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特発性蕁麻疹

2024年3月号
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2024年2月第二部会の審議

2024年2月9日、厚生労働省は「デュピクセント」(一般名:デュピルマブ〈遺伝子組換え〉)を含め、適応追加などに関する審議品目4件を承認。デュピルマブは「既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹」の適応を取得した。

蕁麻疹の7割以上は自発的に皮疹が現れる特発性蕁麻疹

蕁麻疹は、膨疹すなわち紅斑を伴う一過性、限局性の浮腫が病的に出没する疾患で、多くは痒みを伴うがチクチクとした痒みに似た感じや焼けるような感じを伴うこともある。個々の皮疹は24時間以内に消失し、色素沈着などの痕を残さないことが多い。
蕁麻疹は、自発的に皮疹が現れる蕁麻疹(「特発性蕁麻疹」)と、特定の刺激に反応して皮疹が現れる蕁麻疹という2つに大別される。蕁麻疹の中で、「特発性蕁麻疹」は約7割を占める。
特定の刺激に反応して皮疹が現れる蕁麻疹は、原因の回避が治療に繋がるため、原因の特定が重要となる。病態に関与する因子は、物理的刺激(皮膚のこすれ・寒冷・日光など)、発汗刺激、食物(青魚、豚肉などの肉類、たけのこ、食品添加物など)、薬剤(造影剤、NSAIDs、コハク酸エステル、バンコマイシンなど)など多岐にわたる。いずれかだけでなく、複数の因子が複合的に関与して病態を形成することもある。

特発性蕁麻疹の特徴

特発性蕁麻疹は、基本的に毎日または毎日の様に皮疹が出没する。通常、症状出現の直接的誘因はなく、疲労やストレス、感染、時刻(夕方~夜間、明け方)により悪化することが多い。皮疹は地図状や環状の膨疹を形成することも多い。皮疹の再燃と消失が長期にわたって繰り返される場合があり、発症してからの期間が6週間以内は急性、6週間を越えたものは慢性、と定義される。慢性の場合は病悩期間が数か月から数年にわたることもある。

基本的な薬物治療の流れ

一般的に治療は対症療法がおこなわれる。最初のステップとして、効果と副作用の点から、中枢組織への移行性の低い非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン、エピナスチン塩酸塩など)を内服する。まず抗ヒスタミン薬を通常量用い、必要に応じて他の抗ヒスタミン薬への変更、2倍量までの増量や2種併用などをする。なお、蕁麻疹診療ガイドライン2018には、「国際ガイドラインでは他剤の追加よりも、単剤の増量が推奨」とある。
抗ヒスタミン薬で十分な効果が得られない場合は、次のステップとして抗ヒスタミン薬に、H2受容体拮抗薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などを併用。それでも無効な場合は、副腎皮質ステロイド(1か月以内に減量の目処が立たない場合は他の治療手段に変更)、オマリズマブやシクロスポリンなどの追加・変更などが検討される。ただし、抗ヒスタミン薬以降のステップで用いられる薬剤については、保険適用外のものも多いため、注意が必要である。

参考情報
  • サノフィ株式会社 2024年2月9日付プレスリリース
  • 日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン2018」
  • 公益社団法人日本皮膚科学会HP「皮膚科Q&A」
  • 葉山惟大「慢性特発性蕁麻疹の診断・治療の最新情報」;日大医誌 79 (2): 93–97 (2020)

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