紫外線の不足でビタミンD欠乏に?
最近の日本人女性は「白い肌」を好み、紫外線が引き起こすシミやシワを防ぐために、日焼け止めクリームをしっかり塗り、“UVカット”対応のスキンケア商品を使い、肌対策は万全!!とカラダの外側のケアで安心されている方が多いようです。けれども、大事なカラダの内側のケアは? …大丈夫ですか?
紫外線を過度に浴びることは、活性酸素を発生させ、肌の老化を早めたり、皮膚がんになるリスクが上がりますから、よいものではありません。しかし、気にし過ぎ、浴びなさ過ぎは禁物なのです。
昨年、大阪樟蔭女子大学などの研究チームの調査*1で、20歳代女性が週に3回以上日焼け止めを塗った場合、血中のビタミンD濃度が欠乏状態にあることが明らかになりました。日焼け止めを毎日しっかり塗っている方はビタミンD欠乏の可能性があるのです。さらに、胎児の骨量が増加する妊娠後期が太陽紫外光の弱い冬季であった4~5月出生の赤ちゃんに、特に頭蓋ろうの頻度が高いという結果が示されていること*2から、夏ごろに妊娠中期の方は、秋から冬にかけてビタミンD不足にならない生活を心がけることがとても大切です。
ビタミンDは、免疫力を高めるほか、高血圧、結核、がん、歯周病、多発性硬化症、冬季うつ病、末梢動脈疾患、自己免疫疾患などの疾病との関連が報告されています*3。さらに、ビタミンDによってカルシウムやリンが体内に吸収され、骨にカルシウムが貯金されますので、ビタミンDが不足すると骨は弱くなるのです。
日光と食事とサプリで目標1日10μg
では、体内のビタミンDを十分な量にするためには、具体的にどうすればよいのでしょうか。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、成人のビタミンDの摂取目安量は、1日最低5・5μg、上限50μgを推奨しています。一方、医学的には10〜20μg/日という考え方もありますから、まずは10μg以上を目標にすることをオススメします。
もし食事から4・5μgのビタミンDを摂取しているとすれば、日光照射によって5・5μg を皮膚で生成し補う必要があります。5・5μgのビタミンDを生成するために必要な日光照射時間は、国立研究開発法人 国立環境研究所の「ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報のモバイル用簡易サイト*4」をご活用ください♪ 「今の時間」 「この地域」 「肌の露出度」を選択して、ピピッとするだけで、適切な量のビタミンDを体内で生成するために必要な日光照射時間がご覧いただけます!
ビタミンDが満ち溢れた「Happyボディ」は、外側と内側のケアでつくられます。日焼け止めを塗る時は“手のひら”だけは塗らないように心がけると、手のひらから紫外線を吸収することができます。太陽を浴びられなかった日は、ビタミンDを多く含む食品、あるいはビタミンDサプリメントを摂ることを心がけるなどして、太陽とうまくお付き合いをしていきましょう♪
〈元典〉
- http://www.osaka-shoin.ac.jp/news/2017/2810/
- Yorifuji, J., et al., Craniotabes in normal newborns: The earliest sign of subclinical vitamin D deficiency, J. Clin. Endocrinol. Metab., 93, 1784-1788, 2008.
- Holick, M. F., Vitamin D deficiency, N. Engl. J. Med, 357, 266-281, 2007.
-
http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/index.html