
酸味のない食品にもビタミンCは多く含まれる
ヒトや直鼻猿亜目(チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、テナガザルなど)とその他の哺乳類の一部は、進化の過程でビタミンC(アスコルビン酸)の合成能を失っています。この能力を失った原因については、いまだ明らかになっていませんが、アスコルビン酸の低下がウイルスの増殖抑制に働いたとする説や、アスコルビン酸は野菜、果物に多く含まれているため、アスコルビン酸合成能を失っても生存に不利にならず、合成能を失った個体が偶然に集団内に広まったとする説などが示されています1)。
ヒトにとってビタミンC摂取が重要な意味を持つようになったのは、16~18世紀の大航海時代でした。ビタミンCは活性酸素の消去という重要な働きを持っていますが、皮膚や血管、じん帯、骨、軟骨を作っているコラーゲンの合成にも深く関わっています。そのため、ビタミンCが欠乏すると血管がもろくなって出血する壊血病にかかりやすくなります。長い航海では食糧も限られますので、この病気にかかって死亡する船乗りが多かったわけです。
このようにビタミンCは大切な役割を果たしていますが、どうすれば効率よく摂取できるのでしょうか。ビタミンCといえば、すぐに酸味の強いレモンなどが思い浮かびますが、これは酸味=ビタミンCという思い込みで、酸味のない食品にもビタミンCは多く含まれています。
ビタミンC摂取でおすすめの主な食品を表に示します。意外なところでは、魚介類ではめんたいこ、海藻類ではのりにビタミンCが多く含まれています。イモ類では