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Special Report

試験販売後の独自アンケート調査や海外との違いから課題を考える

2024年8月号
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Part1で紹介したとおり、調査事業における緊急避妊薬の販売実数は、2,000件以上であったと報告されるも、データ不十分を理由に、政府は2025年3月まで期間延長を決定した。女性が健康を守るために、安心して、適切かつ安全に、緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)」は、2024年6月10日「誰一人取り残さないSRHR実現のために 緊急避妊薬の薬局試験販売の課題と展望を考える院内勉強会」を開催。Part2では、当勉強会で提起された当調査事業および緊急避妊薬に関する現状の課題を示し、今後の道筋を考える。
Part 1:令和5年度 緊急避妊薬の試験販売 結果報告書を振り返る

SRHR実現のために緊急避妊薬を手に取りやすい環境とは

緊急避妊薬とSRHR いち早く服用することで高い効果を示す

「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」共同代表かつNPO法人ピルコン代表の染矢明日香氏は、まず、緊急避妊薬へのアクセス改善の根底にあるSRHR(Sexual Reproductive Health & Rights)の理念について言及した。SRHRとは、「性と生殖に関する健康と権利」であり、性や子どもを産むことに関わる全てにおいて、自分の体のことを自分で決めることができること。染矢氏は「人々は他人の権利を尊重しつつ、安全で満足できる性生活を営むことができ、子どもを産むかどうか、産むとすればいつ、何人産むかを決定する自由があります。このなかには、必要な人が、緊急避妊薬を含め避妊に関する適切な情報とサービスを受ける権利があることも含まれるのです」と訴えた。
現在、日本で承認されている緊急避妊薬のレボノルゲストレルは、おもに排卵の抑制効果があるとされる。今回の調査事業に参加して購入する場合を除くと、入手するには医療機関の受診と処方箋が必要だ。レボノルゲストレルは、性交後72時間以内の服用が薦められており、性交から服用する時間の経過に伴って妊娠阻止率は低下するとされている※。染矢氏は、「72時間以内に服用することが効果的な薬ではありますが、妊娠阻止率という観点から、24時間以内に服用できれば、より高い確率で妊娠を防ぐことが期待できます」と、緊急避妊薬をいち早く入手することの意義を強調した。

  • 日本産科婦人科学会編「緊急避妊法の適正使用に関する指針」(平成28年度改訂版)では、レボノルゲストレルの妊娠阻止率に関して、72時間以内の服用で85%とするが、24時間以内で95%、25~48時間以内で85%、49~72時間で58%と示す。

アクセス面・価格面での日本と各国の違い

次に、染矢氏は海外諸国の緊急避妊薬の入手に関する状況を紹介した。
2021年時点で、緊急避妊薬は約90か国で薬局での購入が可能だという。そのうちドイツ、イギリス、イタリアを含む約76か国では処方箋の必要なく、薬剤師の説明を受ければ入手できる。また、アメリカ、カナダ、フランスなど約19か国では、薬剤師を介さずOTCとして購入できると例を挙げた。
価格に関しては、おもな先進国を示し、イギリス、フランスは約900円、オーストラリアは約1,100~4,000円、ドイツは約2,200円、カナダは約2,400~4,200円、アメリカは約4,200~5,300円ほど。さらに「避妊の無償化の取り組みも広がっており、例えばフランスやイギリス、オランダ、スウェーデン、ドイツ、ノルウェーなどの一部の学校や病院などでは、緊急避妊薬を無料で入手できる国も増えつつあります」と、染矢氏はより緊急避妊薬を入手しやすい取り組みを講じている状況も付け加えた。緊急避妊薬の入手にあたっては、基本的に処方箋を必要とし、調査事業での購入や医療機関を受診後の調剤でも、購入額が平均7,000~9,000円となる日本の現状とは大きく異なる点を指摘した。

調査事業の課題を指摘 性教育の充実を含め、包括的な対策を

2023年11月から実施されている調査事業について、染矢氏は、全国で145薬局と対象薬局が少ない点や、特に若年者における調査事業のホームページへのアクセスの難しさと対象薬局の確認方法など手順の煩雑さ、未成年者に対する購入時の年齢制限や保護者の同伴、7,000~9,000円という購入価格のハードルの高さといった諸々の課題を指摘した。染矢氏は当調査事業に対し「望むのは調査ではなく、早期の薬局での緊急避妊薬の入手環境の整備とOTC化」としつつ、まずは当調査事業を国民へ広く周知させることと、調査協力薬局の増加について要望書を提出している。
OTC化とは直接的な関係性はないが、緊急避妊薬の入手をサポートする取り組みが、一部の自治体でも広がってきている。例えば、東京都では、スマホからも緊急避妊の診察が可能な病院が検索できたり、都内在住・在学・在勤の中学生以上の10代の方を対象にした健康相談の相談窓口「とうきょう若者ヘルスサポート」(わかさぽ)では、対面相談に来た10代かつ緊急避妊が必要な方には、医療機関への相談の同行支援なども行っている。染矢氏は、「政府として、緊急避妊薬入手のハードルを下げるようなこうした取り組みの拡充も大切です。また、OTC化にあたっての課題と指摘されている『性教育の不足』への対応や、市民への啓発・告知も含めてもっと注力するべきだと思います」と、緊急避妊薬へのアクセス改善に向けた包括的な対策の実施を切に訴えた。

現状の入手ハードルと効果を明らかに 調査事業参加者への独自アンケート調査

「購入したかったができなかった」方へも調査調査事業での購入者は回答者の15%

「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」共同代表で「#なんでないのプロジェクト」代表を務める福田和子氏は、厚生労働省が公開した調査事業の結果報告書は、対象薬局にたどり着き、購入できた人にしかリーチできていない点を鑑みて、調査事業を通して緊急避妊薬を購入できた方に加え、

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特集

不眠あるところに疾患あり

不眠症に対して処方される睡眠薬は多岐にわたり、薬剤師にとって薬剤選択の基準がわかりにくいのが現状です。今回は、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 室長 吉池卓也氏に、本邦における国民の睡眠の状況や不眠のリスク、不眠症に対する認知行動療法や睡眠薬の使い分けなどについて解説していただきました。

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令和5年度 緊急避妊薬の試験販売 結果報告書を振り返る

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