新年度を迎え、自身のスキルアップや今後のキャリアを考えて何かを学び始めたい方は多いのではないでしょうか。薬剤師を対象とした認定制度は数多くあり、今回は薬局薬剤師に関わる認定制度を一部ご紹介します。2020年に新設されたものもありますので、改めてチェックしてみてください!
患者さんに安全で最適な医療を提供するために、薬剤師は日々、情報収集と知識の更新が求められます。薬剤師を対象とする様々な認定制度は、ひとつのモチベーションになるでしょう。また「かかりつけ薬剤師指導料」等の算定にも関わるため※、認定取得を求められる方も多いかもしれません。学習の目標やきっかけはそれぞれですが、まずは知識習得の場として以下で紹介するような認定制度が提供する研修を覗いて、関心のある分野を見つけてみてください。
認定取得にあたり、各認定制度が求める要件は多様で計画的に取組む必要があります。現在ではオンラインで開講している講座も多く、遠方で開催される講座なども受講できる機会が増えています。最新情報および詳細は、各運営団体のホームページをご確認ください。
※薬剤師認定制度認証機構(CPC)が認証する研修認定制度等の研修認定取得がかかりつけ薬剤師の要件のひとつ
注)認定者の薬局勤務者数は、各学会公開名簿より「薬局」と確認できた方を参考に集計
1研修認定薬剤師
運営▶公益財団法人 日本薬剤師研修センター
認定者数▶108,561名(新規36,923名、更新71,638名) ※2020年12月31日時点
申請要件▶最初の単位取得日から4年以内に40単位以上(毎年5単位以上)取得
更新▶3年
備考:現行の薬剤師研修手帳は、2021年9月より電子化(予定)に伴い2月末で販売終了(研修受講シールは継続提供)。
手帳がない場合は「研修認定薬剤師研修受講シール整理表」(当財団HP掲載)に研修受講シールを貼付する
2地域薬学ケア専門薬剤師
地域薬学ケア専門薬剤師(がん)2020年1月新設
運営▶一般社団法人 日本医療薬学会
申請要件▶
- 薬剤師実務経験5年以上、薬局実務経験1年以上(申請時に薬局勤務)、
- 申請時点で当学会員歴5年以上、
- 「研修認定薬剤師」(上記1)、「日本病院薬剤師会 日病薬病院薬学認定薬剤師」などの認定薬剤師、
- 学会認定「研修施設」での研修歴5年以上、
- 5年でクレジット50単位以上取得、
- 学会年会参加1回以上、
- 学会発表2回以上(本学会年会で本人が筆頭発表者のものを含む)あるいは論文1報以上(本人が筆頭著者)など ※(がん)は学会認定「研修施設」で副領域(がん)の研修ガイドラインに従った研修歴5年以上、学会発表や論文のテーマはがんに関係したものを含む等の別途要件あり
症例報告の提出▶5年間での症例報告50症例(4領域以上の疾患) ※(がん)はがん領域での20症例を追加で提出
更新▶5年
備考:2020~2024年申請分は過渡的な要件で、暫定の地域薬学ケア専門薬剤師/薬剤師(がん)を受付。暫定認定薬剤師数:67名/暫定認定薬剤師(がん)数:155名 ※2021年2月1日時点
3外来がん治療認定薬剤師
運営▶一般社団法人 日本臨床腫瘍薬学会
認定者数▶935名(うち薬局勤務者 87名) ※2020年4月末時点
申請要件▶
- 薬剤師実務経験3年以上、
- 当学会正会員で、申請時点で会費が未納でない、
- 「日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師」「CPC認証の研修認定薬剤師」「日本医療薬学会認定薬剤師」などいずれかの認定取得、
- 当学会認定のがん領域の講習または研修を60単位以上履修など
症例報告の提出▶外来のがん患者のサポート事例10例
更新▶3年
備考:2021年8月「専門医療機関連携薬局」制度に向けた「外来がん治療専門薬剤師」2020年9月新設
2021年4月~2023年9月末まで暫定認定申請を受付。申請要件は、「外来がん治療認定薬剤師」(2021年4月1日時点)で、申請時に実務経験5年以上など
