
経済財政の政策を明示 薬価制度の抜本改革が目玉
骨太の方針は国の経済財政に関する政策の基本骨格を示す重要なものです。内閣総理大臣を議長とする経済財政諮問会議で議論したあと、毎年6月に政府が閣議決定します。経済財政諮問会議は、経済財政政策に関して内閣総理大臣のリーダーシップを発揮することを目的に、関係閣僚や有識者から意見を聞く場として内閣府に設置されました。現在のメンバーは、総務大臣や経済産業大臣に、日本銀行総裁やサントリーホールディングス株式会社社長など民間議員を加えた総勢11名。薬価制度の抜本改革などの議論には厚生労働大臣が臨時議員として参加しました。
骨太の方針2017の第1章は「日本経済の課題と考え方」で始まります。日本の雇用・所得環境は、有効求人倍率の上昇や失業率の低下、企業によるベースアップの実施といった改善がみられる一方、潜在成長力と消費は伸び悩み、中間層の活力が低下しています。こうした課題の解決に向けて、労働生産性を上げるための働き方改革として、非正規雇用の処遇改善や長時間労働の是正、少子化対策や女性の活躍推進などで具体的な施策を掲げています。
次に2020年度までに基礎的財政収支の黒字化を達成するため、骨太の方針2015で盛り込まれた経済・財政再生計画を着実に実行し、社会保障の効率化を進め、社会保障の持続性の確保を図るとしています。
経済・財政再生計画の進捗は「経済・財政再生アクション・プログラム」の改革工程表(2016年12月に改定)*2に基づいて管理されています。工程表では2016年度〜2018年度までを“集中改革期間”と定めて、2020年度に向けた様々な改革を行うことになっています。社会保障分野は44項目について年度ごとの工程が示されていますから、今後どのような改革が実施されるかがわかります。
対物業務から対人業務へ 在宅訪問や残薬解消を重視
骨太の方針2017で社会保障について何が記載されているのか詳しく見てみましょう。社会保障分野のトピックスは次の8つです。①地域医療構想の実現、医療計画・介護保険事業計画の整合的な策定等、②医療費適正化、