の注意事項(脱水、低血糖、尿路・性器感染症など)
  4. 服用方法
内容はイラストも含めて簡潔でわかりやすくて良い。薬剤の作用に関する説明で、ダムを使った例えがわかりやすい。
カナグリフロジン水和物
(カナグル錠100mg)
田辺三菱製薬、
第一三共
「カナグル錠を服用される方へ」
  1. カナグル錠の特徴
  2. 服用方法
  3. 服用時の注意事項(低血糖、脱水症状、尿路・性器感染症、ケトアシドーシスなど)
副作用・生活上の注意として、主な「4項目」と「その他」に分けて手順よく説明されており、わかりやすい。イラスト・文字なども見やすい。
DPP-4 テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物
(テネリア錠20mg/40mg)
田辺三菱製薬、
第一三共
「テネリア錠を服用される方へ」
  1. テネリア錠の特徴
  2. 服用方法
  3. 服用時の注意事項(低血糖)
  4. 食事・運動療法
低血糖時の対応などに加え、食事・運動療法のポイントが記載されている点が良い。
オマリグリプチン
(マリゼブ錠12.5mg/25mg)
MSD
「マリゼブってどんなお薬?」
  1. マリゼブの特徴
  2. 服用方法
  3. 服用時の注意事項(低血糖)
  4. パッケージの活用方法(服用忘れ防止用)
週1回服用の特徴と飲み忘れ時の対応が簡潔に文章と図でまとめられており、わかりやすい。
オマリグリプチン
(マリゼブ錠12.5mg/25mg)
MSD
「マリゼブ錠は週に1回1錠服用して糖尿病を治療するお薬です」
  1. 服用方法
  2. マリゼブ服用後のアンケート(医師に返信用)
  3. 服用時の注意事項(低血糖)
服用方法と服用時の注意事項を中心にした裏表両面の簡便な指導箋として活用できる。
シタグリプチンリン酸塩水和物
(ジャヌビア錠12.5mg/25mg/50mg/100mg)
MSD
「ジャヌビアを服用される方へ」
  1. 服用方法(服用時間を記載する箇所あり)
  2. 服用時の注意事項(低血糖)
すべての成分規格と用法に対応できるように作られている。原寸大の製剤写真を掲載。服用時間の記載箇所もあり、患者が自身の規格と服用時間の確認ができる。
DPP-4/
ビグアナイド系
ビルダグリプチン、メトホルミン塩酸塩配合剤
(エクメット配合錠LD/HD)
ノバルティス ファーマ
「エクメット配合錠を服用される患者さんとそのご家族へ」
  1. エクメット配合錠の特徴
  2. 服用方法
  3. 副作用(乳酸アシドーシス、シックデイ、消化器症状、低血糖)
「特に注意が必要な副作用」として項目別にまとめてあり、その都度の対処法も記載されているので、わかりやすくて良い。
アログリプチン安息香酸塩、メトホルミン塩酸塩配合剤
(イニシンク配合錠)
武田薬品工業
「イニシンク配合錠を服用される患者さんへ」
  1. イニシンク配合錠の特徴、服用方法
  2. 服用時の注意事項(乳酸アシドーシス、低血糖)
裏表両面の指導箋として簡便。情報量が多いため、患者指導時にはポイントを押さえて説明する方が良い。
DPP-4/
SGLT2
シタグリプチンリン酸塩水和物、イプラグリフロジンL-プロリン配合剤
(スージャヌ配合錠)
MSD、アステラス製薬、寿製薬
「スージャヌ配合錠を服用される患者さんとそのご家族へ」
  1. スージャヌ配合錠の特徴
  2. 服用方法
  3. 服用時の注意事項(低血糖、脱水症状、ケトアシドーシス、尿路・性器感染症など)
  4. 食事・運動療法
2成分の特徴と注意点が簡潔にわかりやすくまとめられている。また、食事・運動療法では、継続に際しては、医師の指示・相談が重要とはじめに説明したうえで、食事・運動のポイントを記載している点が良い。
テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、カナグリフロジン水和物配合剤
(カナリア配合錠)
田辺三菱製薬、
第一三共
「カナリア配合錠を服用される方へ」
  1. カナリア配合錠の特徴
  2. 服用方法
  3. 服用時の注意事項(低血糖、脱水症状、シックデイ、尿路・性器感染症、ケトアシドーシスなど)
構成はほぼスージャヌ配合錠と同じでわかりやすい。食事・運動療法の具体的なポイント等が記載されていればなお良い。

SGLT2で押さえておきたい5つのポイント

田辺三菱製薬、第一三共『カナグル錠を服用される方へ』の画像

田辺三菱製薬、第一三共『カナグル錠を服用される方へ』

SGLT2阻害薬では、低血糖、脱水、尿路・性器感染症、ケトアシドーシス、シックデイは、必ず患者さんに説明しておきたいポイントです。おすすめの指導箋は、患者さんが早めに気づいて対処できるように、症状が出やすい患者像や症状、対処方法など具体的にイラストを多用して紹介している点を評価しました。『カナグル錠を服用される方へ』は糖尿病、神経内科、感染症の専門医が監修し、性器感染症では「通気性のよい下着を着る」「女性はビデを使いすぎない」など細かな注意が記載されているのも◎。『スーグラ錠25mg、50mgを服薬される患者さんへ』は「風邪など他の病気にかかった場合は?」として、対応方法を具体的に記載している点が好評価でした。

配合剤は2成分の特徴と注意点を簡潔に説明

MSD、アステラス製薬、寿製薬『スージャヌ配合錠を服用される患者さんとそのご家族へ』の画像

MSD、アステラス製薬、寿製薬『スージャヌ配合錠を服用される患者さんとそのご家族へ』

2017年より登場したDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤。2つの成分がどのような作用を及ぼすのか患者さんにしっかり理解いただくことが大切です。おすすめの指導箋は、2成分の作用を簡潔に説明したあとに、低血糖や脱水、ケトアシドーシスなど注意すべき副作用を紹介しています。副作用の注意に加えて、食事・運動のアドバイスが掲載されている点が評価ポイントとなりました。『スージャヌ配合錠を服用される患者さんとそのご家族へ』では食事・運動のポイントを、「ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を20~60分程度、週3~5回」など箇条書きで簡潔に示しています。

食事・運動

沢井製薬『気をつけよう!血糖値と生活習慣』の画像

沢井製薬『気をつけよう!血糖値と生活習慣』

食事と運動はすぐに実践できる具体例が大切

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