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生薬百花

コガネバナ|生薬と漢方処方

2019年7月号
コガネバナの画像

コガネバナ Scutellaria baicalensis

成分 フラボノイド:バイカリン、バイカレイン、オウゴニン、オウゴノシド
効能 解熱、鎮静、降圧、止血、止瀉、安胎作用 など
配合処方 黄芩湯、(おうごんとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)、葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)など

花は青でもコガネバナ江戸期に朝鮮から渡来

コガネバナは東シベリア、モンゴル、中国北東・ 北西部などの涼しい草地で育ちます。草丈は30 ~60cm。7~9月頃にかけて青紫色の細長い唇形 花を咲かせます。茎は四角、葉は針形で対生し、そ の見た目からシソ科の植物だと分かります。花は 青紫色なのにコガネバナという名前を不思議に思 う人がいるかもしれませんが、根の断面が黄色い ことからその名がつけられました。徳川幕府の八 代将軍吉宗が小石川療養所(現小石川植物園)を開 設した享保年間(1716-1736年)に朝鮮から種を 取り寄せたという記録が残っています。徳川吉宗は生薬の国産化を進めた人です。

黄色い生薬グループ 味は苦く性味は「寒」

皮を剥む いた乾燥根は生薬の「黄芩(おうごん)」として用いま す。黄色い生薬の仲間を思い出してください。黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし) 、大黄(だいおう)、どれも苦くて個性的です。
黄芩は、オウゴニンやバイカレインなどのフラボノイドを含み、利胆、抗アレルギー、鎮静作用などが知られています。単味で用いることはありま せん。黄色い生薬には共通性が見られ、みな味が 苦く、漢方で薬効の性質を表す性味は「寒」です。 生薬の色と漢方での作用が類似していることはとても不思議です。黄芩は組み合わせる生薬によって色々な作用特性を発揮します。その中の代表的な2つの配合処 方をご紹介しましょう。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

黄連、黄芩、黄柏、山梔子の4味。黄芩と黄連の組み合わせで清熱鎮静作用を強く発揮し、興奮状態による精神不安、のぼせ、不眠、高血圧に伴う頭重感、更年期障害、二日酔などに良い

小柴胡湯(しょうさいことう)

柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう) 、黄芩、人参、大棗(だいそう)、甘草の7味。黄芩と柴胡の組み合わせで清熱作用を強く発揮し、胃腸虚弱や風邪の後期の諸症状に使われる。
なお、小柴胡湯の副作用の間質性肺炎は黄芩の関与が疑われていますが、明らかではありません。生薬の不思議な組み合わせ、奥が深いですね。

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