プロブレムを意識し早期発見後に適切なケアをプランニング
講義は、服薬指導においてはプロブレム(アセスメント)を明確に意識することが重要、と始まった。O情報は、アセスメントの根拠となる情報(アセスメントが正しいということを示す証拠)で、通常は患者から自発的に話してくれる内容ではないという。そのため、O情報をしっかりと薬剤師側から聴取する姿勢が重要とのことだ。
患者との会話の中では、患者のペースに翻弄されるのではなく、自分が何を意図しどのような情報を聞き出そうとしているのか明確に意識する。また、過去の回であったように、多くの点について一度に指導しようとしても、患者が内容を消化できないので、1回の指導機会で多くのプロブレムは扱わない。この観点から、できる限り早いタイミングでプロブレムを絞り、そのプロブレムのみを掘り下げていき集中することが重要という。
今回の講義で紹介されたのは、服薬ケア研究会で開発された「服薬ケアステップ」。薬剤師のケア効果向上のための技術として患者応対の手順を定めたもので、頭の中をPOS(Problem Oriented System)にする方法論である。プロブレムを見つけ、その解決のための適切なケアをプランニングする。この方法では、患者とのやり取りが今どの段階なのか、常に考えながらケアを組み立てていく。
7つの段階から成る「服薬ケアステップ」
服薬ケアステップは、①質問のジャブ、②気づき・掘り下げ、③プロブレムの推定(絞り込み)、④情報の追加と確認、⑤プロブレムの確定、⑥ケアの実施、⑦効果の確認、という全部で7段階がある(表1)。
①質問のジャブ |
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②気づき・掘り下げ |
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③プロブレムの推定 (絞り込み) |
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④情報の追加と確認 |
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⑤プロブレムの確定 |
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⑥ケアの実施 |
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⑦効果の確認 |
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服薬ケア研究会提供
服薬ケア研究会会頭の岡村祐聡氏曰く、実臨床では③の段階で「プロブレムが決まった」と早合点し、④と⑤を飛ばしてすぐに指導を始めるケースが多い。ここで指導を始めた場合、O情報を収集せずに指導するので、アセスメント(A)が曖昧となり、薬歴を書く段階で時間がかかる。たとえ、③で「間違いなくプロブレムである」と思える状況であっても、それはあくまで「推定」としてとらえ、次の情報の追加と確認を行うが大切です」と、④の作業の重要性を強調する。
また、岡村氏は、④は②と混同しやすいことも付け加えた。特に注意すべきはおしゃべりな患者が相手の場合。そのおしゃべりに付き合いながらも、②と④のいずれの段階にいるのかを意識し、注意深く進めていく必要がある。