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美容院脳卒中症候群の法則

2019年3月号
美容院脳卒中症候群の法則の画像

脳卒中の今昔。昔は風、今は美容院との関連も?

平安時代末期(12世紀)に制作された絵巻物「病草紙(やまいのそうし)」には、口がゆがみ、左足は不自由で正座ができず、手もふるえているためまともに碁を打てない男性が描かれています。その詞書(ことばがき)では、この男性は風病(ふびょう)によって、厳寒のなか、裸でいる人のように、ふるえわなないている、と説明されています。この風病とは、脳卒中のことです。昔は、悪い風が体に影響を及ぼすと考えられていて、風病という言葉が用いられていました。卒中という言葉も、「にわかに(=卒)」「(悪い風に)中(あた)る」という意味です1)。当時は、脳血管が破れたり(脳出血)、詰まったり(脳梗塞)すると、手足の麻痺や言語障害が生じるとはわからなかったわけですから、悪い風が原因だと思うしかなかったといえます。
現在では、脳卒中を引き起こす基礎疾患として、高血圧や動脈硬化などが知られていますが、報告例は少ないものの、「美容院脳卒中症候群(beauty parlor stroke syndrome)」と名づけられた脳卒中があります2)。美容院では仰向けで洗髪するので、その際に首が後方に過度に屈曲(後屈)します。首の左右には、脳幹部や小脳に栄養を送る椎骨動脈がありますが、首の屈曲によって、その椎骨動脈に狭窄や閉塞をもたらしたり、椎骨動…

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