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全国の新人薬剤師さん、 ようこそ!

2021年4月号
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患者さんに寄り添い、97歳となったいまも現役薬剤師として勤める比留間榮子氏。薬だけではなく食も含めたサポートを実践し、患者さんが心を打ち明けてくれるまで優しく相談に応じています。ファーマスタイルの取材にも快く応えていただき、大先輩から新人や若手薬剤師さんに向けて、薬局業務における対人関係や患者さんとの関わり方、求められる薬剤師の姿などをお話いただきました。

戦後から患者との繋がりを大切にし続けて70年

私は、戦後から薬局で働き続けてもう70年以上になります。戦前より、池袋のあたりで父が薬剤師をしており、私は見よう見まねでその手伝いを始めて、次第に薬局の世界に入っていきました。
戦後、地平線が見えるほど焼け野原になった東京は、食べる物も身の回りの物も十分にありませんでした。びっしりとビルが立ち並ぶいまの東京をみると、とても感慨深いです。当時はいまと違って病院の数が少なく、全ての患者さんを受け入れることが難しい環境でした。体調が悪いと来局された方には薬局にある製剤をお渡しし、飲んだら必ず様子を聞かせてほしいとお伝えしていました。良くなったという報告を聞くだけでも嬉しいですと患者さんにお伝えして繋がりを作ってきた結果、いまでも患者さんとお付き合いが続いているのだと思います。

失敗から学ぶ 丁寧な対応の大切さ

長い薬剤師の仕事のなかでは、失敗やつらいこともたくさんありました。過日出版した私の書籍「時間はくすり」にも詳しく書いていますが、午前中に処方せんを持って来られた患者さんが、仕事帰りに薬を受け取りに来られたことがありました。準備はできていたものの、夕方の忙しい時間で、すぐに薬をお渡しできなかったことで、怒って帰られてしまいました。その日の業務が終わった後に、その患者さんのご自宅へお詫びに伺いましたが、「もう分っているからいい」とけんもほろろに断られてしまいました。
その時、ドアを閉められないように押さえて丁寧にお詫びを続けたところ、患者さんが心を開いてくれて、ご家庭の大変な状況を話してくれました。患者さんの方にも色々な事情がありますので、事務的に済まさずに丁寧に対応することが、患者さんとの関係や服薬の継続に大切だということを実感しました。処方せんの記載内容に誤りがあった際、誤りに気づかずそのまま薬を渡してしまい、患者さんの体調が悪くなってしまったこともありました。患者さんは再度病院に行って、正しい薬を処方してもらって大事には至りませんでした。この経験から、薬剤師としての処方薬のチェックの重要さを痛感しました。また、この時は薬局内だけの話にせず、先生にも直接会いに行き、「薬局でも気づかなくてはいけないことでした」とお伝えしました。医師とのこうしたやり取りが関係を築くことにも繋がると思います。

薬局はチームプレイ

仕事では、気が合わない同僚と一緒に仕事をしなければいけない環境に配属されるかもしれません。私の勤める薬局に、勝ち気な薬剤師が入ってきたことがありました。初めて来た人なのに、その現場に何年もいるように何でもひとりで仕事を進め、以前から勤めていた人とぶつかる場面もありました。
薬局の仕事はチームプレイです。ひとりでやり過ぎてしまうと、周りの人が仕事をしにくくなったり、他人任せになってしまったりすることがあります。結果、お客様が迷惑を被る事にもなりかねません。そこで、まずは先輩に聞いてから仕事をし、周囲と会話をするようその人に勧めました。「人より何でもできるから良い」という考えが強いと周りがみえず、自分が改めるべき点に気づかない人もいます。最初は反発されるかもしれませんが、話していくうちに分かってくれるようになりますよ。根気は必要だと思いますが。

変化に適応し知識を積み重ねる 時には遠慮なく他人に聞く

薬局で働くうえでは、知識を積み重ねて新しくしていかなければなりません。私は85歳頃まで電卓やそろばんを業務で使っていました。しかし、若い人たちの様子をみて、パソコンやインターネットを使わなければ何もでき…

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多職種連携で心不全パンデミックに立ち向かうの画像
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