special Interview

100号記念 スペシャルインタビュー【松島美菜】

2017年1月号
ドーピング検査がきっかけで薬学部へオリンピックで感じた薬剤師の必要性の画像
水泳選手としてロンドンオリンピックで活躍した松島美菜さん。
ドーピング検査がきっかけで薬学部に進み、薬局実習では薬剤師の可能性に触れ夢が膨らんだと目を輝かせます。2016年に選手を引退し、今は2017年の国家試験に向けて猛勉強中。本誌100号を記念して、松島さんが目指す“薬剤師像”を語っていただきました。

ドーピング検査がきっかけで薬学部へオリンピックで感じた薬剤師の必要性

桜が咲く頃の私を想像すると緊張で背筋が伸びますが、同時にとってもわくわくします。薬剤師の専門性を生かせる仕事は、薬局内だけでなくいろんな場所にあると知り、夢が大きく膨らんでいるからです。
「薬剤師」という職業を知ったのは、小学生の時です。将来の仕事の選択肢として母から勧められましたが、乳鉢と乳棒で薬を作るようすに憧れていた私は、すでに心の隅っこで、“薬剤師の卵”を温め始めていたのかもしれません。
水泳は、姉が習っていた縁で、0歳からプールに入り、水に親しんでいました。小学1年生の時に通い始めたスイミングクラブは、オリンピックを目指すトップスイマーがたくさん在籍しているクラブでした。私は、ただ泳ぐのが好きで続けていましたが、競技力を高めるほどに世界が広がる手応えがあり、競技に打ち込むようになりました。小学6年生で全国大会を経験して、伸び悩む時期もありましたが、中学3年生の時に世界大会に挑みました。
ドーピング検査の対象選手になったのは、この頃です。
対象選手と知った瞬間、「もう薬は飲んではだめなんだ」と思いました。“スポーツファーマシスト”の資格制度はない時代です。薬局で、「ドーピング検査の対象になっています」と告げても、正しい知識で適切な判断のできる薬剤師の方はいなかったので、高校時代は薬を飲みませんでした。
高校3年生で進路を決める時、「薬剤師になってドーピングの研究をしよう」と思ったのは、このアスリートとしての経験があったからなんです。

薬学部からロンドンオリンピックへ

大学での6年間は、水泳も勉強も両方がんばるんだと決めていました。でも、いざ入学したら、薬学部の勉強は想像以上に大変! 勉強する時間が本当になくて焦りました。でも、ないからこそ上手な時間の使い方を考えました。たとえば、バスの待ち時間で5分あれば暗記に集中。次の5分で暗記確認、という具合です。水泳と勉強を両立できたのは、勉強を教えてくれる親しい友達がいたこと、理解ある水泳のコーチの存在が大きく、とても感謝しています。
ロンドンオリンピックに出場したのは、大学4年生の時。日本代表のチームドクターと関わるようになったので、薬は安心して飲めるようになりました。でも、メディカルスタッフの中に薬剤師がいない現状を目の当たりにすると、「薬剤師が活躍する機会がもっとあればいいな」と感じていました。
オリンピックの思い出で一番印象に残っているのは、準決勝でゴールして、観客席を見上げた時の光景です。国籍関係なく大勢の人が拍手や歓声で選手を讃えてくれていて、「こんなすごい舞台で泳げて幸せだった」と感動しました。次のリオオリンピックを目指そうと誓った瞬間でした。
そんな決意を胸に、大学を卒業してからの1年間は、リオを目指して水泳に集中しました。出場は叶いませんでしたが、選考会で泳ぎ終わった時、清々しい気持ちになれて、すっきり引退。薬学の勉強に戻りました。いまは猛勉強しながら時折、大学時代の薬局実習を思い出します。

薬局実習で感じた薬剤師の可能性

3カ月の薬局実習は、東京都江戸川区の薬局でお世話になりました。最近の薬局は、薬を出すだけでなく、血圧計があったり、血糖値を測れたり、さまざまな特色を持つ薬局が増えていますが、実習先は、地域の皆さんに親しまれている居心地の良い薬局でした。スポーツファーマシストの資格を持っている薬剤師さんで、“災害時における薬剤師の役割”について積極的に学んでいる方もいました。また、地域のお祭りで高齢者の肺活量を測定したり、薬局内に留まらず、日常的に地域へと出向き活躍しているんです。
もちろん、調剤の仕事の重要さも改めて感じました。乳鉢と乳棒に憧れた気持ちは今も変わらず、大好きな軟膏作りは実習中によくやらせてもらい、おかげですごく上達したんです。蓋を開けた時にきれいに軟膏が入っていると気持ちがいいだろうなと、患者さんの気持ちになる大切さも学べました。
実習の日々は、目からウロコの連続で、薬剤師の専門性にはいろんな可能性があって、

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