薬剤師トップ  〉 ファーマスタイル  〉 業界  〉 Special Report  〉 薬剤使用期間中の患者フォローアップの実際<第3回>
check
薬剤師がおさえておきたい注目の記事
【調剤報酬改定2024よくある質問】最初に処方された1回に限り算定って?
Special Report

薬剤使用期間中の患者フォローアップの実際<第3回>

2022年11月号
薬剤使用期間中の患者フォローアップの実際の画像

2020年から義務化となった投薬後の患者フォローアップへの取り組みが本格化してきています。「今や全員が通常業務として当たり前にフォローアップを実施している」という、愛媛県でハッピー薬局を19店舗展開する株式会社ハッピーファーマシーの取り組みを紹介します。

2020年のフォローアップ義務化当初に実施を開始

当社では、義務化される前は患者さんへのフォローアップはほとんど実施しておらず、試行錯誤でフォローアップを始めました。基本的に全店舗で開始したものの、薬剤師にとって新たな取り組みでしたから、どう手を付けたらよいか手探りの状態でした。
そこで、フォローアップの対象をまずは「新規の薬を導入した患者さん」と「薬の副作用が懸念される患者さん」に限定しようと本部で提案し、徐々に実施が進んでいきました。2020年のフォローアップ件数は、全19店舗合計でひと月に20~30件程度でした。

フォローアップ実施開始時の方法

当初のフォローアップの手段は電話でした。来局時にフォローアップでお伺いする質問事項を記載したA4の用紙1枚を患者さんに渡し「後日お電話しますのでよかったら受けてください」と伝えていました。
お電話する日時は基本的に患者さんのご都合に合わせます。ただ、薬学的にみると、比較的副作用が出やすい時期や、薬物動態で効果が一番ピークになる時間帯などが個々の薬剤で異なります。薬剤師はその辺りも考慮して、いつ電話をかけるかを判断していました。

患者さんの反応

実施を始めた当初から、フォローアップに対する患者さんの反応は悪くなかったという印象です。むしろ「ありがとう」という声を多くいただきました。
ほとんどの場合、新患の問診票で緊急時や情報提供のための連絡先がフォローアップの電話番号でした。そのせいか、患者さんが番号を教えることに対する抵抗感はあまりありませんでした。しかし、電話の場合、薬局側も患者さん側も双方に時間を調整する必要があり、かけたくてもかけられないというジレンマもありました。

フォローアップ実施件数の大幅な増加

2022年からフォローアップの研修を全店で改めて実施し、本格的にフォローアップ実施を増加させていきました。また、新型コロナウイルス感染症の自宅療養の患者さんでは全例で経過を確認していますので、それも相まって、フォローアップ件数が一気に増加したという印象です。
現在は全店舗のフォローアップ実施数を総計するとひと月に500件程度です。

フォローアップの手段

フォローアップの手段のメインはSMSで、他に電話や専用のアプリを利用するケースもあります。
SMSは携帯電話の番号さえわかれば送信できるという、間口が広く使いやすいツールだと思います。高齢者はメッセージ機能のツールが使いづらいのではないかという思いも杞憂に終わりました。60~70歳代の多くは、スマートフォンを持っておりメッセージツールも十分に使いこなせますので、メッセージツールで対応可能です。
もちろん、患者さんがメッセージツールを使用できなかったり電話ご希望の方にはお電話しています。80歳代以降や小児の患者さんではご家族へのSMS送信もあります。また、後期高齢者の場合は在宅訪問の対象であることも多いです。

この記事の冊子

特集

便秘に対する漢方薬のアプローチ

腹部の張りや痛み、残便感といった自覚症状はあるものの、医療機関には相談しづらく自己判断でOTC薬を使用していたり、満足のいく治療にはなかなかたどりつきにくい便秘。今回は、便秘に対してどのような漢方薬を活用することができるのか、便秘のタイプや症状に応じた漢方薬の選択、大黄を中心とした漢方薬に含まれる生薬に関する注意点などについて解説します。

便秘に対する漢方薬のアプローチの画像
Special Report

残り2か月!電子処方箋の開始に向けた最終チェック

2023年1月の電子処方箋開始まで、いよいよ残り2か月となりました。2022年10月から電子処方箋の利用申請も開始し、すでに皆様のご勤務先でも開始に向けた各種準備が進んでいると思いますが、改めて電子処方箋開始にむけた最終チェック項目とご参考情報をまとめました。

残り2か月!電子処方箋の開始に向けた最終チェックの画像
Special Report

薬剤使用期間中の患者フォローアップの実際<第3回>

2020年から義務化となった投薬後の患者フォローアップへの取り組みが本格化してきています。フォローアップシリーズの第2回は、埼玉県で4店舗を展開されている株式会社かくの木のかくの木薬局を取材し、コロナ禍でのフォローアップやフォローアップによる今後の展望などについてお話を伺いました。

薬剤使用期間中の患者フォローアップの実際<第3回>の画像

この記事の関連記事

薬歴の達人

人気記事ランキング