政府のマイナンバーカード一体型健康保険証(マイナ保険証)の導入を加速させる方針もあり、今年10月に特例的な診療報酬改定により、マイナ保険証利用時の患者負担額を減額する「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されました。 今回は新設された「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の概要を解説します。
現行保険証より患者負担額が高かった
マイナ保険証の負担額を減額
今年4月の診療報酬改定で薬局と医療機関側へのマイナ保険証利用のインセンティブとして「電子的保健医療情報活用加算」が新設されましたが、当加算は患者さん視点ではマイナ保険証を利用すると負担額が高くなる報酬設定であり、各所でかえってマイナ保険証導入が進まないとの批判の声が多く挙がっていた。
そのため10月の改定では「電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、新たに「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が設定され、患者さんがマイナ保険証を利用した場合の負担額が減額されました。(表1)
なお、オンライン資格確認システムを導入前の薬局と医療機関については、患者さんが引き続き現行保険証を利用しても負担額は0円になります。ただし直近の療養担当規則等改正において、2023年4月より原則薬局と医療機関でのオンライン資格確認システム導入が義務化されており、義務化に伴い、今後薬局と医療機関でオンライン資格確認システムが導入された場合は、患者さんの負担額はマイナ保険証より、現行保険証を利用した方が高くなります
(なお、紙でレセプト請求を行っている薬局と医療機関は義務化の対象外となります。)
患者さんの 健康保険証 の種類 |
2022年 4月~9月 (電子的保健医療情報 活用加算) |
2022年 10月以降 (医療情報・システム基盤 整備体制充実加算※) |
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現行保険証 |
10円 (3カ月に1回) |
30円 (6カ月に1回) |
マイナ保険証 |
30円 (月1回) |
10円 (6カ月に1回) |
- 現行保険証は医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合は除く)、マイナ保険証は医療情報・システム基盤整備体制充実加算2で算定される。
診療報酬改定内容より編集部で作成
算定にはオンライン資格確認システムの導入と患者さんへの周知が必要
「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定に際しては、薬局でのオンライン資格確認システムの導入と患者さんに対する周知を行うなどの施設基準(表2)が設定されていますが、施設基準を満たしている場合は、地方厚生(支)局への届出せずに算定が可能です。
また本年9月に厚生労働省より「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定に関する疑義解釈に関する事務連絡(表3)が発出されていますので、今後算定を行う際の参考にご活用ください。
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診療報酬改定内容より編集部で作成
表3 「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定に関する疑義解釈資料