専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

【大腸がん】患者の生活に寄り添った具体的な服薬指導を

2017年11月号
大腸がん Part2 患者の生活に寄り添った具体的な服薬指導をの画像
大腸がんは日本人が最も罹患しやすいがんだが、専門家によるとほかのがん種に比べて性質がおとなしいという。そのため、早期に発見し、適切な治療を受ければ完治が見込め、たとえ進行がんや他臓器に転移しても治療法を組み合わせることで長期間にわたって生存が可能であり、良質な生活を送ることもできる。その背景には、治療薬の開発や外科手術の進歩、医療関係者の献身的な働きがある。がん・感染症センター都立駒込病院外科部長の高橋慶一氏と、薬剤科の清美奈氏に大腸がん治療の現状を伺った。

Part.2 患者の生活に寄り添った具体的な服薬指導を

副作用の症状や出現時期 病院に連絡すべきポイントをアドバイス

外科治療が進歩し、治療効果の優れた抗がん剤が次々に開発され、早期に発見できれば大腸がんで命を落とすことはまずなくなった。再発したら化学療法しか治療選択肢がないがん種と違って、大腸がんは他臓器に遠隔転移しても薬物療法と手術をうまく組み合わせて治癒も可能だ。術後の補助化学療法も確立しているので患者は外来通院で治療を続けることができる。
都立駒込病院の大腸がん患者の多くが通院治療センターで治療を受ける。定期的に通院し主治医の診察を受け、抗がん剤を点滴して帰宅する。抗がん剤内服薬を服用する場合は、主に自宅で薬を服用する。このようにがん治療をしながら社会生活を続ける患者は少なくない。「患者さんは治療を受けながら自宅で過ごすことになります。そのような患者さんに対し薬剤師は何を伝えるべきかを常に考えています」と、都立駒込病院薬剤科のがん専門薬剤師である清美奈氏は話す。
清氏は、「例えば下痢が起こった場合は、通常の排便回数より何回多いか、吐き気が起こった場合は水も飲めないような状態か、など具体的に患者さんへ伝えることが重要です」と、副作用が生じた場合に患者が病院に連絡すべきポイント(表2)について言及し、自宅で療養する大腸がん患者へ服薬指導で伝えるべきこととして、①抗がん剤の副作用の症状とその時期、②副作用の予防法と対処法、③患者自身が取り組める具体的な工夫、④病院に連絡すべき症状の目安、の4点を挙げている。内服薬については飲み忘れたときや飲みすぎたときの対応についての指導も大切だ。

表2 医師に相談すべき副作用のポイント
(TS-1の例)
38℃以上の発熱
体重の低下
1日4回以上の下痢
皮疹(発疹)
息切れ・空咳

大鵬薬品工業作成「ティーエスワン®を服用される方へ 服薬記録」を参考に作成

副作用の説明は患者目線で具体的に

清氏は、抗がん剤の副作用やその対応などに関する情報は、できるだけ患者の目線で具体的に説明することを勧める。
カペシタビンの副作用の1つに手足症候群がある。手のひらや足の裏が赤く腫れたり、重症になると水疱ができたりする。水疱が破れると痛みで歩くのもつらい。その予防に保湿剤が処方されるが、使い方が不十分な場合、副作用を十分に予防することができない。一般的に、男性は女性のようにハンドクリームなどの外用剤を塗る習慣がない。そのため、特に男性患者には保湿剤の塗り方について、1日の塗る回数、塗るタイミング、塗る際の一回量を具体的に指導する必要がある。
また、症状によりステロイドの外用薬が処方されることもある。部位によって皮膚の吸収性が異なるため、使い分けが必要になる。患者に理解してもらえるよう、塗り方と合わせて、使い分けの意図を丁寧に説明することが重要になる。
がんの治療で頻用されるTS-1は抗てんかん薬のフェニトイン、抗凝固薬のワルファリンとの相互作用がある。特にワルファリンは、循環器系の疾患がある患者に血栓予防のために処方され、

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