Q1. オミクロン株の変異は?
オミクロン株は、スパイクタンパク質全体で約30個、受容体結合部位に6~8個の変異が集積している(デルタ株では2個)といわれる。デルタ株の次に流行したためにデルタ株の進化系と誤解されることがあるが、デルタ株とは別のルーツの変異株。
Q2. オミクロン株はなぜ感染しやすい?
変異部位の多さは既存ワクチンの効力に影響する。従来株やデルタ株では既存ワクチンが中和抗体の機能を果たしていたが、オミクロン株では、スパイクタンパクの変異が多いために、既存ワクチンの抗体がSARS-CoV-2のスパイクタンパクと宿主細胞の受容体結合を防ぐことができず、体内の細胞感染が広がると考えられている。
Q3. オミクロン株ではなぜ重症例が少ない?
肺の細胞でウイルスが増えにくい性質があり、下気道炎(肺炎)を発症しにくいとされる。デルタ株とオミクロン株を比較した研究では、鼻腔の細胞ではオミクロン株が増加しやすく、肺の細胞ではデルタ株のほうが増えやすいことが報告されている。ただし、感染力が非常に強力なため、高齢者や基礎疾患保有者が感染し、重症患者が増大するリスクはある。
Q4. オミクロン株に対し既存のワクチンの効果は?
英国の研究で、オミクロン株の発症予防効果は、ファイザーのワクチン2回目接種後5~6か月では36.6%、3回目を接種すると2週後で75.5%に上昇するとの報告がある。
Q5. ワクチンで3回目の接種ができるのは?
2022年1月現在、日本で3回目接種が認められているのはファイザーとモデルナ。米国でファイザー、モデルナ、ジョンソンエンドジョンソンのそれぞれのワクチンの交互接種の臨床試験が行われており、いずれの組み合わせの交互接種でも、免疫原性と安全性に問題はなかったとされている。
Q6. COVID-19の薬物療法は?
COVID-19に対する薬物療法は、①抗ウイルス薬・抗体薬、②免疫調整薬・免疫抑制薬、③抗凝固薬、④その他の4種類に大別される。
Q7. 保険適応があるのは?
2022年1月現在日本で適応のある薬剤は、レムデシビル、バリシチニブ、カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)、ソトロビマブ(遺伝子組換え)、モルヌピラビル、トシリズマブ(遺伝子組換え)。レムデシビルはSARS-CoV-2による肺炎を有する患者、デキサメタゾンは重症感染症に関する適応。
Q8. 治療薬の使い分けは?
軽症で使用
ソトロビマブ(発症7日以内)、カシリビマブ/イムデビマブ(発症7日以内)、モルヌピラビル(発症5日以内)、レムデシビル
中等症~重症で使用
レムデシビル、バリシチニブ、デキサメタゾン
Q9. 国内のワクチンの状況は?
開発状況は以下のとおり。
開発企業※1 | 種類 | ここまでの状況 | 目標※2 |
---|---|---|---|
塩野義製薬 感染研/UMNファーマ |
組み換え タンパク |
|
‐(第Ⅲ相試験を実施中) |
第一三共 東大医科研 |
mRNA |
|
第Ⅲ相試験を2022年度 上半期に開始の意向 |
アンジェス 阪大/タカラバイオ |
DNA |
|
高用量製剤の開発に注力 |
KMバイオロジクス 東大医科研/感染研/ 基盤研 |
不活化 |
第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月) 第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始(2021年10月) |
第Ⅲ相試験を2021年度内 に開始の意向 |
VLPセラピューティクス | mRNA | 第Ⅰ相試験を開始(2021年10月)、ブースター用試験を開始予定(2022年2月) | 第Ⅱ/Ⅲ相試験を2021年度 内に開始の意向 |
- 日本感染症学会「COVID-19 ワクチンに関する提言(第4版)」
- 日本感染症学会「COVID-19 に対する薬物治療の考え方第12版」
- 厚生労働省HP 新型コロナワクチンについて
- 朝日新聞デジタル2022年1月21日記事
- NHKスペシャル「オミクロン株 “第6波”の行方」
※本ページの情報は、2022年2月1日時点までのものです。最新情報は変更となっている可能性があります。