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【特定薬剤管理指導加算】「最初に処方された1回に限り算定」って?
専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

“痛み”を訴える患者にとって、薬剤師ができる最善の処方提案

2018年7月号
疼痛管理 Part.2 患者に寄り添った痛みのアセスメントをQOL向上につなげるの画像
厚生労働省の調査によると、日本人の約5人に1人は何らかの慢性的な痛みを抱えるとされる(厚生労働省『国民生活基礎調査』2013年)。痛みの治療には、オピオイドなどを含めた鎮痛薬が用いられるが、投薬後の服薬管理や効果と副作用の確認には、経験を積んだ薬剤師の役割が不可欠である。とりわけがんを中心として、疼痛管理や緩和ケアに精通した薬剤師の存在は今後ますます重要になる。慶應義塾大学病院緩和ケアセンター長の橋口さおり氏と薬剤部の金子健氏に疼痛管理のポイントを解説いただいた。

薬剤師に期待される服薬指導・薬物治療適正化のポイント

  1. 病態、臨床検査値だけでなくあらゆる角度から患者情報を収集して処方提案する
  2. 痛みの治療の目標について必ず患者と合意する
  3. 痛みはペインスケールに頼らず多角的視点から評価する。痛みの客観的な評価の必要性を患者に説明する
  4. 薬物療法だけでなく痛みを和らげるケアも並行して行う

Part.2 患者に寄り添った痛みのアセスメントをQOL向上につなげる

人として患者に向き合い患者にとって最善の処方提案を行う

慶應義塾大学病院の緩和ケアセンター専任薬剤師である金子健氏は、薬剤師が果たすべき役割として、医薬品の情報収集・提供、服薬指導、患者情報の収集、患者情報を他の医療者へフィードバック、処方のリスクマネジメントチェック、特殊院内製剤の適用の検討、を挙げる。さらに、治療効果だけでなく副作用も含めた薬物治療モニタリングおよび医薬品適正使用推進のための医療従事者への教育など、薬剤師の役割は多岐にわたる。薬剤師が、痛みなどの改善目的で処方提案を行う際には、患者の病態、臨床検査値などを考慮しなければならない。しかし、それだけでなく「薬に対する思い」、「生活環境」、「経済面」などあらゆる観点から考える必要がある。ただ単に薬物療法の提案を行うのであれば、薬剤師がいなくても薬物療法に関する成書があれば十分である。「“薬剤師”と“患者”の前に“人と人”であり、“患者”を“個”としてあらゆる角度から情報を統合して、向き合わなければなりません」と金子氏は話す。

患者の医療用麻薬に対する誤解 その理由を理解し、正しい知識を伝える

医療用麻薬は強力な鎮痛効果を持ち、がんの痛みを和らげたり、手術時の麻酔補助の目的で使用される重要な薬剤である。しかし、法律で規制されている麻薬には、医療用麻薬のみならず幻覚発現薬、違法ドラッグも含むため、医療用麻薬を覚醒剤や大麻などの依存性薬物と混同している人も多い。
違法麻薬と区別するために、「あえて『医療用』と付けることで理解を得やすい場合もあります」と金子氏。医療用麻薬については、「がんの痛みに対してすぐれた鎮痛効果を持つ」、「WHOで推奨されている鎮痛薬」、「海外では頻繁に使用されている」といった情報を患者に説明するという。
もし、医療用麻薬を処方された患者に不安が見られる場合、その不安の原因をひも解いていく。また、患者に医療用麻薬に対する抵抗感がなくても、その家族に抵抗感があれば、家族が患者に使用しないよう助言することもある。患者は家族を気遣って使用を差し控えるようになり、痛みが軽減せず、患者のQOLが損なわれて不利益につながる。その家族が医療用麻薬に抵抗感を持ったまま放置しておくと、その家族が医療用麻薬が必要となった時、使用を拒否することになり、同様にQOLが損なわれる可能性がある。医療用麻薬を開始する時には、患者本人だけでなく家族も医療用麻薬を理解し、十分に納得して開始することが必要である。
最も重要なことは、“痛みを我慢”しないことであり、痛みを我慢すると悪循環に陥り痛みが悪化してしまう。そのため、鎮痛薬の効きが悪くなったり、より多くの量を使う必要が出てくる。痛みを取らないと痛みが増幅するが、きちんと治療すればその悪循環を断ち切ることができる。

鎮痛薬を使う目的はQOLの改善 治療目標を共有し合意してもらう

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