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専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

part.2 骨粗鬆症 治療薬に関する細やかな指導でリエゾンサービスを支える

2019年5月号
骨粗鬆症の画像
高齢化が急速に進む現代の日本では、健康寿命の延伸が重要な課題となる。骨粗鬆症を原因とした骨折、中でも大腿骨近位部骨折は、寝たきりの主要原因の一つであるにもかかわらず、骨粗鬆症の治療率は低く、治療を開始したとしても継続率が非常に低いことが指摘されている。そこで近年、日本骨粗鬆症学会は、骨粗鬆症の啓発、予防、診断、治療のための多職種連携システムである「骨粗鬆症リエゾンサービス」の運用を推進している。今回は、骨粗鬆症リエゾンサービスに積極的に取り組んでいる、武蔵台病院の理事長・整形外科部長の河野義彦氏と薬剤師の宇津木冬枝氏に、骨粗鬆症治療のポイントと同院の取り組みについてお話を伺った。

薬剤師に期待される服薬指導のポイント

  1. 自己注射剤は、開始前と月1回の指導でアドヒアランスを維持する
  2. 服薬指導の際は理由を交えて説明する
  3. 他疾患の罹患状況を把握し対応する
  4. 定期的な指導の機会を設ける

治療薬に関する細やかな指導でリエゾンサービスを支える

自己注射剤で高いアドヒアランス 月1回のコミュニケーションで状況を確認

武蔵台病院では、自己注射剤のテリパラチドの処方は院内の薬剤部で対応しており、薬剤の説明や皮下注キットの取り扱い方法の説明を行っている。患者の多くは、治療開始前は注射剤に対し消極的な反応を示すと武蔵台病院薬剤師の宇津木氏は話す。同氏は、ネガティブな印象を和らげるように、注射時の痛みは耐えられないレベルではないであろうことを伝える。また、1日1回の注射を継続することの必要性を伝え、「値段も安くはないお薬だと思いますので、しっかり続けていきましょう」と話すという。
気になるアドヒアランスについて尋ねると、意外にもテリパラチドのアドヒアランスは良好のようだ。「テリパラチドは約1ヵ月(28日)で使い切る仕様になっていますので、患者さんはほとんど毎月薬剤部にいらっしゃいます。そこで使用状況を確認するのですが、皆さん意外にしっかり使えているのがわかります」と語る。前回処方された皮下注キットを持参して、残量を見せてくれる患者もいるという。宇津木氏は、この毎月の投薬時に患者とのコミュニケーションをとることで、アドヒアランスを維持するように努めている。

ビスホスホネートの服薬指導は理由を交えて患者の理解を深める

ビスホスホネートには、服用のタイミングや服用前後の摂食、服用時の体勢などについての様々な制限があるが、宇津木氏は「なぜそうしなければならないか」という理由を交えて説明し、患者の理解を促している。「飲料水としてミネラルウォーターを常用している方も多くいます。カルシウムを多く含むミネラルウォーターは、ビスホスホネートの吸収を阻害す…

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