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【特定薬剤管理指導加算】「イ(RMP)」「ロ(選定療養)」算定Q&A
専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

【肺炎】症状が乏しく見つけにくい高齢者の肺炎 原因菌を推定し経験的治療で抗菌薬投与

2017年7月号
肺炎 Part1 症状が乏しく見つけにくい高齢者の肺炎原因菌を推定し経験的治療で抗菌薬投与の画像
肺炎は日常的に診る機会が多いコモンディジーズだが、日本人の死因の第3位を占めることからもわかるように、良好な生命予後を期待できない疾患でもある。特に高齢者の肺炎は早期発見・治療の機会を逸しやすく、重症化する可能性が高い。高齢者の増加に伴って、今後さらに肺炎の罹患率・死亡率の上昇が予想されている。肺炎の治療では薬剤の適正使用が重要であり、薬剤師の介入が欠かせない。埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授の前﨑繁文氏に高齢者の肺炎診療の難しさや抗菌薬の使い方を、埼玉医科大学病院薬剤部の永野浩之氏からは服薬指導のポイントを解説していただいた。

Check Point

高齢者がいつもと違う様子なら肺炎の可能性も 一般的な肺炎と発症機序が異なる誤嚥性肺炎を区別 初期治療では可能性のある起炎菌をカバーする抗菌薬を投与 PK-PD理論に基づく適正使用で最大効果を発揮し、薬剤耐性菌を抑制 予防には肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種

Part.1 症状が乏しく見つけにくい高齢者の肺炎原因菌を推定し経験的治療で抗菌薬投与

受診時のレントゲン検査で早期スクリーニングにつなげる

肺炎は、細菌やウイルスなどの病原微生物によって肺に炎症が生じる急性の疾患だ。肺炎を起こす代表的な病原微生物は肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジアで、世界共通の4大起炎菌として知られている。肺炎の大半を占める肺炎球菌とインフルエンザ菌による肺炎は細菌性肺炎と呼ばれる。細菌には細胞壁があり、その構造の違いによってグラム陽性菌(肺炎球菌など)とグラム陰性菌(インフルエンザ菌など)に分類され、グラム染色によって見分けることができる(図1)。

図1 肺炎患者の喀痰のグラム染色像

図1 肺炎患者の喀痰のグラム染色像の画像

多くの白血球とともに、莢膜を伴う青色に染色されたグラム陽性球菌が観察される。

前﨑繁文氏 提供

一方、細菌とは異なり細胞壁のないマイコプラズマやクラミジアが原因で起こる肺炎は非定型肺炎と呼ばれる。細菌性肺炎の原因菌には他に、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎クレブシエラなどがあり、非定型肺炎の原因菌には、レジオネラ、ニューモシスティスなどがある。
肺炎は症状として発熱を認め、高熱を伴うことも多く、同時に頭痛、食欲不振、全身倦怠感、筋肉痛などがみられることもある。また、細菌性肺炎では膿性痰を伴う咳がよくみられるが、マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎では、痰を伴わない強い咳を認めることが多い。
しかし、高齢者の肺炎では微熱など発熱を認めないこともある。また、咳も痰も出ないことがあるため、何となく普段と様子が違っている場合でも肺炎を発症している可能性があり、注意が必要である。日頃から様子を見ている家族が同居していれば異変に早く気づいて早期診断・治療が可能だが、独居高齢者などでは発見が遅れ、重症化してから受診するケースが少なくない。
このように高齢者では典型的な症状を認めないことも多いため、「普段と比べて元気がない」「食事をあまりとらない」「よくつまずく」といった徴候を見逃さずに早めに受診し、「受診時に『いつもと様子が違い、もしかしたら肺炎かもしれないので、念のためレントゲンを撮ってほしい』と一言付け加えることが大切」と埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授の前﨑繁文氏は助言する。

高齢者の肺炎の70%以上は誤嚥が関与

肺炎はまた、発症する場所によって、市中肺炎(病院外から入院48時間未満に発症)と院内肺炎(入院後48時間以上経過して発症)に分けられるが、高齢者の場合はさらに、特別養護老人ホーム、老人保健施設、サービス付き高齢者住宅などの介護施設に関連して発症する医療・介護関連肺炎(NHCAP)が加わる。次の4項目のうち1つでも該当すれば医療・介護関連肺炎と判定される──①長期療養型病床群あるいは介護施設に入所している、②90日以内に病院を退院した、③介護を必要とする高齢者、身障者である、④通院して継続的に血管内治療を受けている。
医療・介護関連肺炎は、重症肺炎や薬剤耐性菌による肺炎の可能性がある(表1)。「抗菌薬が使用されることは少ない介護施設で薬剤耐性菌による肺炎を考慮する理由は、急性期病院で治療を受けた高齢者が、MRSAなどの薬剤耐性菌を保菌した状態で介護施設に戻ってきて、肺炎を発症するため。医療・介護関連肺炎では、薬剤耐性菌による肺炎の可能性も考えて治療戦略(図2)を立てる必要がある」と前﨑氏は指摘する。

