
Part.2 眼科受診勧奨も薬剤師の重要な役割
「どういう飲み方をしていますか?」説明するのではなく患者自身に語らせる
西葛西・井上眼科病院(32床)に入院する患者の多くは白内障、糖尿病網膜症などの手術目的である。外来では糖尿病網膜症をはじめ種々の疾患で患者が受診する。同病院薬局長の桐原陽子氏は眼科領域の薬剤師として15年の経験をもつが、入院患者に対して最初に行うことは持参薬のチェックである。入院時の初回面談で持参薬鑑別を行い、どのような薬剤をどのように使っているかを患者から聞き取って、持参薬鑑別書を作成し、入院中の服薬管理に役立てている。
糖尿病患者はインスリンを含めて血糖降下薬、降圧薬など複数の薬剤を服用しているケースが多いが、「長く薬剤を服用している患者さまほど、服用の仕方を自己判断で決めていることがあります」という。具体的には「お薬手帳には食前と書いてあるにもかかわらず他の薬剤と一緒に食後に服用しているケースなどがあります。初回面談では聞き取りに重点を置いていますが、そういう服用の仕方を主治医の先生はご存知ですか、といった問いかけをして服用方法を見直すきっかけにしています」。入院中の服薬指導では、薬によって服用の仕方が異なることや正しく服用することが薬の効果を発揮することにつながると説明する。
自己判断で服用の仕方を変えてしまうケースは多々あるため、保険薬局でも単に服用しているかどうかの聞き取りだけでなく、服用方法についても聞き取る必要がある。「保険薬局で処方せんをもって来られた患者さまに対しては、食前か食後かといった服用方法、服用回数についての説明に加えて、患者さまの声を聞いていただくことが大切だと思います」。一方的な説明だけでなく、「どういう飲み方をしていますか、という問いかけによって患者さまの服用方法を知り、処方医に情報提供すべきかどうかを判断してほしいです」と桐原氏は語る。
可能なら点眼薬はさし方指導まで行う
眼科では様々な点眼薬が処方される。桐原氏らは、入院患者の服薬指導において、点眼の薬剤名や使用眼、1日の回数などをまとめた点眼表をつくって患者に渡している。一般的に術後の薬物療法は短期間であることが多いが、桐原氏によれば、「術後の点眼薬(抗菌薬、ステロイド)については退院後も使用するので、保険薬局の薬剤師も術後の患者さまに対しては点眼薬を使っているかどうか確認することが望ましいと思います」という。
内服薬同様、長期に使用する点眼薬はアドヒアランスが重要である。西葛西・井上眼科病院では