薬剤師トップ  〉 ファーマスタイル  〉 臨床・疾患  〉 m3オリジナル  〉 書籍『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』から学べること
check
薬剤師がおさえておきたい注目の記事
ハイリスク薬加算の薬歴の書き方は?服薬指導例についても解説
m3オリジナル

書籍『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』から学べること

2023年7月号
書籍『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』から学べることの画像

向精神薬の用量調整のケーススタディを配信している本企画で参考にしているのが、2021年5月に株式会社じほうから発行された『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』です。今回は本書籍で学べることをご紹介します。

書籍『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』の第1章では、精神科薬物療法に携わる薬剤師が押さえておきたい前提知識として、まず「精神疾患をもつ患者との関わり方」「患者とのコミュニケーション、どうとる?」「医師の処方の考え方を知ろう」「剤形の使い分け」「ポリファーマシーの捉え方と対応」という5つのテーマを取り上げています。向精神薬の服薬指導で確認しておきたいこと、患者さんとうまくコミュニケーションをとるためのコツ、意外に大切な剤形の話――など、精神科薬物療法特有の“とっつきにくさ”を解消するための基本的な知識が整理されています。
第2章の疾患編では、精神疾患ごとに症状や診断、治療方法が簡潔にまとめられ、向精神薬が治療の中心となるうつ病や双極性障害、統合失調症、不安症、睡眠障害のほか、認知症、せん妄、発達障害、薬物・アルコール依存も紹介されています。第3章の薬剤編では、精神科領域で使われる各薬剤の特徴だけでなく、「向精神薬の受容体プロファイル」「注意したい薬物相互作用」といった向精神薬の薬理作用や、「現場でみられる主な適応外使用」など実臨床に即した使い方と注意点などにも言及されています。さらに第4章の有害事象編では、精神科領域で起こりうる有害事象ごとに、その特徴や原因薬剤、対処法について、事例も含めながらしっかりと解説されています。
そして、第5章の精神科ものがたり編には、本企画の第1回、第2回で取り上げたような向精神薬の用量調整だけでなく、精神科にまつわるエピソードが小説スタイルでふんだんに紹介されています。例えば、患者さんとの接し方、話の聞き出し方など、服薬指導や患者対応に活かせる内容がリアルに描かれているので、実臨床でもきっと参考になるでしょう。タイトルからして気になりますね(表)。ちなみに、ファーマスタイル2023年7月号の記事で登場した「等価換算」についても、代表的な等価換算表が掲載されています。
最後に、薬剤師として精神科薬物療法に尽力されている編著者の思いを紹介して、今回の連載を終えたいと思います。

表 『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』で紹介されているケーススタディ一覧
  • 抗精神病薬を減量したい
  • 眠れないので、睡眠薬を増やしてもらえませんか?
  • 不安が強く、いろいろと聞いてくるうつ病患者
  • この薬、たくさん飲めば死ねますか?
  • 包丁を握りしめたせん妄患者

この記事の冊子

特集

2023年最新版 心不全の診断と治療

心不全の患者数は増加の一途をたどり、毎年1万人ベースで患者数が増加していると推定されています。団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年以降はさらに患者数が増加すると予測されることから「心不全パンデミック」の到来と危惧されており、その対策が喫緊の医療課題となっています。

2023年最新版 心不全の診断と治療の画像
Special Report

心不全患者の「つなぐ」薬歴管理 確認点と4つのステップ

患者さんの安全を守り、かつ薬剤師がそのために振り返るためのツールである薬歴。オンラインセミナー「心不全患者の薬歴マネジメント」が6月14日に開催され、つなぐ薬局 柏の薬剤師、鈴木邦彦氏が心不全の症例を題材に薬歴管理のポイントを解説しました。

心不全患者の「つなぐ」薬歴管理 確認点と4つのステップの画像
カフェ

脂肪肝による心不全リスクと改善法

7月28日は「日本肝炎デー」。厚生労働省は、7月28日を含む1週間を「肝臓週間」とし、肝炎の病態や予防、治療などの正しい理解が進むよう普及・啓発を行い、肝炎ウイルス検査の受検を呼びかけています。沈黙の臓器とも呼ばれ、自覚症状が乏しい肝臓は、定期的なセルフチェックが大切です。

「脂肪肝による心不全リスクと改善法」 ファーマスタイルカフェVol.14の画像
Special Report

向精神薬の多剤投与と等価換算

向精神薬は様々な場面で使用されています。薬剤師アンケートでは、向精神薬について知りたいこととして「用量調整の考え方」が多く選ばれました。 向精神薬の課題とされている多剤投与と、その解決の糸口となり得る薬剤の等価換算について紹介します。

向精神薬の多剤投与と等価換算の画像
m3オリジナル

向精神薬の用量調整のCase Study【抗精神病薬編】

向精神薬は多剤処方のケースが多く、有効性と副作用のバランスを鑑みて個々の患者さんで薬剤の用量調整を検討する必要があります。『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』より、ケーススタディとして向精神薬の調整のポイントを見ていきましょう。

向精神薬の用量調整のCase Study【抗精神病薬編】の画像
m3オリジナル

向精神薬の用量調整のCase Study【睡眠薬編】

精神科主治医より「薬剤について相談がある」との連絡を受け、院内薬剤師が患者Bさんの外来診察室に同席することになりました。睡眠薬と抗うつ薬の種類と用量調整について紹介します。

向精神薬の用量調整のCase Study【睡眠薬編】の画像
m3オリジナル

書籍『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』から学べること

向精神薬の用量調整のケーススタディを配信している本企画で参考にしているのが、2021年5月に株式会社じほうから発行された『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』です。今回は本書籍で学べることをご紹介します。

書籍『ゆるりとはじめる精神科の1冊目』から学べることの画像

この記事の関連記事

薬歴の達人

人気記事ランキング