2022年9月17~19日に「医療者としての薬剤師の使命とは」をテーマに服薬ケア医療学会第12回大会が開催され、様々な内容の講演がなされた。ここでは、日本薬理学会理事長、厚生労働省の各委員会の委員長など、数々の著名な経歴を持つ和歌山県立医科大学薬学部教授の赤池昭紀氏の講演を紹介する。
6年制薬学教育と薬学教育モデル・コアカリキュラム
2006年に6年制となった薬学教育。赤池氏は、その前提として2002年に薬学教育モデル・コアカリキュラムが作成されたことを紹介した。
その後、2013年に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、薬剤師として求められる基本的な資質が設定された。この中にコミュニケーション能力やチーム医療への参画が含まれている。
本改訂の委員だった赤池氏は、「この改訂では薬剤師コンピテンシー(一定の職務や作業において絶えず安定的に業績をあげている人材に共通して観察される行動特性)を備えた人材の育成が目的とされました。今後もこの考え方は残ると思います」と説明。2022年度中に、医学、歯学、薬学の各領域の資質を調整した内容への改訂が見込まれている。
多死社会における看取りの重要性
超高齢化社会と言われる現在、高齢者の増加とともに死亡者数が増加し人口が減少している。これは「多死社会」と呼ばれ、2012年頃から30年間程度はこの傾向が続くという。
多死社会では、看取りが重要になってくる。赤池氏は、2020年より実施の「地域包括ケアに向けた薬剤師の看取り期への関わり方に関する調査研究事業」の委員長を務めている。この中で、通常の在宅業務と比べて薬剤師が他職種と連携する機会が増加し他職種からの期待も大きいことが分かったという。チーム医療だけでなく今後は「チームで看取り」が求められる、と赤池氏。
医薬分業と医療情報
2018年より医薬品医療機器制度部会で医薬分業に関する検討が実施され、赤池氏は副委員長を務めた。ここでは、他の医療者や患者が医薬分業のメリットを実感できていないとの指摘を受け、服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援、