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Special Report

漢方薬を患者さんや地域の方のセルフメディケーションの要に

2022年7月号
薬局の物販戦略【第3回】製品の独自性とセルフ式の煎じ調製スペースを活かす漢方薬の販売戦略の画像

商店街の中や門前ではなく、桜並木の道沿いに店舗を構えるはりま坂薬局。高齢者の世帯割合は他の地域と比較して低く、子ども連れの若い家族や単身者が多い環境にあります。今回は漢方を専門とする国際中医師の資格を有し、漢方を中心としたセルフメディケーションの支援で地域医療に貢献したいと考える同薬局の矢田有美氏にお話をお伺いしました。

健康への意識が高い女性が多く来局 健康食品やリフレクソロジーの施術も提供

来局者層は30〜60歳代の女性が比較的多い傾向です。健康維持に対する意識の高い方が多く、自然由来のもので対応したいと考えて当薬局を訪れる方が多いと感じています。開局して間もないこともありますが、処方箋調剤はまだ少なく、当薬局で中心に扱う煎薬の紹介や健康相談の依頼を受けることが多い現状です。貧血や更年期障害などの婦人科系の悩み、イライラ、不眠、浮腫み、めまいといった相談を多く受けます。
漢方薬は煎薬を中心に取り扱いつつも、ライフスタイルや煎薬の調製を負担に感じる方も考慮してエキス製剤も取り扱っています。そのほかにナツメ・クコの実などの薬膳食材、健康茶、健康食品なども販売しています。リフレクソロジーの施術も提供しており、これらの食品やサービスを目的に来局した方から詳細な症状の相談を受けて、煎薬を紹介することもあります。
当薬局の近辺には一般薬を取り扱う薬局がありません。そのため、独自性・専門性の発揮とともに、いつでも気軽に立ち寄り相談できるサロンのような薬局と地域の方に認知してもらうことが第一歩だと考えています。来局する方が健康維持に繋がるものを新たに発見できる場所になれたらと思っています。

漢方薬はセルフメディケーションにおける 薬剤師の価値を発揮するのに役立つ

頭痛を例に取ると、西洋薬では対症療法として鎮痛薬とその副作用を予防する胃腸薬など複数の薬剤を服用することがあります。一方、漢方では頭痛の原因を探り、原因が水の代謝(水滞)であれば、水滞を改善する漢方薬を服用します。この時、水滞によって起こりえる吐き気や浮腫みも一緒に改善できる可能性があります。漢方薬が適している症状においては、副作用リスクの軽減や同一の原因による他の症状の改善にも繋がるというメリットがあります。また、冷えや病後の気力・体力の低下に対する西洋薬はなく、こうした悩みにも効果的です。
セルフメディケーションの支援は薬剤師の大きな役割の1つであり、相談を受けて未病の段階であれば、初期対応策を提案し、経過を見守るというのは薬剤師の存在価値です。薬剤師がこのような役割を担うなかで、特に漢方薬は有用なアイテムだと私は考えています。

販売実践例:確認事項とプラスα

その1漢方薬を選択する際の問診事項例

  1. 一番気になる症状、思い当たる原因
  2. 飲食(回数、量、内容)
  3. 睡眠(就寝時間、睡眠時間)
  4. 排泄(回数、量)
  5. 運動(頻度、内容)
  6. その他:汗やのどの渇き、むくみやほてりの有無と部位(上半身/下半身)、コミュニケーションの頻度(人と接する機会が日頃どの程度あるか)など

その2多剤・重複服用や飲み合わせの確認

  1. 医療機関での処方薬の有無と処方内容を確認。
  2. 漢方薬は、OTCのエキス製剤を含めると2~3種類を服用している患者さんもいる。
    特に甘草には注意。一般的に副作用が出やすいとされる服用量(約6g/日)を超えていないか確認。柴胡を含むものは間質性肺炎などのリスクや兆候がないかを確認。

その3漢方薬以外の選択肢や
漢方薬プラスαの対策も紹介

  1. 漢方薬の提案まで症状が至らない/薬よりも気軽に健康維持に取り組むよう勧めた方がよいと考えた際は、健康茶やリフレクソロジーなど薬以外の選択肢もご提案する。
  2. 漢方薬に加えて、症状改善に導く健康食品なども併せて紹介する。
    例:貧血に対する当帰芍薬散の処方+ナツメ

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