
薬局薬剤師編
2018年度は6年に一度の診療報酬および介護報酬の同時改定になるとともに、医療介護総合確保方針、医療計画、介護保険事業(支援)計画、医療保険制度改革などの関連制度の見直し時期が重なる大きな節目の年となりました。地域包括ケアシステムの構築に向けて、診療報酬と介護報酬との連携・調整をより一層進めるための非常に重要な分水嶺の改定と位置付けられました。
診療報酬改定は4つの基本的な考え方を軸に議論され、中でも「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」が重点課題とされました。
介護報酬改定は、「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止」「多様な人材の確保と生産性の向上」「介護サービスの適正化」を軸に議論されました。
調剤基本料
前回、6区分になった調剤基本料(未妥結減算を含めると12区分)ですが、今回は5区分に簡素化されました。その方向性は「効率よく」、「利益率が高い」薬局は今まで以上に点数を抑えるというものです。その基準は、1996年度改定から導入された処方箋の「受付回数と集中率」、前回改定から導入された「医療機関との不動産取引」、「大型門前薬局」および「同一薬局グループ総処方箋受付回数」による区分が継続されていますが、内容は大きく変更されました。
特別調剤基本料
いわゆる病院の敷地内薬局であって集中率が高い薬局は「特別調剤基本料」に区分されます。また施設基準の届出をしなかった薬局もこの区分に該当します。
調剤基本料3(イ)、(ロ)
同一薬局グループの総処方箋受付回数が一定数を超え、集中率が高い薬局または医療機関との不動産取引がある薬局は、「調剤基本料3」に区分されます。受付回数に関しては、前回改定で導入された、同一グループによる総受付回数が4万枚超から、40万枚超という、いわゆる超大型チェーン薬局を対象とした基準が新設されました。集中率に関しては95%超が85%超に厳格化されました。
調剤基本料2
処方箋受付回数が一定数を超え、集中率が高い大型門前薬局は「調剤基本料2」に区分されます。また、いわゆる医療ビルの中の薬局および同一医療機関前に同一薬局グループの薬局が複数あるケースなどは受付回数を合算して判定するという概念が新たに導入されました。集中率に関しては90%超から85%超と厳格になりました。
調剤基本料1
上記、「特別調剤基本料」、「調剤基本料3」および「調剤基本料2」以外の薬局は「調剤基本料1」に区分されます。また、前回改定ではかかりつけ機能を持つことにより「調剤基本料1」を算定することができた「復活要件」は廃止されました。
医療資源の少ない地域の薬局
上記、「特別調剤基本料」、「調剤基本料3」および「調剤基本料2」に該当した薬局であっても、医療資源の少ない地域に所在していて、所在区域内の医療機関数および受付処方箋回数に係る基準を満たした場合は「調剤基本料1」の区分となります。
調剤基本料の減算基準
いわゆる未妥結減算に該当する場合、かかりつけ機能の業務を実施していない場合、および医薬品卸との契約状況に関する情報を厚生局に報告しなかった場合は、各々の調剤基本料に対して50%減算されます。診療報酬改定と並行して薬価制度抜本改革が議論され、2021年より毎年薬価調査・改定が実施されることになりました。それに向けて安定的な医薬品流通が確保されるよう国が主導して、単品単価契約および早期妥結を進める意味合いから医薬品卸との契約に関する状況報告が新設されました。
毎回の改定時に実施される医療経済実態調査では20店舗以上のいわゆるチェーン店、大型門前薬局、モール薬局の収益率が高いという結果でした。また、これら薬局群においては、医薬品の在庫数も少なく、地域への貢献よりも収益性を目指しているのではないかと中医協で指摘されました。その結果、これらの薬局群は調剤基本料に差をつけ、配分の見直しが行われました。
ただ、処方箋受付回数と集中率と立地により薬局の機能や地域への貢献を区分することは課題もあり、きめ細かくそれぞれの薬局の機能を評価するためにどの様な指標が考えられるか、今後の改定において議論すべきではないでしょうか。
地域支援体制加算(表)
基準調剤加算の廃止に伴い新設されました。多様な患者ニーズに対応できる体制、地域・社会へ貢献できる体制、多職種連携体制および個々の患者への薬学的管理・指導ができる体制等、地域包括ケアシステムの中で、より地域に貢献する薬局を評価するものです。薬局が地域包括ケアシステムの一員となっているかの指標となりますので、積極的な取り組みが望まれます。基準…