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「歯磨き時の口腔ケア用品の選択」 ファーマスタイルカフェVol.12

2022年5月号
歯磨き時の口腔ケア用品の選択の画像

今号の特集でも取り上げた、もはや国民病ともいえる「歯周病」。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」(平成28年)によると、4mm以上の歯周ポケットを有する人の割合は年齢が高くなるにつれて増加し、50歳代以上になると約50%の割合を占めます。また、歯肉出血を有する人の割合は15歳以上で30%を超え、若年期から歯周病予防を行うことが今後さらに求められるといえるでしょう。

歯周病の主な原因は歯に付着するプラーク(歯垢/細菌の塊[バイオフィルム])です。歯周病を進行させないためには、このプラークの除去が重要であり、日々のセルフケアがポイントになります。セルフケアの基本である歯磨きに関わる口腔ケア用品の選択・使用時のポイントを表に示します。

歯磨剤には、プラーク形成抑制やプラーク中の細菌数抑制効果等のある成分を配合するものがあり、目的に適した製品を選択する必要があります。また、市販されている歯磨剤のほとんどにフッ化ナトリウムなどのフッ化物が含まれています。フッ化物は、①再石灰化の促進と脱灰の抑制、②歯質の強化、③ミュータンス菌の抑制により、う蝕予防効果があるとされています。ただし、低年齢児はフッ化物の過剰摂取による歯のフッ素症のリスクから、フッ化物イオン濃度と使用量が示されているので注意が必要です。

歯磨剤自体は歯周病の歯肉炎と歯周炎に対して明らかに治療効果がある訳ではなく、あくまで補助的なものです。大事なのは、炎症の原因となるプラークを取り除くため丁寧なブラッシングで磨き残しを少なくすることであり、正しいブラッシング方法を身に付けることが基本になることも忘れてはいけません。

歯磨きに用いる主な口腔ケア用品の選択と使用時のポイント
歯ブラシ 【頭部の大きさ】上の前歯2本分の大きさを目安。小さく、スリムで植毛台部が薄いと口腔内で操作しやすいが、使用に時間がかかり細かく動かす技術が必要。大きいと歯面に当たる部位が広く、細かく口腔内を磨くことができない人には有用
【毛の硬さ】基本は「ふつう」。歯茎に炎症がある場合は「やわらかめ」を使用
【交換頻度】月1回
歯間ブラシ・デンタルフロス 1日1回以上、就寝中は唾液が減少して細菌が増殖しやすいので就寝前の使用が効果的
歯磨剤 【歯磨剤に含まれる主な薬効成分】
  1. プラーク形成抑制(プラーク分解):デキストラナーゼ
  2. プラーク中の細菌数抑制(抗菌、殺菌、浸透など):クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール
  3. 抗炎症作用:トラネキサム酸、塩化リゾチーム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、アラントイン
【歯磨剤のフッ化物濃度と使用量目安(低年齢児)】
3歳未満:500ppm(切った爪程度)、3-5歳:500ppm(5mm以下)
6-14歳3歳未満:1000ppm(1cm程度)、15歳以上:1000-1500ppm(2cm程度)
【歯磨き時間】通常3分以上を目途
【その他】歯磨剤の効果を発揮させるために過度なうがいを行わず、10ml程度の水を含み吐き出すだけにする

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