
患者の「大丈夫です」は、大丈夫ではないことが多い
「今週末、飲みに行かないか?」
「いえ、大丈夫です」
このように、「大丈夫」を「ノー」の意味で使う人が見受けられます。婉曲に断っているつもりのようですが、明らかに間違った使い方です。
「大丈夫」は、危なげがなく安心できるさま、強くてしっかりしているさまをあらわす言葉です。この言葉が生まれたのは、古代中国・周の時代(紀元前1050年頃~紀元前256年)。周の単位では1丈は約170cm(諸説あり)で、身長が1丈ほどに達した成人男性を「丈夫(じょうふ、じょうぶ)」といい、特に立派な男性のことを「大丈夫(だいじょうふ、だいじょうぶ)」と呼んでいました。日本に「大丈夫」という言葉が伝わったときは「立派な男性」の意味でしたが、転じて「間違いない」「確かである」という意味でも使われるようになったといわれています。
医療現場において、「大丈夫」という言葉はどのように使われているでしょうか。たとえば、医療従事者の「大丈夫ですか?」という問いかけに患者が「大丈夫です」と返事をすることがありますが、この「大丈夫です」は大丈夫ではないことが多いので注意が必要です。
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