「ファーマスタイル カフェ」は編集部が体のケアに関するテーマで語るコーナーです。
6月4~10日は「歯と口の健康週間」です。もともとは、1928年に日本歯科医師会が6(む)4(し)に因んで6月4日を「虫歯予防デー」と始めたものでした。今年は「一生を 共に歩む 自分の歯」を標語に、「生きる力を支える歯科口腔保健の推進~生涯を通じた8020(ハチマルニイマル)運動の新たな展開~」を目標に掲げています。
「8020運動」とは、80歳になっても自分の歯で食べるために20本以上の歯を保とうと、厚生省(当時)と日本歯科医師会が提唱し、1989年から取り組んできた活動です。歯の喪失の2大原因はむし歯と歯周病。「8020」の達成には、小児期から歯の喪失を防ぐための歯科保健対策が欠かせません。活動当初は「8020」を達成している75~84歳以上の高齢者は10人に1人にも満たない状況でしたが、達成者の割合は年々増加し、2016年歯科疾患実態調査では、51.2%に達しました。
今後の取り組みとして、日本歯科医師会は2020年10月に「2040年を見据えた歯科ビジョン」を示しました。このなかで新型コロナウイルス感染症を踏まえた歯科医療の課題と取り組みにも言及しています。
新型コロナウイルス対策として、「歯磨き」が注目されています。歯磨きは、むし歯や歯周病の予防、口臭予防などのエチケットのために実施している方が多いでしょう。口腔を潤す唾液中には、細菌やウイルスをブロックするIgA抗体が認められ、インフルエンザ感染を予防しています。IgAが効果的に働くには、口腔内が清潔であることが重要です。さらに、神奈川歯科大学の槻木恵一氏は、歯磨剤や洗口剤に含まれる複数の成分(テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等)が、新型コロナウイルスの生体への結合や侵入をブロックする可能性を明らかにしました。これらの成分はIgAの活性には影響を与えず、生体の持つ免疫機構を阻害しないといいます。
誰もが簡単に取り組める歯磨き。歯の健康維持を含め、感染対策のためにも適切な方法で実施し、セルフケアに取り入れていきましょう。
ウィズコロナ時代の歯磨き方法のポイント
唾液飛沫を避けるために、口を閉じて磨きましょう!
- 磨き忘れのないよう、磨く順番を決めておく
- 歯ブラシは歯の凹凸に合わせて、小刻みに動かすCHECK口を閉じて磨きやすいように、ブラシ部分は小さめのものを選ぶ
- 少量の水を口に含み頬を膨らませ、勢いよく約30秒間強くゆすぐ(回数は1~2回で十分)CHECK下を向いた方が、口全体に水が行き渡るので効果的。口をゆすいだ水は飛沫防止のため、低い位置から下を向いて、静かに吐き出す
- 集団で歯を磨く際は、なるべく時間をずらす、距離を取る、会話をしないこと
参考情報
- e-ヘルスネット(厚生労働省)「8020運動とは」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-003.html - e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯の喪失の原因」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html - 日本歯科医師会HP「ニューノーマル時代の歯磨きの新しい意味とは?」
https://www.jda.or.jp/corona/New-normal.html - 日本歯科医師会HP「日歯8020テレビ」