4月に入り、穏やかな気候に眠気を覚える方も多いのではないでしょうか。今回は、睡眠をテーマに取り上げます。
医学的には、すぐに眠れる、すっきり目が覚める、日中の過度な眠気がない、の3点を満たせば「良い」睡眠といいます。何時間睡眠が最も健康に良いかという絶対的な基準ありません。以前は「8時間睡眠」とよく耳にしていたかもしれませんが、季節や日中の活動量、加齢などさまざまな要因で自然に寝付くことができる時間は変化します。「8時間寝なきゃ」という意識が強いと、むしろ目がさえてしまうことも。一方で、高血圧や糖尿病、うつ病と睡眠時間の関連をみた研究では、睡眠時間が6時間以上8時間未満程度の場合、発症リスクが低いとされています。睡眠時間は6〜8時間程度(高齢者はもう少し短め)を目安として、日中しっかり覚醒して過ごせるかが重要と考えるのが良いそうです。
先述しましたが、眠ろうという意気込みが強すぎると寝付きを悪くしかねません。就床時間に拘わり過ぎず、眠たくなってから床に就くのが良いといいます。ただし起床時間は毎朝同じにし、起床後はなるべく早く太陽の光を浴びることが大事です。目から入った日光は体内時計のリズムをリセットして約15〜16時間後に眠気を出現させるので、規則正しい睡眠習慣に導く手立てになるでしょう。
また、スムーズな睡眠へと導くには、入床前のリラックスが効果的です。「香り」を活用してみるのはいかがでしょうか。近年、精油を用いたアロマテラピーをメンタルヘルスや緩和医療で活用している医療現場もあります。リナロールと酢酸リナリルは不眠に作用するといわれ、真正ラベンダーやローズウッド、クラリセージなどがこうした成分を含みます。リラックスするには自分の好みの香りを選ぶのが一番良いですが、妊娠中やてんかん、高血圧の方には注意が必要な精油もあります。お店の方などに相談して、自分に合う香りを見つけてみてください。
【不眠解消におすすめの精油】
- 精油をティッシュやコットンに1〜2滴含ませて枕元に置くだけで、簡単に活用できます。
イランイラン、カモミール・ローマン、クラリセージ、サンダルウッド、ネロリ、マジョラム、プチグレン、真正ラベンダー、ローズウッドなど
参考文献:
- 「睡眠のなぜ?に答える本」大川匡子・高橋清久監修(2019年1月10日第一版発行、(株)ライフ・サイエンス)
- 「睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版」内山真編集(2019年6月25日第3版発行、(株)じほう)
- 「〈香り〉はなぜ脳に効くのか アロマセラピーと先端医療」塩田清二著(2012年8月10日発行、NHK出版)
- 「これ1冊できちんとわかるアロマテラピー」梅原亜也子著(2010年7月30日初版発行、(株)毎日コミュニケーションズ)
- 「アロマテラピーのきほん事典」渡邊聡子監修(2010年4月20日発行、(株)西東社)