前号で医療従事者への医薬品情報の新たな情報提供方法として、製薬企業で導入が進んでいるチャットボットについて、各企業の担当者から伺った活用方法を解説した。掲載後、多くの読者様より反響をいただくとともに、他の企業のチャットボットについても知りたいとの声をいただきました。今後も前号に引き続きチャットボットを導入する企業担当者に伺ったチャットボットの利用方法と特徴を解説します。
24時間いつでも気軽にお問い合わせ
各企業のチャットボットに共通するのが24時間いつでもお問い合わせができる点である。各企業の担当者にチャットボットの利用状況を伺うと、休日やコールセンター時間外のお問い合わせで多く利用されているとの話があった。
またスマートフォンの浸透もあり、医薬品情報もより気軽に調べることができるようになっている。こうした環境の変化を踏まえて、各企業でLINEから直接チャットボットにアクセスできるなど、医薬品情報の検索をスマートフォン上からスムーズに行える取り組みを進めている。
コールセンターと組み合わせた活用を
医薬品情報の確認は迅速性が求められるため、製薬企業への問い合わせは各企業のコールセンターへの電話がメインとなっている。
一方、各企業のチャットボットを利用することで、電話よりも短時間で知りたいことを確認できる問い合わせ内容も多く存在した。問い合わせ内容や状況に応じて各企業のチャットボットとコールセンターを組み合わせて活用することで、より効率的に医薬品情報の確認ができる。
AskMSDTM チャットボット
MSD株式会社
- キイトルーダⓇ、ジャヌビアⓇ、ニューモバックスⓇNP、ベルソムラⓇ、ラゲブリオⓇのQ&A検索
- AskMSDTMメディカルのLINEアカウントから直接Q&A検索が可能
AskMSDTM チャットボット担当者からのサービス紹介
AskMSDTMチャットボットは、弊社製品で特にお問い合わせが多い5製品のQ&A検索をチャットボットが自動提示して支援するサービスです。利用者の方が求める正確で即時性の高い回答を提供するために現在は対象を5製品に限定しています。
AskMSDTMチャットボットは、対象製品を選択すると質問の入力欄が表示され、入力欄にキーワードを入力すると回答が表示されます。入力されたキーワードに対してAskMSDTMチャットボットが最適な回答が表示されるよう、日々弊社で精度を高める調整を行っております。また医療関係者の方に公正な医学的情報を提供するため、質問への回答として、弊社製品の販売促進となりえる複数の回答候補は表示せず、質問に対して、初回は単一回答候補を表示する設計としているのが大きな特徴になります。
またAskMSDTMチャットボットは、AskMSDTMメディカルのLINEアカウントからも利用可能で、スマートフォンからスムーズにQ&A検索および弊社カスタマーサポートセンターに問い合わせいただくことができます。当LINEアカウントは通知やメッセージ投稿といった機能を有していないため、LINEに不必要なメッセージが届くことがなく、医療従事者の方が使いたい時のみご利用いただけます。
今後も対象製品の適応追加および新製品への回答を順次追加するとともに、Q&Aの質を高め医療従事者の方の情報検索を支援いたします。
図1:AskMSDTMチャットボット検索例
AskMSDTMチャットボットに最初に表示される製品名から、問い合わせしたい製品を選択する。次に、画面下部の入力欄に質問を入力すると回答が表示される。公正な医学的情報を提供するため、初回は複数の回答候補は表示せず、質問に対する単一回答候補を表示する設計としている。
図2:LINEからのアクセス
LINEアプリからAskMSDTMメディカル公式アカウントに友だち登録すると、AskMSDTMチャットボット含めたAskMSDTMサービスを利用することができる。当LINEアカウントからスムーズにチャットボットでのQ&A検索、カスタマーサポートセンター等への問い合わせが可能となっている。
DI-bot
武田薬品工業株式会社
- 製品に関するよくあるお問い合わせへの回答
- 有効期限の検索
- 添付文書/インタビューフォームなどの検索
DI-bot担当者からのサービス紹介
DI-botは、弊社製品についてのご質問にAIによる自動応答で回答するサービスです。
弊社では、医療関係者の先生方との接点として、くすり相談室(電話)とWEBサイトTakeda Medical Siteくすり相談FAQに加えた3つ目のチャネルとして、DI-botのご提供を開始いたしました。DI-botは医療関係者の先生方からのお問い合わせに365日24時間お答えできるだけでなく、災害時などの電話不通時にも、弊社オペレーターへのお問い合わせと同等の回答のご提供を目指しております。
DI-botは弊社くすり相談室にお電話で多くお問い合わせいただく有効期限の検索、適正使用情報を気軽に短時間で把握できます。製品の有効期限や安定性データをDI-bot上にて目視でご確認できますので、電話回答で聞き間違いしてしまうリスクも避けられます。
DI-botでは現在13製品について対応中ですが、こちらは順次拡大してまいります。また薬剤師様の業務ではパソコンだけなくタブレット、スマートフォンのご利用が増えており、弊社くすり相談室も環境変化に適応したいと考えております。
弊社は今後も利便性の高い情報提供体制を整え、薬剤師の先生方とその先の患者様のお役に立てるよう努めてまいります。
図:DI-botの検索例
DI-bot画面上部の製品一覧から製品名を選ぶとDI-botから、よくある質問内容の選択肢が提示される。ここで調べたい項目が見つかったら、タップすれば回答が表示される。選択肢にない内容の質問の場合には、改めて入力欄に質問を入力する。ここでは「半錠」と入力して、右側の赤いボタンをタップした。すると、入力した内容からAIが判定した質問が提示される。提示された質問が目的のものであれば、「はい」タップすることで回答が表示される。
MI chat(エムアイチャット)
中外製薬株式会社
- 同社製品のよくある質問への回答
- 同社製品の適応外使用に関する質問への求めに応じた回答(要会員登録)
MI chat担当者からのサービス紹介
MI chatは、弊社の医療関係者様向けWebサイト「PLUS CHUGAI」において、AIを活用したチャット形式により、弊社製品への問い合わせ検索を365日24時間対応で支援するサービスです。MI chatはパソコンおよびスマートフォンからアクセスできるので、いつでもどこでもお気軽に製品に関するお問い合わせが可能です。
MI chatでは、製品とカテゴリを選択後、知りたい内容を単語や短文で入力していただきます。日々弊社内で作成しているQ&Aリストの中から、AIが入力内容に応じた質問候補を提示しますので、該当する質問を選択していただくと、回答が表示される仕組みです。
またMI chatでは、「PLUS CHUGAI」の会員様に限定し、弊社製品の適応外使用情報にも一部対応しています。弊社の電話によるくすり相談窓口は、医療関係者様からの添付文書に記載されていない情報に関するお問い合わせにも対応しています。MI chatにおいても、医療関係者様が必要とする情報に鑑み、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン等各種ガイドラインを遵守した上で、一部の適応外使用情報をご提供するようにしています。
今後も、従来の電話やWebサイトを通じた情報提供に加え、MI chatを含む新しい技術を積極的に取り入れながら、医療関係者様の環境やニーズに合わせた様々な手段を通じ、質の高い情報提供を進めてまいります。
図:MI chat検索例(画像はイメージです。)
MI chatにアクセスすると同社製品の一覧が表示される。製品と問い合わせのカテゴリを選び、画面下部の入力欄に単語や短文で問い合わせ内容を入力すると、入力内容に応じてAIが選んだ質問候補が表示される。質問を選択すると、回答が表示される。