
病気が重くなるのは「病」、急病は「疾」、長患いは「疚」
漢字は象形文字を起源とし、アルファベットなどの表音文字とは異なり、一つひとつの文字が意味を持つという特徴があります。象形文字の多くは部首となって「意味を表す文字(意符)」の役割を担い、これに「音を表す文字(音符)」を組み合わせ、新しい意味を持つ形声文字がつくられました。
例えば、川の流れを意味する「水」という文字を「氵:さんずい」という部首に変え、これに音を表す「及:キュウ」を組み合わせ、「汲=くむ」という文字ができました。「汲」の音符である「及」に意味はありませんが、「晴」という文字の「青(晴れた空の青さ)」のように、音符に意味を持たせる場合もあります。また、画数が多く、書くのに手間のかかる音符は、もっと簡単な同じ発音の音符に置き換えられる傾向があります。
病気に関係する漢字は、たいてい「疒:やまいだれ」が付き、これはもともとはという形で、寝台(
)に人(
)が寝ているさまを表しています。「病」は、「并:ヘイ、ヒョウ」と同音の省略形「丙」を組み合わせていますが、「并」には「くわわる」という意味があり、「病」とは病気が重くなることを示しています。
一方、急に病気になった場合は「疾:シツ」、長患いは「疚:キュウ、ク」という字で示されました。「疾」は「矢」という文字が入っていることからわかるように、