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Special Report

漢方薬の販売戦略

2022年7月号
薬局の物販戦略【第3回】製品の独自性とセルフ式の煎じ調製スペースを活かす漢方薬の販売戦略の画像

漢方薬は一般用医薬品としても身近な医薬品ですが、選択肢は数多く、薬剤師とのコミュニケーションでより安全に体調に合ったものを選択できます。今回は、漢方煎薬を中心に取扱い、来局者とのコミュニケーションを重視した販売体制を構築するタキザワ漢方廠執行役の宮田輝氏に販売戦略等についてお話を伺いました。

コロナ禍以降、増える漢方への問合せ 体質改善やコロナ後遺症への期待

コロナ禍以降、漢方薬への注目が高まり、当社の漢方煎薬(第2類医薬品)にも調剤薬局等から取扱いに関する問合せが増えています。これは、漢方薬に免疫力の強化を含めた体質改善やコロナ後遺症等への効果を期待する一般の消費者が多いことが影響しているのではないかと思います。
当社は、「ティーバッグ式」の漢方煎薬をメインに扱っています。服用にあたっては、煎薬を入れたポットに水を入れて電子レンジで数分間温めるといった多少の手間はかかりますが、煎薬は生薬の複雑な成分が残らず抽出され、液状のため消化吸収が良いというメリットがあります。また、煎薬の香り成分である精油成分はさまざまな薬効を含んでおり、それを体感することもできます。
薬局店舗に当社の煎薬を置く際には、基本的には電子レンジを設置し、来局者が購入した煎薬をセルフで調製して服用できるスペースなども設けてもらいます。

漢方薬の服用継続を優先 来局者のライフスタイルを考慮した提案を

一般的に漢方薬として普及しているのは、エキス製剤でしょう。やはり水のみで服用できるエキス製剤の利便性は非常に高いと思います。先述した煎薬のメリットは大きいものの、漢方薬は継続することが重要であり、多忙な生活のなか煎じる時間を取れず服用できないと意味がありません。煎薬はリラックスして時間が取れる夜間帯のみ、あるいは週末のみの服用をお勧めするなど、煎薬とエキス製剤の特長を鑑み、来局者のライフスタイルに応じて提案することが重要です。

コミュニケーションの時間を生み出す手段 店舗にセルフ式の煎じ調製スペースの設置

薬局店舗にセルフで煎薬を調製できるスペースを設けているのには、次の3点の意図があります。

1)質問しやすい空間を提供する

製品の陳列棚とともに、煎薬を調製してその場で飲めるスペースを設置することで、来局者に相談しやすい印象を与え、製品説明や症状に合わせた製品の紹介依頼など来局者からのコミュニケーションを発生しやすくします。漢方薬を物販の棚に陳列しているのみだと、薬剤師と話すこともなく来局者自身が製品を選び、購入する流れになってしまいます。

2)調製の「待ち」時間は、信頼獲得に繋がるコミュニケーションの機会になる

電子レンジで煎薬を調製している時間は、より詳細な製品説明とヒアリングに使うことができます。
何らかの悩みがあって相談にきた方でも、一番の悩みを最初に打ち明けることは少ないといいます。まずは簡単な相談をし、その悩みに対して薬剤師が十二分に対応してくれるかを見極めたいと思っている方が多いのでしょう。来局者は、「この薬剤師さんならもっと真剣な相談をしても問題ない」と信頼感を持ってから、最も相談したい内容を話すことが多いのです。
煎薬を調製する数分間での薬剤師とのコミュニケーションは、「実はこういった別の悩みもある」という話を引き出す時間になります。この薬剤師であれば、より良い提案してくれるのではないかと感じれば、次のより深い相談事項へと進展し、他の製品紹介に繋がっていきます。

3)漢方薬に関する別の効能の知識を提供する

葛根湯を例に挙げると、風邪の初期症状で服用する方も多いですが、肩こりなどでもよく使う処方です。一般の消費者にはあまり知られていないため、調製時間中に別の効能等を説明することで、風邪症状の治癒後に肩こりがあれば、対策の1つとして葛根湯を想起させることが期待できます。

薬剤師が漢方薬を紹介する意義 専門性と親しみやすさのバランスも大事

薬剤師は、何らかの症状や兆候が発現している患者さんに対し、処方薬の投薬以外にも対処法を考え、提案する役割を担っていると私は考えています。服薬指導時は、一般用医薬品の漢方薬などによるケアを患者さんに提案する最適の機会ではないかと思います。一方、来局者自身が能動的に物販棚に並ぶ漢方薬を選んで購入しようとした際は、薬剤師から見てその製品に懸念点があれば、お薬手帳を確認し、必要に応じて別の製品を提案することも必要でしょう。
漢方薬は医薬品であり、服用する方は何らかの症状や疾患に悩み、それを治療・改善したいという思いがあります。薬剤のエキスパートである薬剤師から説明を受けて勧められたものへの信頼度の大きさや購入意欲は、自己判断でインターネットや店頭などで選択したものとは比べ物にならないでしょう。特に漢方薬を求める来局者は専門性に重きを置いている方が多いと思います。一方で、調剤薬局に気軽に入り難い、薬剤師に相談しにくいと感じる方も多いと思います。そのため親しみやすさを重視してエプロン等を着用して「カフェ風」に当社の煎薬を紹介していた薬局もありました。しかし、白衣着用の方が問診や製品説明の際に説得力を与えられると白衣に戻した事例もあります。「親しみやすさ」と「専門性」のバランスを取って紹介することも大事でしょう

製品提案時のポイント

外見はガッチリした体型で実証に見える男性でも冷えて虚証タイプの方もおり、「証」の判断は非常に難しい。ただ、選択は概ね正しいが少し外れているということが多いため、まずは恐れずに服用を勧めてみる。

その12週間服用継続をして、体調変化を観察

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