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「花粉症と食物アレルギー」 ファーマスタイルカフェVol.11

2022年2月号
歯の健康とウィズコロナ時代の歯磨きの画像

「ファーマスタイル カフェ」は編集部が体のケアに関するテーマで語るコーナーです。

2月に入り、そろそろ本格的に心配になってくるのが花粉症。薬剤師の先生方は処方箋でこの時期の到来を感じる方も多いのではないでしょうか。
今年は2月上旬からスギ花粉の飛散が開始し、花粉シーズンがスタートする見込みです。スギ花粉飛散のピークは、九州や四国は2月下旬~3月上旬、中国から東海にかけては3月上旬~中旬、北陸や関東、東北は3月上旬~下旬となるとのこと。スギ花粉のピークが終わると次に来るのがヒノキ花粉。ヒノキ花粉は3月下旬~4月中旬に飛散のピークを迎える予想です。花粉飛散量は東海、北陸、関東甲信、北海道は昨年よりも多い見込みです。地域によっては花粉症対策を強化する必要があるかもしれません。

花粉症に関係する食物アレルギーとして、IgE依存性の即時型アレルギーである花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)があります。花粉抗原に感作された患者さんが原因花粉の原因たんぱく質と類似の構造のたんぱく質を有する果物や野菜を食べた際に、 交差反応のためにアレルギー症状を生じる疾患です。主症状は口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)で、原因食物を食べた直後から数分後に口唇、口腔粘膜、上あご、喉、耳の奥などにかゆみや刺激感、紅斑喉などの症状があらわれます。花粉症の時期にOASが悪化することもあります。

PFASは熱不安定、易消化性のたんぱく質が原因であることが多いため、加熱処理をすれば多くの患者さんが原因食物を摂取できるようになります。ほとんどの場合、症状は口腔や喉に限局した軽微なもので、アナフィラキシーを含めた全身症状は伴いません。ただし、一気に多量の原因食物を摂取した場合や加熱処理が不十分だった場合、全身症状があらわれることがあります。特にカバノキ科の花粉症患者さんが豆乳などを摂取した際に全身症状があらわれやすいことが知られています。

特に症状がなければ特定の食品を避ける必要はありませんが、何か生の果物等を食べて気になる症状が出れば、調理を工夫したり、受診時に相談してみてもよいかもしれませんね。

PFASに関連する原因花粉の種類と食物

花粉の種類 花粉との関連が報告されている食物例
【カバノキ科】 ハンノキ・シラカンバ バラ科(リンゴ・ナシ・サクランボ・モモ・イチゴ)、キウイ、オレンジ、メロン、ジャガイモ、ニンジン、ダイズ(主に豆乳)、ヘーゼルナッツ
【ヒノキ科】 スギ・ヒノキ トマト
【イネ科】 オオアワガエリ・カモガヤ スイカ、メロン、トマト、ジャガイモ、タマネギ、キウイ、オレンジ
【キク科】 ブタクサ スイカ、メロン、キュウリ、ズッキーニ、バナナ

参考情報

  • 日本気象協会 2022年 春の花粉飛散予測(第3報)(2022年1月20日)
  • 海老澤元宏ほか監修「食物アレルギーハンドブック2018」2018; (株)協和企画
  • 「チャイルドヘルス」2021年9月号; (株)診断と治療社
  • 近藤 康人ほか 日本小児アレルギー学会誌 2020; 34(1): 45-51.

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