表1 医療・介護関連肺炎の原因菌
耐性菌のリスクがない場合
  • 肺炎球菌
  • メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)
  • グラム陰性腸内細菌 (クレブシエラ属、大腸菌など)
  • インフルエンザ菌
  • 口腔内連鎖球菌
  • 非定型病原体 (特にクラミドフィラ属)
耐性菌のリスクがある場合(上記の菌種に加え、下記の菌を考慮する)
  • 緑膿菌
  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
  • アシネトバクター属
  • 基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌

日本呼吸器学会「医療・介護関連肺炎診療ガイドライン」より引用改変


図2 医療・介護関連肺炎の治療区分アルゴリズム

図2 医療・介護関連肺炎の治療区分アルゴリズムの画像

日本呼吸器学会「医療・介護関連肺炎診療ガイドライン」より引用改変

さらに薬剤耐性菌は市中肺炎でも発生している。ペニシリン耐性肺炎球菌やマクロライド耐性肺炎マイコプラズマなどの薬剤耐性菌が近年、増加傾向にある。
日本呼吸器学会によれば、高齢者の肺炎の70%以上は誤嚥が関与しているという。誤嚥性肺炎は、口腔内の常在菌が唾液に混じって肺に流れ込み、肺の中で細菌が増殖して発症する肺炎だ。老化に伴って嚥下反射が低下すると不顕性誤嚥を起こしやすく、脳血管障害などで嚥下機能が損なわれるとそのリスクはさらに高まる。このように誤嚥性肺炎は嚥下機能の低下という器質的な要因で発症する疾患という観点から、その他の肺炎とは区別する傾向にある(表2)。

表2 NHCAPにおける誤嚥性肺炎の治療方針
1 抗菌薬治療(口腔内常在菌、嫌気菌に有効な薬剤を優先する)
2 肺炎球菌ワクチン(PPV)接種は可能であれば実施
(重症化を防ぐためにインフルエンザワクチンの接種が望ましい)
3 口腔ケアを行う
4 摂食・嚥下リハビリテーションを行う
5 嚥下機能を改善させる薬物療法を考慮
(ACE阻害剤、シロスタゾールなど)
6 意識レベルを高める努力(鎮静剤、睡眠剤の減量・中止など)
7 嚥下困難を生ずる薬剤の減量・中止
8 栄養状態の改善を図る
(ただし、胃瘻(PEG)自体に肺炎予防のエビデンスはない)
9 就寝時の体位は頭位(上半身)の軽度挙上が望ましい

日本呼吸器学会「医療・介護関連肺炎診療ガイドライン」より引用改変

原因菌が確定するまではエンピリック療法で治療

肺炎は、発熱や咳、痰などの特徴的な症状がみられ、胸部X線写真やCT写真で浸潤影(図3)を認めることから診断できる。血液検査では、白血球数増加やCRP上昇などの炎症反応を確認する。さらに、適切に抗菌薬を選択するために病原微生物を特定する必要がある。

図3 肺炎患者の胸部X線像

図3 肺炎患者の胸部X線像

80歳代、女性。右肺に広範囲な浸潤影を認める。

前﨑繁文氏 提供

喀痰検査による原因菌の同定や薬剤感受性検査には数日を要するため、原因菌を推定して治療薬を選択するエンピリック療法を行う。
エンピリック療法は、原因菌が判明するまで可能性のある原因菌をカバーできる抗菌薬を選択する。また、原因菌を推定するため細菌性肺炎と非定型肺炎を鑑別することが有用である(表3)。たとえば、原因菌は患者の年齢によっても違いがあり、若年者では肺炎マイコプラズマが多く、高齢者では肺炎球菌が多い。その他、診察所見や、検査所見からも鑑別がある程度可能である。

表3 非定型肺炎群と細菌性肺炎群の鑑別
1 60歳未満である
2 基礎疾患がない、あるいは軽微
3 頑固な咳がある
4 胸部身体所見に乏しい
5 痰がない、あるいは迅速診断法で原因菌が証明されない
6 末梢血白血球数が10,000/μl未満である
6項目中4項目以上合致した場合、非定型肺炎疑い
6項目中3項目以下が合致した場合、細菌性肺炎疑い
感度:77.9%、特異度:93.0%

