立春を迎えたといっても、まだまだ暖房機器から離れがたい2月。暖房機器の多用などで空気が乾燥しやすい冬は、風邪やインフルエンザなどへの感染予防対策の一つとして、適度な湿度を保持することが欠かせません。今年は例年よりもインフルエンザ患者数が大幅に少ないといいますが、新型コロナ対策による外出自粛や在宅勤務等により室内で過ごす時間が増加していることで、室内の加湿対策には更に気を配る必要があるでしょう。
加湿器を利用されている方は多いと思いますが、加湿器の衛生管理には注意が必要です。特に超音波式加湿器を不衛生な状態で使用し続けると、タンク内で細菌が増殖し、アレルギー性肺疾患の過敏性肺炎やレジオネラ症などを発症する危険性があります。
レジオネラ症は、河川や温泉に生息するレジオネラ属菌に感染することで発症します。加湿器や循環式浴槽を介したエアロゾル感染や、温泉浴槽内や河川で溺れた際の水の吸引・誤嚥が、レジオネラ症を発症する主なきっかけです。新型コロナの影響で温泉施設等の利用は減っているといいますが、レジオネラ症の2020年の感染者数は、2,031名(国立感染症研究所「IDWR速報データ」2020年第1~53週累計)で、1999年からのデータとしては、3番目に多い感染者数です。こうしたことからも、改めて加湿器のメンテナンスや使用条件を確認してみるとよいかもしれません。
【加湿器使用時の衛生管理上の注意点】
- 加湿器タンクの水には水道水を使用
ミネラルウオーターや浄水器の水は雑菌等が発生しやすい) - タンクの水は毎日交換し、少なくなった場合は継ぎ足しせずにすべて入れ替え
- 加湿器タンクと本体内部等はヌメリや水垢ができないようこまめに清掃
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過敏性肺炎
乾いた咳(痰を伴わないことが多い)、息切れ、発熱がみられる。入院や職場を休むなど抗原を回避した場合に症状が改善する。 -
レジオネラ症
主な病型として、重症のレジオネラ肺炎と軽症のポンティアック熱がある。
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レジオネラ肺炎
全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難がみられるようになる。意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や、下痢がみられるのもレジオネラ肺炎の特徴とされる。 -
ポンティアック熱
突然の発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がみられるが、一過性で自然に治癒する。
- 公益社団法人全国水利用設備環境衛生協会
https://www.suirikyo.or.jp/information/20201218.html - 日本呼吸器学会「過敏性肺炎」
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=16 - 厚生労働省「レジオネラ症」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html#Q3