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【特定薬剤管理指導加算】「イ(RMP)」「ロ(選定療養)」算定Q&A
Special Report

スタッフ連携と物販コミュニケーションを生み出す仕掛けとは

2022年6月号
薬局の物販戦略【第2回】スタッフ連携と物販コミュニケーションを生み出す仕掛けとはの画像

整形外科の門前にあるサイトウ薬局 うらわ岸町店。月1,000枚程の処方箋を応需しながら、外来のほか在宅訪問や物販などの日常業務に対応しています。物販面積は8坪ほどですが、取り組み開始から約2年で物販の月平均売上は約50万円にまで成長しました。今回は、同薬局の渡部 敦氏に実践方法とポイントをお話しいただきました。

物販成功のカギの1つ インナーコミュニケーションの築き方

同じ目標に向かってメンバーが自発的に動く環境を作るコミュニケーションを「インナーコミュニケーション」といいますが、インナーコミュニケーションができている薬局は、物販に欠かせない接客力・提案力がともに高いと感じています。
では、スタッフが自発的に動く環境をどう作るのでしょうか。まずは、患者さんのために自分が何を提案・提供したいかを考えてもらい、それを薬局のスタッフ全員で取り組みましょう。販売に繋がったエピソードがあれば皆で共有し、活用するのもよいでしょう。小さなことでもよいので、チームでの成功体験を積み上げていくことが重要です。なかなか売上に結び付かない場合でも全員で対策を話し合うだけで、インナーコミュニケーションの強化に繋がります。
そうするなかで、スタッフ間の連携や物販への意識が育っていきます。受付にいる事務スタッフが患者さんの目線の動きを薬剤師に共有して投薬カウンターでのコミュニケーションに繋げたり、日頃から売る側の視点を持って小売店の陳列商品やディスプレイ方法を観察したりといった姿勢が身に付いていきます。

「来局者が意思表示しやすい」=「コミュニケーションを生み出しやすい」売り場

物販において、もう1つのポイントとなるのが売り場作りです。来局者が「気になること」「質問したいこと」「試してみたいこと」を意思表示しやすい売り場にします。当シリーズ【第1回】(ファーマスタイル2022年5月号掲載)でも触れたように、漠然とスタッフに患者さんとの積極的な物販でのコミュニケーションを求めてもなかなか実践できません。コミュニケーションを生み出しやすい商品配置やコミュニケーションの進め方など、より具体的な実践方法をご紹介します。

的確かつ付加価値のある商品を紹介 必要な商品を必要な患者さんへ届けることも役割

薬剤師による物販は、患者さんの背景を把握した的確な商品を紹介できるという点が強みです。処方箋や薬歴を見れば、疾患や食事管理の必要性の有無などをある程度推測できます。調剤薬局で扱う商品は、健康維持や疾病予防のために薬剤師がセレクトショップ的に集めた何らかの付加価値を持つものが理想です。そこから患者さん個々に適した商品を紹介し説明する。こうした薬剤師とのコミュニケーションに患者さんが価値を見出せば、継続的な物販の顧客になりうるでしょう。
薬局で扱う商品のなかには、薬剤師がその商品を必要とする患者さんを見つけ出し、提案すべきものもあると思います。例えば、低栄養対策向けの栄養食品です。ただ、こうした商品を紹介すると、相手の自尊心を傷つけることもあるため、勧め方には配慮が必要です。商品紹介までの難易度は高いと思いますが、フレイル対策が求められるいまこそ、薬局の薬剤師として必要な役割だと思います。
まずは会話のきっかけになるよう、栄養食品とともに投薬カウンター横にフレイルの解説資料を設置して知識の提供や声掛けをするだけでもよいと思います。必要なたんぱく質量を知ると、摂取が難しいという高齢者も多いです。そこで対策となる商品の紹介といった自然なコミュニケーションに繋がる流れを作り出します。

患者さんに選ばれる薬局に向けて新たなコミュニケーションを生み出す物販に取り組む

物販は単なる物売りではありません。患者さんに選ばれ、行きたくなるような薬局にするための1つの手段です。そのために「思わず手が伸びる、質問したくなる」よう店内を演出し、患者さんとの新たなコミュニケーションを生み出します。そのコミュニケーションが信頼関係の構築へと繋がっていきます。今回お話しした取り組みが一助になれば幸いです。

薬局物販熟練者の「手」と「目」:実践に向けたステップ

その1商品選択

  • スタッフにも商品を提案してもらう

「やらされ感」ではなく、それぞれのスタッフが日々接する患者さんに何が役立つのかという視点を持って自発的に物販に取り組む姿勢が養われるよう、店舗に置く商品を考えさせる。

  • スタッフが提案した商品は、まず置いてみる

スタッフが提案した商品は、提案を否定せずにまずは取り扱ってみる。
なかなか売上に繋がらない際はスタッフ全員で話し合い、店舗での配置場所や声掛け方法などの改善点を検討して取り組む。効果が表れれば店舗の一体感も得られる。

  • 自分の言葉で魅力を伝えられるよう商品は必ず試す

店舗に置くものはスタッフ自身も試し、自分の言葉で商品説明ができるようにする。自分の言葉が最も説得力があり、自然な物販コミュニケーションに繋がる。物販を始めてみようという薬局には、まずは低価格の食品がお勧め。
※経口補水液や低カロリー・減塩のレトルト食品やお菓子、のど飴など手軽に買えるもの

ひと口メモ

売上目標を掲げる場合のポイント

月間〇十万円ではなく、ひとり数百円という形で示す。仮に来局者ひとりあたり300円とすれば、1000人が購入すると30万円になる。300円の物販とは、のど飴や経口補水液などの「ついで買い」商品で十分。小さな目標値を見せて、実現可能な値と認識させることでやる気を引き出す。

その2商品配置

  • ゴールデンゾーン(GZ)を使い分け。投薬カウンターも使い分けて対象者別に商品を配置

当シリーズ【第1回】で紹介した3つのGZ(①薬局に入って真っ先に目に入る場所[受付前]、②待合の椅子に座った時に目に入る場所、③投薬カウンター)。①②には幅広い年齢層が興味を持ちそうな「ついで買い」商品(低カロリーのお菓子、カルシウム強化のウエハース、のど飴など)、③には薬剤師が付加価値を説明することで、患者さんが商品の意義やメリットを理解して購入に繋がる商品を配置。さらに投薬カウンターを「高齢者向け」(写真①)「幅広い年齢層向け」に分けて利用し、投薬カウンター横の商品は対象者別に配置する。

投薬カウンター横の商品(高齢者向け)例

パッケージを見ただけでは機能がわからない、付加価値をもつ商品を配置。

クリミール [(株)クリニコ]

高齢者の低栄養対策として。エンシュア等が処方されているがその味が苦手な方、量を多く飲めない方や通常の食事が減ってきている方に紹介。

ミルクオリゴ糖ラクチュロースシロップ ボトルタイプ/スティックタイプ [(株)クリニコ]

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