日本呼吸器学会「成人市中肺炎診療ガイドライン」より引用

抗菌薬の特徴と副作用 薬剤耐性菌に注意する

肺炎の治療に使われる主な抗菌薬は、抗生物質ではβラクタム系薬(ペニシリン系薬、セフェム系薬)、マクロライド系薬、テトラサイクリン系薬、合成抗菌薬ではキノロン系薬などがある。
肺炎球菌やインフルエンザ菌による肺炎には、細菌の細胞壁合成を阻害するペニシリン系薬、セフェム系薬が用いられる。一方、細胞壁が存在せずβラクタム系抗菌薬の効果がない肺炎マイコプラズマや肺炎クラミジアには、細菌が活動するために必要なたんぱく質の合成を阻害するマクロライド系薬やテトラサイクリン系薬、あるいは細菌の遺伝子に作用するキノロン系薬などが用いられる。

ペニシリン系薬

ペニシリン系薬は、細菌のペニシリン結合たんぱく質に結合して、細菌が増殖する最終段階で細胞壁の合成を阻害する作用がある。ペニシリン系薬は殺菌作用に優れ、多くの病原菌に対して高い効果が期待できるが、βラクタマーゼを産生する細菌に対しては、加水分解によって抗菌活性が失われるため、効果がない。そこで、βラクタマーゼ阻害薬を配合することで、βラクタマーゼ産生菌に対抗することが可能になった。
長い歴史のあるペニシリン系薬は数多い抗菌薬の中でも安全に使うことができる薬剤の1つだが、副作用ではアレルギー、いわゆるペニシリンショック(Ⅰ型アレルギー)には注意が必要だ。ほかに、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)や腎機能障害などの副作用も知られている。
2000年代初頭からペニシリン系薬に耐性を示す肺炎球菌が増加している。ペニシリン耐性肺炎球菌は経口抗菌薬として広く使われているマクロライド系薬やセフェム系薬にも同時に耐性を獲得することから薬剤耐性肺炎球菌と呼ばれている。

セフェム系薬

ペニシリン系薬と同じβラクタム系薬の1つであるセフェム系薬は第1世代から第4世代(経口薬は第3世代)まである。抗菌薬の開発と耐性菌の出現は追いつ追われつといった関係にあり、同じセフェム系薬でも世代が異なるとその薬剤がカバーできる細菌も変わる。第1世代はグラム陽性菌に強く、第4世代はグラム陽性菌と緑膿菌を含むグラム陰性菌の双方に効果がある。
セフェム系薬は種類が多く抗菌活性も多彩で、他の抗菌薬に比べて副作用も少ない。そのため、一時期は抗菌薬の中心的な役割を果たし、外来でも経口薬がよく処方された。最も新しい第4世代が登場してからすでに20年以上たった現在まで、新たな薬剤は開発されていない。その間に薬剤耐性菌が増え、さらに非定型肺炎には効果がないことから、肺炎治療ではセフェム系薬の出番が少なくなってきている。

マクロライド系薬

マイコプラズマ肺炎は軽症から中等症の市中肺炎として小児や若年者で比較的多くみられる。細胞壁をもたないマイコプラズマやクラミジアなどが原因菌の非定型肺炎にはマクロライド系薬が用いられる。高齢者では肺炎球菌などの細菌感染が合併することがあり、βラクタム系薬とマクロライド系薬が併用される。
マクロライド系薬はグラム陽性菌、グラム陰性菌に対して効果がある。ペニシリンアレルギーがある患者には、マクロライド系薬が代替薬として使われることがある。また、比較的副作用が少ないのもマクロライド系薬の特徴であり、こうしたことからマクロライド系薬が大量に処方されるようになった。その結果、薬剤耐性菌の出現を招くことになり問題となっている。特に肺炎球菌ではペニシリン耐性・マクロライド耐性肺炎球菌が増加しており、約80%がマクロライド耐性になっているという。

キノロン系薬

キノロン系薬は、原因菌のDNA合成を阻害することで殺菌効果を発揮する。グラム陽性菌もグラム陰性菌にも有効で、細菌性肺炎だけでなく非定型肺炎にも有効であり、組織・細胞内移行性や体内動態に優れている。これらの特徴から、“切れ味”のよい薬剤として広く用いられている。特に、高齢者の市中肺炎の原因菌となる薬剤耐性肺炎球菌に対しても優れた抗菌活性を示す。その反面、悪心・嘔吐、頭痛や不眠などの中枢神経障害、日光過敏症、血糖異常、不整脈などの副作用や、併用薬との相互作用も多く、特に65歳以上の高齢者において副作用発現率が高い。また、腎機能が低下した患者には慎重に投与する必要がある。新たに開発されたキノロン系薬は1日1回の投与で薬剤の服薬コンプライアンスがよく、多く処方されているが、キノロン系薬は結核菌にも抗菌活性があるため、一時的に肺結核が軽快し、診断の遅れにつながる可能性があるため、処方に際しては十分な注意が必要となる。

