専門医+エキスパートに聞くよりよい服薬指導のための基礎知識

【逆流性食道炎】メカニズムを正しく理解しPPIを使いこなす

2017年3月号
逆流性食道炎 Part1 逆流性食道炎のメカニズムを正しく理解しPPIを使いこなすの画像
胃から食道への酸逆流が引き金となって発症する逆流性食道炎は良性疾患だが、胸やけ、呑酸症状は患者のQOLを著しく低下させる。酸逆流の主なメカニズムは一過性の下部食道括約筋(LES)の弛緩であることから、食道内の過剰な酸曝露時間を正常化する薬物療法と、一過性LES弛緩を誘発しない生活指導がポイントである。今回は、日本医科大学大学院 医学研究科 消化器内科学 大学院教授の岩切勝彦氏に逆流性食道炎の原因、薬物療法、生活指導などについて解説していただいた。また、日本医科大学付属病院 薬剤部の林 太祐氏には、治療に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と他薬剤の相互作用、薬物療法を行っている患者への指導法などについて聞いた。

Part1 逆流性食道炎のメカニズムを正しく理解しPPIを使いこなす

過食によって引き起こされる一過性LES弛緩

胃食道逆流症(GERD)は、①逆流によって起こる不快な症状(胸やけ、呑酸など)があること、②逆流によって起こる食道粘膜傷害があることのいずれか、あるいは両方があるものと定義される。逆流性食道炎はGERDの一部であり、内視鏡でびらん性食道炎がみられるもの(びらん性胃食道逆流症)と、食道炎がみられないもの(非びらん性胃食道逆流症)があるが、非びらん性胃食道逆流症では、酸以外を原因として胸やけなどの症状が起こることが知られている。
日本人のGERD有病率は1990年代後半から増加し、日常臨床でも胸やけを訴えて受診する患者が多くなっている。
一方、H.pylori菌感染率は除菌療法の普及などにより徐々に低下しており、H.pylori菌感染率の減少や食事の欧米化、肥満者の増加、ストレスなどがGERD増加の原因として考えられている1)
一般的には、H.pylori菌感染者では、逆流性食道炎は少ないといわれているが、これはH.pylori菌によって胃に炎症が起き、その結果、胃粘膜の萎縮を起こし、胃酸の分泌が低下するためと考えられている。除菌療法で酸分泌機能が感染以前の状態に戻ることは稀だが、酸分泌を促す脂肪分の多い食事を摂取する機会が多いところに一過性の下部食道括約筋(LES)弛緩が起こると酸が逆流しやすくなる。
日本医科大学大学院 医学研究科 消化器内科学 大学院教授 岩切勝彦氏は、「一過性LES弛緩は、食物や空気で胃がふくらむと、胃は反射的にLESを一瞬ゆるめ、空気を抜こうとします。押さえていたゴム風船の口を離すと空気が抜けるのと同じことです」と解説する(図1)。LESが弛緩すると同時に胃酸が食道に逆流する。逆流性食道炎は、LESの機能が低下している高齢者に多いと考えられていたが、一過性LES弛緩は食べ過ぎなどで胃が風船のようにふくらめば誰にでも起こる。つまり、過食習慣のある人では、一過性LES弛緩が起こりやすく、逆流性食道炎を発症しやすい。

図1 一過性LES弛緩のメカニズム

図1 一過性LES弛緩のメカニズムの画像

編集部作成

症状改善、QOLの向上 合併症の予防が治療目的

「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015(改訂第2版)」(日本消化器病学会、以下ガイドライン)によれば、GERDの診断は臨床症状と上部消化管内視鏡検査によって行われる。逆流性食道炎の重症度判定には、ロサンゼルス分類(表1)が用いられることが多い。図2に逆流性食道炎患者の内視鏡写真を示すが、内視鏡的粘膜傷害の重症度と自覚症状重症度はある程度関連は認められるものの、その相関程度は弱いとされている。
食道粘膜傷害、潰瘍形成があると貧血、出血、食道狭窄、バレット粘膜から食道腺がんが発生することがある。これらの合併症は特に重症逆流性食道炎に認められ、逆流性食道炎の重症度は酸曝露時間と相関する。したがって、強力な酸曝露抑制が逆流性食道炎の治癒と合併症の予防に重要である。
逆流性食道炎の治療目的は、症状の改善とQOLの向上とともに合併症の予防である。この目的に添って生活習慣の改善と薬物療法が行われる。

表1 ロサンゼルス分類
[表]改訂Los Angeles(LA)分類
Grade N 内視鏡的に変化を認めないもの
Grade M 色調が変化しているもの
Grade A 長径が5mmを超えない粘膜傷害で粘膜ひだに限局されるもの
Grade B 少なくとも1ヵ所の粘膜傷害が5mm以上あり、それぞれ別の粘膜ひだ上に
存在する粘膜傷害が互いに連続していないもの
Grade C 少なくとも1ヵ所の粘膜傷害が2条以上のひだに連続して広がっているが、
全周性の75%を超えないもの
Grade D 全周の75%以上の粘膜傷害

編集部作成

図2 逆流性食道炎患者の内視鏡所見

図2 逆流性食道炎患者の内視鏡所見の画像

提供 岩切勝彦氏

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【逆流性食道炎】意外に多い相互作用と重複投与 薬剤師のチェック機能に期待

逆流性食道炎について、今回は、日本医科大学付属病院 薬剤部の林 太祐氏に、治療に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と他薬剤の相互作用、薬物療法を行っている患者への指導法などについて聞いた。

【逆流性食道炎】意外に多い相互作用と重複投与  薬剤師のチェック機能に期待の画像
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太ってしまう理由は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多いから。健康的で効果的なダイエットを目指すなら運動などで体の活動量を増やし、食事から摂取する総エネルギー量を減らすことが大切です。

ダイエット中の栄養指導の画像
Medical Diagram

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AIの導入は誤診防止や診断の迅速化にもつながり、患者は少なからぬ恩恵を得ることでしょう。ただ、本格的にAIが活用されるようになると、診断や治療法をどこまでAIに委ねるか、という議論が起こることも予想されます。

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英語で服薬指導 「こちらは花粉症のお薬です」

外国の患者さんが来局した際に知っておきたい基本的な会話を紹介する本シリーズ。今回はOTC薬(抗アレルギー薬)について。「こちらは花粉症のお薬です。」これを英語で言うと!?

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