
手指の細菌数減少には、アルコール消毒が最も効果的
感染症を防ぐため、医療従事者にとって手指の消毒は欠かせません。従来、感染症対策としては、石鹸と流水による手洗いが推奨されていました。しかし、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)が2002年に発行した『医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン』において、「手の細菌数減少には、アルコールベースの手指消毒剤が最も効果的である。次に効果が期待されるのは抗菌石鹸/界面活性剤であり、非抗菌石鹸は最も効果が低い」と明記したことにより、アルコール手指消毒が高く評価されるようになりました。
アルコール手指消毒のメリットとしては、消毒効果のほかにも、消毒で費やされる時間が石鹸と流水による手洗い(30~60秒)の約半分で済むこと、手洗い設備が不要でどこでも使用できることなどが挙げられます。もちろん、目に見える汚れが手指に付着した場合は、石鹸と流水による手洗いの後、必要に応じてアルコール消毒を行います。
エタノールやイソプロパノール、または両者の混合を有効成分としたアルコール手指消毒剤は、多くの細菌に優れた効果を示します。ウイルスに対しては、エンベロープと呼ばれる外膜を持つもの(インフルエンザウイルス、ヒトヘルペスウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなど)に効果があります。エンベロープはその大部分が脂質から成るため、