
私たちは「ドーパミンの奴隷」なのか?
いつでも自由に食べられるエサと、レバーを押したときだけ出てくるエサを用意した場合、ラットはどちらを食べるでしょうか。正解は、レバーを押したときだけ出てくるエサです。
は、もう1問。ある団体に所属するときに、希望すれば誰でも入会できる場合と、試練(儀式や試験など)を経ないと入会できない場合とでは、どちらのほうがその団体への帰属意識や愛着が強くなるでしょうか。もう、おわかりですね。こちらの場合も試練があったほうが正解となります。
このような研究から、脳は何もしないで手に入るものよりも、何か課題をこなして手に入れたものを好むことが示され、「コントラフリーローディング(contrafreeloading)」と呼ばれています。コントラは「逆・反対」、フリーローディングは「たかる」という意味なので、日本語では「逆たかり行動」と訳されています。
この現象は、哺乳類だけでなく、鳥類や魚類を含めてほぼすべての動物に見られるようです。人間の場合、マウスと同じような実験をすると、特に就学前の子どもは100%近くが課題のあるほうを選びます。コントラフリーローディングの状態のとき、脳の中ではドーパミンが多く分泌さ…