冬は、乾燥した外気や皮脂の欠乏、発汗の低下といった環境要因から、掻痒の症状が増悪しやすい時期だ。人間は様々な場面でかゆみを感じる。虫や花粉などの外部刺激物質によるかゆみのほか、皮膚疾患としてかゆみを感じやすいのはアトピー性皮膚炎。疾患ごとにかゆみの強さをスコア化した研究では、最大限にかゆい状態を10とした時、アトピー性皮膚炎は6.2、蕁麻疹は6.8、尋常性乾癬は3.9、白癬は2.3という結果だった。一方で、全身に痒みを生じる汎発性皮膚瘙痒症は、腎不全や肝障害、血液疾患をはじめとする種々の基礎疾患に伴うことが多い。
かゆみに対する治療の成分としては、虫刺されなどに含まれる局所麻酔やメントールがある。また、かゆみの原因物質の代表としてヒスタミンが知られており、毎日全国の病院や薬局でかゆみに対し抗ヒスタミン薬が処方されている。しかし、抗ヒスタミン薬が奏功しにくいかゆみはとても多いといわれる。
オピオイド受容体のバランスを是正するナルフラフィンは、世界初の選択的オピオイドκ受容体作動薬として血液透析患者の著しい掻痒症状の抑制に貢献している。また最近では、温泉水に生息するアクアドロミアエという細菌の抽出エキスが、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)-2の阻害や胸腺間質性リンパ球…