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Special Report

Withコロナ時代の薬剤師・薬局業界の課題と解決策を考える

2020年10月号
With コロナ時代の薬剤師・薬局業界の課題と解決策を考えるの画像
世界を否応なしに変容させた新型コロナウイルス。2020年薬剤師業界はどう変わったのか、今後はどうなっていくのか。ファーマスタイルは、9月6日、一般社団法人リード・コンファーマと株式会社カケハシによる共催セミナー「Withコロナ時代の薬剤師・薬局業界の課題と解決策を考える」を取材した。登壇した井手口直子氏と中尾豊氏の鋭くも温かみのある講演と、その場のオーディエンスの質問を交えたディスカッションをリポートする。

<講演1>
Withコロナ時代の薬剤師のコミュニケーション

コロナで変わったこと

「コロナは、あなたの何を変えましたか?」。井手口直子氏の話はこの問いから始まった。
株式会社おいしい健康と慶應義塾大学の共同調査によれば、感染拡大以前からの変化として、起床時間が約1時間遅くなり、男性の間食回数が2.8倍に増加、1日あたりの歩数が40%以上減少したそうだ。緊急事態宣言の前後で主観的幸福感は下落したが、その後を含めると主観的幸福感が昨年に比べ高まっている層があるという。現在のライフスタイルへの慣れや工夫による適応が進んでいるのかもしれない。
一方で、コロナはあらゆる社会経済活動に大打撃を与えている。日本保険薬局協会の調査では、処方箋受付枚数が前年同時期より減少したという薬局の回答がほとんどだったが、井手口氏の薬局も例外ではなかったようだ。
電話やネットなどによる遠隔診療や服薬指導が特例で認められた、いわゆる0410対応。千葉県市川市の調剤薬局を対象にした調査では、オンライン服薬指導に対応している薬局は135店舗のうちわずか3店舗だった。この結果から、0410対応として現状は電話利用が主流と推測される、と井手口氏。しかし、処方箋数や来局者数が減少している現状を打破するためには、やはりオンライン服薬指導の導入が有力な手段の可能性が高いとのこと。

オンライン服薬指導のメリットと課題

患者側としては、場所や時間に制限がないことがオンラインの大きなメリットだ。薬剤師や薬局側としては、患者の継続的受診でさらなる健康の回復や維持されるが期待されるだけでなく、訪問時間削減により業務が効率化し、さらに一人薬剤師でも薬局を閉めずに対応も可能といった実務上のメリットもあるという。
しかし、前述のとおりオンライン服薬指導の浸透はまだ遠い。普及の壁として、患者側としては、薬剤の入手方法がある。来局してしまってはオンライン服薬指導のメリットのひとつである感染リスクの軽減効果が薄れるし、薬剤を郵送とする場合はタイムラグや配送費が発生する可能性が否めない。薬剤師側としては、対面に比べ患者の体調や状況のキャッチアップが不十分となる可能性があり、もちろんインフラ整備の負担もある。また、患者と薬局の双方にITリテラシーが必要、と井手口氏は話す。オンライン服薬指導は、全ての世代にアクセスしやすい医療サービスであるべきだが、こうした課題にどう立ち向かうのか。

店舗のルール作りが重要

オンライン服薬指導を含めた戦略としては、薬局店舗における患者層や薬局の特徴、スタンスを再確認し、それに基づいたルール作りと実用が重要と、井手口氏は強調する。例えば、「慢性疾患や若い患者が多いので、ITリテラシーが高いと考え積極的にオンラインを導入する」、あるいは「高齢の患者が多いので、オンラインを実施するにしても配送や感染予防の充実に重点を置く」など。未受診者、テレワーク実施層、子育て層、遠方の患者など、患者像は地域によって様々だろう。薬剤師の人数が少ない店舗では、オンラインの時間を指定する必要もあるという。

在宅調査から見えたBCPの重要性

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