今回の改定により起こる変化と薬局・薬剤師のあり方について、ファルメディコ株式会社代表取締役社長、狭間研至氏に解説いただきます。
1) 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築重点課題 |
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2) 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進重点課題 |
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3) 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現 |
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4) 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上 |
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2022(令和4)年度診療報酬改定の印象 「患者のための薬局ビジョン」の反映
今回の改定は、薬局の立地ではなく機能の評価、対物から対人業務へのシフト、かかりつけの推進など「患者のための薬局ビジョン」が反映されたという印象を受けました。立地により効率性が高い敷地内薬局・医療モールなどは調剤基本料が見直され、機能で評価すべきとなると思います。対物から対人中心の業務へのシフトとは、薬剤師の最終業務を「薬を渡す」にするのではなく、渡した後までフォローして、その時の状態に応じて適切な対応をするまでに変えなくてはいけないという意図があるのでしょう。今までこれらの点を変え難かったのは、既存の調剤報酬制度のあり方が原因との指摘もあり、今回の改定はそれを変えるものだと感じています。
基本方針の中で注目すべきは「かかりつけ薬剤師」と「連携」
2021年12月10日に公開された「令和4年度診療報酬改定の基本方針」のなかで私が特に注目したのは以下の2点です。
1点目は「かかりつけ薬剤師」という文言が含まれたこと。これは、国民に薬剤師であれば誰でも良いというのではなく、薬剤師を決めて欲しいというメッセージでもあり、そうした取組が評価され、仕組み作りが進むということでもあると思います。
もう1つの注目点は「連携」です。医師、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携についても言及されていますが、特に入退院時の連携を強化するという事なのだと思います。今まで薬剤師はお薬手帳や薬剤情報提供書などを確認し、その時点(現在)の書面情報をもとに服薬指導を行っていました。
連携においては、薬が処方されるまでの経緯(過去)とそこから予測される今後(未来)までを把握しておくことが重要です。例えば、アムロジピン2.5mgが処方されていた場合、5mgから減量したばかりの状況なのか、このまま定常量として継続するものなのか、はたまた、薬物療法開始の漸増過程なのか。連携の場では患者さんの現在だけでなく過去や未来を含め期間で捉えた視点が求められるでしょう。
連携を主眼において考える 敷地内薬局、門前薬局、地域連携薬局
敷地内薬局について今回の改定の議論において強い指摘を受けています。医療提供という国費を投入する仕組みのなかで、立地を理由に特定の薬局に過剰な収益が入るのは制度設計として是正すべき、との動きは致し方ないこととも思います。
一方で、抗がん剤を処方された患者さんは地域の薬局で大丈夫だろうかという不安もあって敷地内薬局や門前薬局を訪れるケースも多いかもしれません。地域の薬局側としても、急に不慣れな抗がん剤の処方対応に不安を感じるかもしれません。私は、敷地内薬局や門前薬局は、薬薬連携だけでなく薬局間連携をけん引する役割を担うべきではないかと考えています。たとえば、がん化学療法は、開始時はプロトコルやレジメンなどをよく理解している敷地内薬局や門前薬局が担当し、そのノウハウを患者さんの居住近くの薬局に共有する。そうすれば、数コース目以降、地域の薬局でも質が担保された投薬が可能になります。こうした連携を実施するような敷地内薬局等であれば、評価されるべきと考えます。
地域連携薬局の評価の動向も注目されています。現状は調剤基本料1以外の薬局に対する地域支援体制加算のハードルが高いため、地域連携薬局の認定が取得できていれば同加算を何らかの形で認める方向に進む可能性はあります。
リフィル処方箋の導入 薬剤師と医師の協業関係構築
処方箋の反復利用(リフィル処方箋)は、症状が安定している患者さんについては数か月に1回の頻度で医師が診る、という流れが見込まれており、導入が進めば薬剤師が患者さんの様子を確認するのが基本になると思います。
私は、医師の役割は究極的には「診断」と「救命」と考えています。しかし、慢性疾患の診療行為としては、服薬状況の確認と、処方箋を出すだけの診察に追われているのが実情でしょう。慢性疾患の服薬状況や服薬後の状況の確認などは、本来、薬が身体に入ってからどうなるかを学んできた薬剤師の方が適していると考えています。
医師は、初診の患者さんや奏効していない患者さんの薬物療法をしてもらう。薬剤師は順調に治療ができている患者さんの薬物療法を担当し、