薬剤師の栄養サポート

がん治療中の栄養指導

2017年2月号
がん治療中の栄養指導の画像
ポイント1
「食べられるものを食べられるときに」が原則
ポイント2
症状を見ながら調理法や味付けを工夫
ポイント3
食べられないときも水分補給を忘れずに
外来で放射線治療や抗がん剤治療を受ける患者さんが増えています。治療中は、病気による症状(倦怠感、痛みなど)に加えて、治療による副作用で、どうしても食欲がなくなってしまうことがあります。がんと闘う体力や免疫力を維持するためにも、食べられるものを食べられるときに摂るというのが、がん治療中の栄養指導の原則になります。1回にたくさん食べられないことも多いので、1日3食にこだわらず、少量を数回に分けて食べるように指導します。不足した食事や栄養を補うために、おやつや栄養補助食品を上手に取り入れることも考えましょう。

副作用は多彩、症状によって調理法を工夫

放射線治療や抗がん剤治療中の患者さんを悩ます症状としては、下痢・便秘、吐き気・嘔吐、口内炎、口の渇き、味覚の変化などがあります。症状によって食べられないもの、食べたくないものが変わるので、患者さんの症状に応じた調理法や味付けを工夫することが大切です。
 下痢・便秘のとき;下痢のときは冷たいもの、油っぽいものはできるだけ避けます。便秘のときは繊維質の多いものを食べるなど一般的な便秘対策を取り入れましょう。
 吐き気・嘔吐;吐き気は食べ物のにおいによって起こることが多いようです。何に吐き気を催すかは人それぞれなので、その人が吐き気を催すものは避けます。一般的には刺激が少ない消化のよいものを選ぶとよいでしょう。嘔吐があるとカリウム、ナトリウムなどの電解質が失われるため、経口補水液などでの補給を心がけます。吐き気・嘔吐がひどいときは、医師に相談して制吐剤を処方してもらうようにしましょう。吐き気・嘔吐が治まれば食欲も出てきます。
 口内炎;抗がん剤治療では口内炎も比較的多い症状です。しょっぱいものや辛いものを食べると口の中がひりひりするので避けてもらい、薄味にします。肉や野菜などは柔らかく煮たり、細かく砕いたりして、口内に物理的な刺激がないように調理すると食べやすくなります。
 味覚の変化;抗がん剤治療をしていると味覚を感じなくなることもあります。通常の味覚異常の原因である亜鉛不足というよりも、味を感じる味蕾の味細胞が障害を受けることが原因と考えられています。味覚の変化は、味を感じない、何でもしょっぱく感じる、何でも甘く感じるなど人それぞれです。おいしく食べられないと食欲もわきませんから、その人に合った味付け、たとえば、何でもしょっぱく感じるなら塩分を減らすなどの工夫をするとよいでしょう。
 脱水に気を付ける;下痢や嘔吐があるときはもちろんですが、食べる量が減ると水分も減ってしまうので、脱水症状になってしまうことも。水分の補給を心がけるように指導しましょう。

サプリメントや健康食品の注意点

「がんに効く」と効果をうたった健康食品やサプリメントがありますが、基本的にがんに効果があるサプリメントや健康食品はありません。ただ、がんになった患者さんは治療以外にも何かに頼りたい、効果があるといわれるものを試してみたいという気持ちを持っています。それを頭ごなしに否定せず、医師や薬剤師に相談してから使うようにと伝えましょう。また、子宮がんや乳がんの患者さんでは、大豆イソフラボン、レッドクローバーなどの女性ホルモン様作用を持つサプリメントは、がんを悪化させたり、治療に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。摂取するのは避けるように伝えましょう。

がん治療中

右矢印の画像自分の食べられるものを食べられるときに食べましょう
右矢印の画像症状に応じて味付け調理法工夫しましょう
右矢印の画像食べられないときも水分補給を忘れずに

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