薬剤師トップ  〉 ファーマスタイル  〉 知識  〉 カフェ  〉 ファーマスタイル編集部がお届けするカフェMENUVol.8「加湿器」
check
【オススメ】生活保護や公費の患者さんは選定療養の対象になる?
カフェ

ファーマスタイル編集部がお届けするカフェMENUVol.8「加湿器」

2021年2月号
加湿器

立春を迎えたといっても、まだまだ暖房機器から離れがたい2月。暖房機器の多用などで空気が乾燥しやすい冬は、風邪やインフルエンザなどへの感染予防対策の一つとして、適度な湿度を保持することが欠かせません。今年は例年よりもインフルエンザ患者数が大幅に少ないといいますが、新型コロナ対策による外出自粛や在宅勤務等により室内で過ごす時間が増加していることで、室内の加湿対策には更に気を配る必要があるでしょう。

加湿器を利用されている方は多いと思いますが、加湿器の衛生管理には注意が必要です。特に超音波式加湿器を不衛生な状態で使用し続けると、タンク内で細菌が増殖し、アレルギー性肺疾患の過敏性肺炎やレジオネラ症などを発症する危険性があります。

レジオネラ症は、河川や温泉に生息するレジオネラ属菌に感染することで発症します。加湿器や循環式浴槽を介したエアロゾル感染や、温泉浴槽内や河川で溺れた際の水の吸引・誤嚥が、レジオネラ症を発症する主なきっかけです。新型コロナの影響で温泉施設等の利用は減っているといいますが、レジオネラ症の2020年の感染者数は、2,031名(国立感染症研究所「IDWR速報データ」2020年第1~53週累計)で、1999年からのデータとしては、3番目に多い感染者数です。こうしたことからも、改めて加湿器のメンテナンスや使用条件を確認してみるとよいかもしれません。

【加湿器使用時の衛生管理上の注意点】

  • 加湿器タンクの水には水道水を使用
    ミネラルウオーターや浄水器の水は雑菌等が発生しやすい)
  • タンクの水は毎日交換し、少なくなった場合は継ぎ足しせずにすべて入れ替え
  • 加湿器タンクと本体内部等はヌメリや水垢ができないようこまめに清掃
  1. 過敏性肺炎
    乾いた咳(痰を伴わないことが多い)、息切れ、発熱がみられる。入院や職場を休むなど抗原を回避した場合に症状が改善する。
  2. レジオネラ症
    主な病型として、重症のレジオネラ肺炎と軽症のポンティアック熱がある。
  • レジオネラ肺炎
    全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難がみられるようになる。意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や、下痢がみられるのもレジオネラ肺炎の特徴とされる。
  • ポンティアック熱
    突然の発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がみられるが、一過性で自然に治癒する。
参考文献:
  1. 公益社団法人全国水利用設備環境衛生協会
    https://www.suirikyo.or.jp/information/20201218.html
  2. 日本呼吸器学会「過敏性肺炎」
    https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=16
  3. 厚生労働省「レジオネラ症」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html#Q3 

この記事の冊子

特集

【緑内障の最新情報】点眼薬の第一選択と禁忌、副作用を網羅

緑内障のメカニズムや治療に関する内容です。慢性疾患を発症した場合の禁忌薬、点眼指導のポイントなど薬剤師として明日から役立つ情報となっています。

緑内障を理解し失明を防ぐ-眼圧メカニズムから禁忌の最新情報まで-の画像
Special Report

選ばれる薬局づくり、コンセプトはランタンの灯り

カフェ風薬局、ランタン千歳鳥山店を考案・デザインした田辺正道氏へのインタビュー記事です。服薬指導やコミュニケーションツールを工夫し、患者との距離感を大切にする調剤薬局が掲載されています。

野菜を積極的に販売するカフェ風薬局の画像
Early Bird

新型コロナウイルスの気になる情報を一挙公開

日本と海外の状況を比較しつつ、2021年1月31日時点での情報を公開しました。後遺症や変異株についての疑問、ワクチンの安全性や供給数、副反応などを一問一答式で回答します。

新型コロナウイルス一問一答 続編の画像
カフェ

ファーマスタイル編集部がお届けするカフェMENUVol.8「加湿器」

風邪やインフルエンザなどへの感染予防対策として利用する「加湿器」に関する情報です。加湿器の衛生管理不足による疾患や感染者数のデータが掲載されています。

ファーマスタイル編集部がお届けするカフェMENUVol.8「加湿器」の画像
keyword

医薬品の安定確保へ、医薬品供給調整スキーム導入

日本製薬団体連合会(日薬連)と厚生労働省が連携し、13成分に対して医薬品供給調整スキームを発動。大規模な供給不安の混乱を防ぐために、発生時の手順とフェーズ別の対応方向性を提示しました。

医薬品の安定確保へ、医薬品供給調整スキーム導入の画像
Medical Diagram

ウイルス学研究「コロナウイルスと新型コロナウイルス」の二面性

ウイルスを学問から解説。歴史からコロナウイルスを分析し、ウイルスと他の生物の「共進化」について考察しています。生物にとってウイルスが命を奪うものなのか、それとも発達に寄与するのか、実験結果より言及した内容です。

ウイルス学研究「コロナウイルスと新型コロナウイルス」の二面性の画像

この記事の関連記事

人気記事ランキング