4緩和薬物療法認定薬剤師
運営▶一般社団法人 日本緩和医療薬学会
認定者数▶760名(うち薬局勤務者 約34名) ※2021年3月時点
申請要件▶
- 薬剤師実務経験5年以上、
- 当学会員、
- 「CPC認証の研修認定薬剤師」「日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師」のいずれか、
- 申請時に3年以上、緩和ケアチームまたは緩和ケア病棟を有する病院、診療所等のいずれかの施設で緩和医療に従事する薬剤師。または申請時に3年以上、がん診療を行う在宅療養支援診療所等の医療機関と連携する保険薬局(麻薬小売業者免許取得)等に勤務し、緩和医療に従事する薬剤師、
- 過去5年以内で、本学会員として指定の講習等の単位履修(計100単位、毎年20単位)、講習会参加1回以上、
- 学会年会または別途規定学会での発表2回以上(1回は発表者)など
症例報告の提出▶病院等の勤務薬剤師は30症例、保険薬局勤務薬剤師は15症例
更新▶5年
備考:緩和薬物療法認定薬剤師の上位資格となる「緩和医療専門薬剤師」と「緩和医療指導薬剤師」2020年3月新設
5在宅療養支援認定薬剤師
運営▶一般社団法人 日本在宅薬学会
認定者数▶2014~2021年合格者数151名
申請要件▶
- 薬剤師実務経験3年以上、
- 「CPC認証の研修認定薬剤師」「日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師」「日本医療薬学会認定薬剤師」のいずれか、
- 学会参加、バイタルサイン講習会、指定の講演等の受講で35単位取得
更新▶3年
6糖尿病薬物療法認定薬剤師
注)2022年以降は新制度のみの申請受付。以下申請要件は新制度内容より
運営▶一般社団法人 日本くすりと糖尿病学会
認定者数▶2020年度合格者数13名、2019年度合格者数96名 注)旧制度合格者
申請要件▶
- 申請時に准認定薬剤師(新制度では履修薬剤師)、
- 当学会正会員(既納済み)、
- 准認定薬剤師取得後、20単位以上修得(当学会発行のP認定単位15単位以上)、
- 本学会で筆頭発表者として学会発表1回以上など
症例報告の提出▶自験例10例または糖尿病関連の論文3報以上(1報以上は筆頭者)
※当学会員で、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)認定5年以上の者は自験例または論文免除
更新▶5年
備考:認定申請の必須要件「糖尿病薬物療法履修薬剤師」(旧糖尿病薬物療法准認定薬剤師)2020年10月名称変更
申請要件▶
- 薬剤師歴5年以上、
- 当学会正会員(既納済み)、
- 30単位以上修得(うち当学会発行のP認定単位15単位以上)など
7プライマリ・ケア認定薬剤師
運営▶一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
認定者数▶203名 ※2020年10月1日時点
申請要件▶最初の研修単位取得から4年以内に50単位以上(学会関連単位が30単位以上必要)など
更新▶3年
備考:更新申請時には業務実績の報告が必要
8漢方薬・生薬認定薬剤師
運営▶公益社団法人 日本薬剤師研修センター
認定者数▶3,317名(新規1,092名、更新2,225名) ※2020年12月31日時点
申請要件▶漢方薬・生薬研修会(講義9回、薬用植物園実習1回)を受講し、試問合格
更新▶3年
9小児薬物療法認定薬剤師
運営▶公益社団法人 日本薬剤師研修センター
認定者数▶772名(うち薬局勤務者 256名) ※2020年12月31日時点
申請要件▶
- 保険薬局、病院・診療所の実務経験3年以上(現に保険薬局、病院・診療所に勤務)、
- 「小児薬物療法研修会」研修の修了と試験合格、
- 当センター登録病院で1日(原則6時間)の実務研修
備考:更新申請時には業務実績の報告が必要
興味や知識を広げていくと、患者さんとの関わり方も広がるかもしれませんね!