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薬剤師の栄養サポート

食物アレルギーの栄養指導

2017年4月号
食物アレルギーの栄養指導の画像
ポイント1
血液検査の結果だけで安易に除去食を勧めない
ポイント2
食事指導に従って、バランスよく食べてもらう
ポイント3
アナフィラキシーを繰り返すときは専門医に相談
食物アレルギーとは、本来は無害なはずの食べ物に対して免疫機能が過敏に反応してしまう状態をいいます。通常、食べ物は異物として認識しない仕組み(経口免疫寛容)が働きますが、その仕組みに問題があったり、消化・吸収機能が未熟だったりすると食べ物を異物として認識してしまい、皮膚のかゆみや湿疹などの皮膚症状、腹痛や下痢などの消化器症状、咳や喘鳴などの呼吸器症状などが出てきます。こうしたアレルギー症状が皮膚、消化器、呼吸器など2臓器以上に出現した状態をアナフィラキシーと呼び、アナフィラキシーショックの前段階であるため適切な対応が必要とされます。

除去食に対する考え方が変わってきた

食物アレルギーは乳幼児が一番多く、年齢とともに減っていきます。原因食物は、乳幼児では鶏卵、乳製品、小麦が大半を占め、7歳以降になるとカニやエビなどの甲殻類、果物、ソバ、魚介類が増えてきます。鶏卵、牛乳、小麦、大豆は耐性を獲得しやすく、大人になると食べられるようになる人が多いのですが、ソバ、ピーナッツ、甲殻類、魚介類などは耐性を獲得しにくく、子どもの頃に食べられないと大人になっても症状が残るとされます。
食物アレルギーに対しては、2016年10月に日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン」が改訂され、アレルギーの原因となる食物除去は必要最小限とし、原因食品を可能な範囲で摂取させるという方針が打ち出されました。血液検査の結果だけで安易に除去食を行うのではなく、まずは専門医の診断を受け、医師の指導の下に原因食物の除去や摂取を進めていくことが推奨されています。

食物アレルギーに対する栄養指導の進め方

食物アレルギーは乳幼児に多いので、過度な除去食は成長障害につながります。食べられないものがあっても、なるべくバランスよく食べることが基本です。たとえば鶏卵がアレルゲンの場合、魚や乳製品などたんぱく源になる食材を代わりに摂取して、栄養バランスが悪くならないよう心がけます。代わりの食材を見つけるには「6つの基礎食品群」が参考になります。
一方、お米や小麦などの主食にアレルギーがあると他の食品に置き換えるのが難しいので、小麦を使わないパンなど食物アレルギー用に市販されているアレルギー対応食品などを上手に利用しましょう。家庭で調理する場合は、まず患者さんの分をつくり、その後で家族の分をつくるなど、混ざらないようにすることが大切です。

  • https://www.med.or.jp/forest/health/eat/03.html

サプリメントや健康食品の注意点

治療効果のあるサプリメントや健康食品はなく、治療目的には使えません。逆に、サプリメントを使うことで食物アレルギーが起こることが報告されています。たとえばキチン・キトサンやグルコサミンはエビ・カニなどの甲殻類を原料としていることが多く、精製が不十分だとアレルギーを起こすことがあります。プロポリス、ローヤルゼリーもアレルギーが多いとされます。これらは高齢者がよく使っており、高齢になってから食物アレルギーを発症する原因になるので、かゆみや発疹が出たときは注意が必要です。また、賦形剤として添加されているゼラチンやデンプンなどでもアレルギーを起こす可能性があることも知っておきましょう。

患者さんのための栄養ガイド

右矢印の画像自己判断除去食をしないようにしましょう
右矢印の画像食事指導に従って、バランスよく食べましょう
右矢印の画像発疹かゆみなどを繰り返すときは専門医に相談

栄養管理の基本を知ろう

食物アレルギーとは、本来は無害なはずの食べ物に対して免疫機能が過敏に反応し、皮膚のかゆみや発赤、じんましん、腹痛、下痢などの症状が出てしまう状態をいいます。乳幼児が一番多く、大人になるにつれて減っていきます。原因食物は、乳幼児では鶏卵、乳製品、小麦が大半を占め、7歳以降になるとカニやエビなどの甲殻類、果物、ソバ、魚介類が増えてきます。鶏卵、牛乳、小麦、大豆は耐性を獲得しやすく、大人になると食べられるようになる人が多いのですが、ソバ、ピーナッツ、甲殻類、魚介類などは、大人になっても症状が残るとされます。
以前はアレルギーの原因となる食物は完全に除去するように指導されてきました。最近は、除去は必要最小限にし、安全な範囲を見極めた上で少しずつ食べて耐性を付けていくことが大事と考えられるようになってきました。ただし、除去や摂取を家族や本人が自己判断で進めるのは危険です。必ず専門医と相談しましょう。

サプリメントや健康食品の注意点

アレルギーに対する治療効果が認められているサプリメントや健康食品はありません。効果があるといわれている乳酸菌も菌株によって異なります。逆に、サプリメントによってアレルギーを起こすことが報告されています。たとえばキチン・キトサン、グルコサミン、プロポリス、ローヤルゼリーなどです。また、錠剤に添加されているデンプンやゼラチンなどがアレルギーを起こす可能性もあります。これらのサプリメントを使い、かゆみや発疹などの症状が出たら、サプリメントが原因になっていることも考えられます。サプリメントの安易な使用は避けた方が賢明です。

献立を考えるときの工夫

  • 食物アレルギーは乳幼児に多く、過度な除去食は栄養不良につながります。食べられるものに置き換えて、バランスよく食べることが基本。お肉や鶏卵がダメなら、大豆製品などでたんぱく質を補うようにします。
  • お米や小麦など主食になるものは、低アレルゲン米などのアレルギー対応食品を上手に利用しましょう。
  • 本人だけ違う食事だとつらいもの。見た目だけでも家族と似た献立になるよう工夫しましょう。
  • 家庭で調理する場合は、まず患者さんの分をつくり、その後で家族の分をつくるなど、混ざらないようにします。調理器具などをよく洗うことも大切です。
  • 総菜や弁当を購入するときは食品のアレルギー表示をよく確認しましょう。

魚と鶏のダブルそぼろ弁当 卵なしでも彩りきれい

【材料】(2人分)(852kcal、たんぱく質46.3g、食塩相当量2.5g)

ナイフとフォークの画像食事はバランスよく

にんじん魚そぼろ
(A)
白身魚 1切れ(約80g)
にんじん 1/4本(約50g)
油 少々
みりん 小さじ1
塩 少々

鶏そぼろ
(B)
鶏ひき肉 100g
しょうゆ 小さじ2
みりん 小さじ2
しょうがの絞り汁 小さじ1/2
水 大さじ2

ほうれん草 2株(約100g)
プチトマト 6個
ご飯 お茶碗2杯分(約300g)

【作り方】

  1. Aは、白身魚の骨や皮を取り除き、すり鉢などですり身にする。にんじんをすりおろし、すり身に混ぜ合わせ、油を引いて熱したフライパンでポロポロになるまで炒める。
    みりん・塩で味をつける。
  2. Bは、材料をすべてフライパンに一緒に入れ、ポロポロになるまで炒める。
  3. ほうれん草はさっと茹で、プチトマトはヘタを取る。それぞれ食べやすい大きさに切る。
  4. お弁当箱にご飯を詰め、❶❷❸をのせる。
魚と鶏のダブルそぼろ弁当の画像

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