
除去食に対する考え方が変わってきた
食物アレルギーは乳幼児が一番多く、年齢とともに減っていきます。原因食物は、乳幼児では鶏卵、乳製品、小麦が大半を占め、7歳以降になるとカニやエビなどの甲殻類、果物、ソバ、魚介類が増えてきます。鶏卵、牛乳、小麦、大豆は耐性を獲得しやすく、大人になると食べられるようになる人が多いのですが、ソバ、ピーナッツ、甲殻類、魚介類などは耐性を獲得しにくく、子どもの頃に食べられないと大人になっても症状が残るとされます。
食物アレルギーに対しては、2016年10月に日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン」が改訂され、アレルギーの原因となる食物除去は必要最小限とし、原因食品を可能な範囲で摂取させるという方針が打ち出されました。血液検査の結果だけで安易に除去食を行うのではなく、まずは専門医の診断を受け、医師の指導の下に原因食物の除去や摂取を進めていくことが推奨されています。
食物アレルギーに対する栄養指導の進め方
食物アレルギーは乳幼児に多いので、過度な除去食は成長障害につながります。食べられないものがあっても、なるべくバランスよく食べることが基本です。たとえば鶏卵がアレルゲンの場合、魚や乳製品などたんぱく源になる食材を代わりに摂取して、栄養バランスが悪くならないよう心がけます。代わりの食材を見つけるには「6つの基礎食品群」※が参考になります。
一方、お米や小麦などの主食にアレルギーがあると他の食品に置き換えるのが難しいので、小麦を使わないパンなど食物アレルギー用に市販されているアレルギー対応食品などを上手に利用しましょう。家庭で調理する場合は、まず患者さんの分をつくり、その後で家族の分をつくるなど、混ざらないようにすることが大切です。
- https://www.med.or.jp/forest/health/eat/03.html
サプリメントや健康食品の注意点
治療効果のあるサプリメントや健康食品はなく、治療目的には使えません。逆に、サプリメントを使うことで食物アレルギーが起こることが報告されています。たとえばキチン・キトサンやグルコサミンはエビ・カニなどの甲殻類を原料としていることが多く、精製が不十分だとアレルギーを起こすことがあります。プロポリス、ローヤルゼリーもアレルギーが多いとされます。これらは高齢者がよく使っており、高齢になってから食物アレルギーを発症する原因になるので、かゆみや発疹が出たときは注意が必要です。また、賦形剤として添加されているゼラチンやデンプンなどでもアレルギーを起こす可能性があることも知っておきましょう。
患者さんのための栄養ガイド


