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アトピー性皮膚炎患者を調査

2017年9月号
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アトピー性皮膚炎患者は激しいかゆみと外見から精神面、生活面で多くの悩みを抱えている。サノフィ株式会社が全国の患者約1万人を対象に実施した意識調査では、患者が症状からくるつらさを医師に十分に伝えられていない状況が浮き彫りになった。日本医科大学千葉北総病院皮膚科部長の幸野健氏は2017年7月13日に同社が東京都内で開催したプレスセミナーで、「医師が患者とコミュニケーションを取ることが必要」と訴えた。

アトピー性皮膚炎患者の悩みは多様

アトピー性皮膚炎は増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患。厚生労働省が2014年に実施した患者調査によると、医療機関を受診した患者の数はあらゆる皮膚疾患のなかでアトピー性皮膚炎が2番目に多く、継続的に医療機関にかかっている患者は45万6,000人に上る。アトピー性皮膚炎患者は強い瘙痒感を訴えるが、その感覚は「かゆくて眠れない」「皮膚を引きちぎりたい」という壮絶なもので、さまざまな皮膚疾患のなかでも最も生活の質が悪いといわれる。患者はかゆみにより眠れない、仕事や学業に集中できないといった日常生活の問題から、結婚・就職など将来に対する不安までさまざまな困難を抱えている。
サノフィ株式会社が全国のアトピー性皮膚炎患者を対象に実施した意識調査からは、こうした患者の苦しみや悩みを医師が十分に受け止められていない現状が明らかになった。
調査は2016年5月~6月、15歳~69歳の男女約1万人のアトピー性皮膚炎患者を対象に実施した。医師とのコミュニケーションに満足を感じている人は約40%にとどまり、症状の改善効果の満足度(約50%)よりも低かった。患者の平均診察時間は4.2分だが、医師とのコミュニケーションに不満を感じている患者の平均診察時間は3.5分、満足を感じている患者は5分で、診察時間が長い方が満足度は高いという結果が出た。
診察の際に症状がもたらす悩みや困っていることを医師に伝えられているか尋ねたところ、症状については半数以上の人が伝えたいことの80%~100%を伝えられていると回答した一方、生活で困っている点や精神的な悩みに関しては十分に伝えられている患者はわずかであった。

患者と医師をつなぐ薬剤師の役割に期待

日本医科大学千葉北総病院皮膚科部長の幸野健氏は、「アトピー性皮膚炎は症状の改善と医師とのコミュニケーションの両方をよくすることが望まれる。医師はもっと患者の話に耳を傾けることが必要だ」と指摘する。医師の診察時間に限りがあるなかでは、患者の身近な存在である薬剤師の役割は重要だとし、「医師が聞き取れなかった患者の悩みを薬剤師が聞き取って医師にフィードバックしてほしい」と語った。
サノフィ株式会社では、限られた診察時間で医師と患者が情報共有できるツールとして“そらいろレター”をホームページ上で公開している。“そらいろレター”は学校生活や対人関係などテーマごとに短いチェック項目と自由記述欄があり、患者は診察前に記載して、プリントアウトしたものを診察時に医師に渡すことができる。

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