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吸血の法則

2017年10月号
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感染症を引き起こす原因は“独立した唾液腺”にあり

春から秋にかけて活発に活動するマダニや蚊などの吸血生物は、ウイルスや原虫などの病原体を媒介して、ヒトに様々な感染症を引き起こします。
マダニが媒介する感染症は、近年注目されている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のほか、日本紅斑熱やライム病などがあります。また、日本に広く生息するヒトスジシマカ(通称:ヤブ蚊)は、デング熱、ジカ熱、チクングニア熱などの感染症を媒介します。マダニと蚊で、あるいは同じ蚊の仲間でも媒介する病原体が異なりますが、これは病原体が寄生する相手を選り好みし、マダニと蚊も吸血する相手を選り好みすることに起因しています。しかし、同じ血を吸う生物でも、ヤマビルによる感染症は報告されていません。この違いはどうして生じるのでしょうか。それぞれの体の仕組みと吸血方法を比較してみましょう。
マダニの口は、鋏角(きょうかく)と口下片(こうかへん)で構成されています。まず鋏角でヒトの皮膚を切り裂いて、皮下にBlood poolと呼ばれる血液貯留庫を作り出し、そこに口下片を差し込んで吸血します。マダニの唾液腺からヒトに送り込まれる唾液には、口を皮膚にしっかりくっつけるセメント様物質、血液が固まらないようにする止血阻害物質(抗血小板物質、抗血液凝固物質など)が含まれています。
蚊はマダニと異なり、刺して吸うタイプです。産卵するための栄養源として、メスのみが吸血します。蚊の刺針は1本のように見えますが、

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