PK-PD理論

近年、感染症に対する薬物療法では、効率のよい治療、耐性菌の出現抑制、副作用予防の観点から、PK-PD理論に基づく抗菌薬の適正使用が求められるようになってきた。PK-PD理論は、PK(pharmacokinetics:薬物動態)とPD(pharmacodynamics:薬力学)を組み合わせて、抗菌薬の有効性や安全性の観点から最適な用法・用量を設定し、適正な臨床使用を実践するための考え方だ。
肺炎の治療でも、抗菌薬を適切に用いることで耐性菌の出現を抑え、できるだけ薬剤の効果を維持することが重要になる。PK-PD理論に従えば、セフェム系薬、ペニシリン系薬は時間依存性殺菌作用と短い持続効果が特徴で、総投与量が同じであれば分割回数を増やすことが望ましい。キノロン系薬は濃度依存性殺菌作用と長い持続効果が特徴であるため、1日1 回投与で血中濃度推移パラメーターの曲線下面積(AUC)をできるだけ大きくすることが重要となる。

肺炎球菌ワクチン

厚生労働省の調査(2015年人口動態統計)によると、肺炎は日本人の死因の第3位で、死亡数120,953人の約95%を65歳以上が占める。高齢者の肺炎による死亡数を減らす一番の近道は予防だ。肺炎の予防は、感染症の一般的な予防法と同様、手洗い、うがい、マスクの着用、口腔内の清潔を心がけるとともに、誤嚥を起こさないように気を付けることが肝心だ。「そのうえで肺炎球菌ワクチンが有用」と、前﨑氏は予防接種を薦める。
高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種制度が2014年10月から開始され、65歳以上や、慢性呼吸器疾患(COPDなど)、糖尿病、慢性心不全などの慢性疾患のある人が対象になった(表4)。肺炎球菌には90種類以上の血清型があり、定期接種で使用される「23価肺炎球菌ワクチン(一般名:23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、そのうちの23種類の血清型が使われている。肺炎球菌ワクチンの効果は接種後5年程度で、肺炎による死亡を防ぐためには、年に1回インフルエンザワクチンを接種することが推奨されている。

表4 肺炎球菌ワクチン定期接種の対象
対象者❶(生年月日)
 65歳となる方 昭和27年4月2日生~昭和28年4月1日生
 70歳となる方 昭和22年4月2日生~昭和23年4月1日生
 75歳となる方 昭和17年4月2日生~昭和18年4月1日生
 80歳となる方 昭和12年4月2日生~昭和13年4月1日生
 85歳となる方 昭和 7年4月2日生~昭和 8年4月1日生
 90歳となる方 昭和 2年4月2日生~昭和 3年4月1日生
 95歳となる方 大正11年4月2日生~大正12年4月1日生
 100歳となる方 大正 6年4月2日生~大正 7年4月1日生
対象者❷
60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方

平成29年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)は①もしくは②の方が定期接種の対象です。

厚生労働省パンフレット「高齢者を対象にした肺炎球菌ワクチンの接種費用の一部を公費で負担する定期接種を開始!」より引用

抗菌薬の適正使用では薬剤師の役割が重要

薬剤耐性菌の出現は、抗菌薬の不適切な使用がもたらした弊害といえる。抗菌薬の誤解・誤用は、たとえば風邪に対する抗菌薬の処方が一例だ。風邪の原因となるウイルスには抗菌薬は無効であることは周知の事実だが、多くの医療機関で処方されている。背景には患者の抗菌薬への依存、理解不足があるが、医療機関にとっては、風邪から肺炎に進展した場合を想定した予防策という側面もある。
厚生労働省は、抗菌薬を使いすぎると薬剤耐性菌が増え、治療に有効な薬剤がなくなる事態を懸念して、手引書を作成し、軽い風邪などに対する抗菌薬の投与を控えるよう呼びかけている。患者が抗菌薬治療の正確な知識を身に付け、薬剤を服用するように啓発し続けていく必要がある。特に外来で処方される経口抗菌薬に関して患者のアドヒアランスを把握することは難しい。処方どおりに服薬されなければ薬剤の効果を正確に判定できず、治療が不十分なまま他の抗菌薬に切り替えると薬剤耐性菌が生まれるきっかけになる。
「院内の抗菌薬の適正使用については、現在多くの病院で薬剤師が中心になってさまざまなプロジェクトが進められています。院外では特に経口抗菌薬の適正使用については課題が多いのですが、患者の抗菌薬に対する理解を深め、処方どおりの服薬を遵守するように粘り強く、ていねいに服薬指導を実践していくしかありません。今後、薬剤師の役割がますます重要になります」と前﨑氏は話している。

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